放射性セシウムの体内残存量の経時推移
上の2つの曲線は毎日一定の経口摂取の場合を示します(一日排泄量と体内残存量をそれぞれ示す)。
残りの曲線は一回経口摂取後の場合を年齢階級別に示します。
体内残存量は摂取量との比で示しています。
このグラフはMONDALを用いて計算しています。
モデルの説明資料
国際放射線防護委員会(ICRP)の放射性核種の体内摂取に伴う線量評価モデルについて
単純に微分方程式を使う場合
増加要因:日毎の摂取量
減少要因:日毎の壊変(体内残存量と崩壊定数から計算)+日毎の排泄(体内残存量の一定割合が排泄されると仮定するなどして(2つの異なる速度で排泄されるモデルでの計算解説例))
放射性セシウムの一回摂取と長期摂取による体内残存量の経時推移
出典
ICRP PUBLICATION 111. Application of the Commission’s Recommendations to the Protection of People Living in Long-term Contaminated Areas after a Nuclear Accident or a Radiation Emergency
10 Bq/dのCs-134の経口摂取による線量は、実効線量係数1.9E-5[mSv/Bq]を用いると(原子力安全委員会.環境放射線モニタリング指針)、1.9E-4[mSv]であり、年間の摂取を考慮すると、0.07[mSv]となります。
FAQ
一回摂取の場合、初期数日間は残存量が上昇し、その後減少しています。初期の上昇はどのような理由によるのでしょうか。計算時に特別な条件があるのでしょうか。
上昇しているのは体内残存量ではなく、一日排泄量です。
たとえ少量の摂取でも長期にわたると体内蓄積量が増えるので、摂取量はできるだけ減らした方がよいのでしょう?
「できるだけ」をどう考えるかになるでしょう。
コストや負担をかけずに摂取する放射性物質の量が減らせればよいのですが、そうならないのが残念ながら現実です。
汚染した状況と向き合わないわけにはいかないので、バランスを考えて、どのような行動が倫理的であるかを判断することが求められるのではないでしょうか。
対策の効率はどう考えるのがよいでしょう?
環境経済学的に考えることができます。
少量の放射線を浴びた場合のリスクはどのくらいですか?放射線のリスクの記事などをご覧下さい。100 mSv以下で「影響が分からない」というのは、何故ですか?
100 mSv以下で「影響が分からない」というのは、何故ですか?
リスクが小さすぎて、本当にあるとしても疫学研究では検出されないからです。
小さいリスクが本当にあるかどうかを確認するのは容易なことではありません。
リスクが大きくないことは確認されています。
半減期があっても少しずつ体に溜まっていくのではないですか?
毎日少量摂取をし続けることで体内蓄積量は増加していきます。
それも考慮した安全評価がなされています。
毎日食べる食材の検査は精度よく行うのがよいのではないですか?
食事に由来した放射線の量を減らすには、より多く食べるものの濃度を小さいものに限るのが効率的ではあります。
少量摂取のものでは濃度が多少大きくも国入る放射性物質の量が相対的に少ないので線量への寄与は相対的には小さくなります。
食事に由来した線量をどのように制御するかは他のリスクなどとのバランスにもよるでしょう。
経済的な観点も入れると食品の単価を考慮するのも合理的と考えられるでしょう。
対策の効果が、対策の負担などに見合うものかどうかが、対策の最適化の観点ではポイントになるでしょう。
魚を食べることで自然放射性物質からの線量が増加し、魚をたくさん食べると年間の摂取で1 mSv程度になると聞きました。魚を食べるのを減らして受ける線量をできるだけ小さくするのがよいですか?
魚を食べる量を減らすとPo-210による被ばく線量を減らしますが、魚を食べることには利点もあるので、その方法はおすすめできないと考えられています。
食事による実際の被ばく量はどのくらいですか?
食品中の濃度から推計することができます。
チェルノブイリ事故の影響の本当のところが知りたい。
チェルノブィリ事故による健康影響の概要:その全体像などをご覧下さい。
食品の検査はどのように行われていますか?
マニュアルに従って行われています。