一日排泄量を求めます
5歳児のCs-134とCs-137の尿中濃度がそれぞれ1 Bq/lで一日尿排泄量が約1lとすると、Cs-134とCs-137のそれぞれの一日排泄量は約1 Bqとなります。
尿中の濃度の補正
尿中の物質濃度は、薄まったり濃くなったりするので、短時間にサンプリングしたものでは、その補正がデータの質の確保に必要でしょう。
摂取の形態(吸入か経口かなど)と摂取日(期間)を考慮して摂取量を求めます
80日間の経口摂取に由来するとすると、その摂取量が均等であると仮定すると、日々2.8Bq程度の放射性セシウムを経口摂取している(=累積摂取量230 Bq程度。摂取と排泄の差が貯まっていく量。このことは線量換算係数では考慮されています)と考えられます。この場合の預託実効線量は3μSv程度と推計されます。
安全側評価
試料採取日(=濃度評価時点日)を考えられる限りに古い設定にした場合が安全側設定になります。
80日前に吸入摂取したとすると、預託実効線量は約16μSvとなります。
また、1週間前の経口摂取であるとすると、預託実効線量は約4μSvとなります。
ツール
放射線医学総合研究所のMONDAL
全身計測、バイオアッセイなどの個人モニタリングの計測値から摂取量や内部被ばくによる預託実効線量の評価を手助けするツールです。
内部被ばくの推計例
海産物による内部被ばく(預託実効線量)について(試算)(pdf, 406kB)
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う食品からの放射性物質の摂取による内部被ばく推計例
文部科学省
尿中の放射性物質の量
K-40
5歳児の尿からのカリウム排泄量を1日2 gとすると、K-40の尿中排泄量は0.2 mg/日なので60 Bq/日程度になります。
過去の大気圏核実験
母乳と尿中の放射性物質の濃度の比較
放射性セシウムの場合、定常状態では日々の摂取量の4割程度が尿に移行するようです。
母乳への移行では、体内と母乳との濃度比で0.15-0.2程度とされています。
(ICRP Pub.95 198項)
日々、10 Bq摂取した場合は、尿中排泄が4Bq/d程度となり、体内残存量が3ヶ月で620 Bq程度になりうるので(摂取量は10 Bq/d×90dで900 Bq)、
体内濃度が10 Bq/kg、母乳中濃度が1.5-2 Bq/l程度となりそうです(ラフな推計です)。
摂取パターンに大きく影響されるので、継続的にデータを得ないと質の高い推計は難しいと思われます(リスク管理の観点からは低リスクでの曝露推計の質の向上がもたらす便益は限定的ですが)。
バイオアッセイとしての母乳の検査
摂取パターンの違い
体外測定から推計例
小児甲状腺被ばく調査結果
福島県による仮定の説明
10月以降のホールボディカウンタ測定の評価についてこれまで、内部被ばく評価は、3月12日に一回で取り込んだ(※)と仮定して線量評価を行ってきた。
8歳未満の小児については、測定は継続するが、体内残留セシウムの量が少なく測定できない可能性が高いことから、その場合には、3月12日当時に行動をともにしていた親等の評価結果から、概ね一生に受ける被ばく量(預託実効線量)の値を求めることとする。