用語 ほ/H
ホット・パーティクル
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保健師はICRP(ここでは放射線に関する専門的な文書の意味で用いています)の資料を読んで理解する必要があるのかしら? | |
科学的に正確な情報を自治体職員がよく理解し、住民にわかりやすく説明する必要があるかどうか皆さんはどう思われますか? | |
身近な専門職の説明は有用なこともあると思うけど、専門的なことの学習には負担も伴うので役割分担すればよいのでは… | |
保健師に求められる役割を担えればよいのでは… |
この記事は放射線のことをご心配なさっている方々からのご質問に基づいていますので、どのようなことに懸念を持っているかの例を知ることができると思います | |
私の疑問を解決して欲しいです… |
ホット・パーティクルは危ないと聞いたことがあります。ホット・パーティクルとは何ですか? | |
放射性セシウムなど放射性同位体を比較的多く含む微粒子のことです | |
花粉に放射性セシウムが付着しているというお話しですか? | |
比放射能がケタで違っています | |
花粉は、1kgあたり25万ベクレルもあるとあるので、すごいと思ってしまいます… | |
花粉は一粒が軽いです。約1億分の1グラムしかありません。 | |
一粒あたりの放射能量はとても少ないのね | |
なので、花粉はホットパーティクルとは呼ばれていないと思います | |
花粉だと比放射能は253kBq/kgで、花粉一粒(直径32μm)の重さは1億分の1グラムとのことですので、一粒当たりのベクレル数は、253kBq/kg÷1000g÷100,000,000=2.53×10-6Bqですね | |
花粉よりももっと濃度が高いのをホット・パーティクルと呼んでいるのですね。そんなものが原子力発電所事故の時に飛んできたのですか? |
崩壊熱など(ジルコニウムの水反応など)で燃料棒が熱せられたなどことにより、粒径2μmで数ベクレル程度の放射性セシウムを含む不溶性の粒子が飛んできたことが確認されています | |
どれくらいの数が飛んできたのですか? | |
放射性セシウムの濃度が10Bq/m3で、放射性セシウムを含む微粒子にある放射性物質の量が5Bq/個とすると、放射性セシウムを含む微粒子の濃度は、2個/m3となります。一日の呼吸量を20m3とすると、一日に吸入摂取する放射性セシウムを含む微粒子の数は、40個となります。 | |
実際に観測されたデータはどうでしたか? | |
2011年3月14日~15日につくば市の気象研究所敷地内でつくば気象研究所によりサンプリングされ測定されたデータでは、1m3あたり約10個の放射性粒子が存在していたことが示唆されています。一日の呼吸量を20m3とすると、一日に吸入摂取する放射性セシウムを含む微粒子の数は、200個となります。 | |
そのような粒子がずっと漂っていたのですか? | |
3月20日~21日に収集されたフィルターで調べた結果では、 2011年3月14日~15日の結果とは異なっていたとされています。 | |
自分がいた場所でどの程度吸い込んだかわかりそうですか? | |
微粒子の形態により大気中の挙動は異なると考えられ、エアロゾルの大気中の輸送モデルを使ってある程度推定できるかもしれません。 |
Challenging Radionuclides in Environment at the Atomic Scale: Issues in Waste Disposal and Fukushima
Cesium-rich micro-particles unveil the explosive events in the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant
Utsunomiya, S., Furuki, G., Ochiai, A., Yamasaki, S., Nanba, K., Grambow, B., & Ewing, R. C. (2019, June 1). Caesium fallout in Tokyo on 15th March, 2011 is dominated by highly radioactive, caesium-rich microparticles. ArXiv. arXiv.
Abe, Y., Onozaki, S., Nakai, I., Adachi, K., Igarashi, Y., Oura, Y., … Moriguchi, Y. (2021). Widespread distribution of radiocesium-bearing microparticles over the greater Kanto Region resulting from the Fukushima nuclear accident. Progress in Earth and Planetary Science, 8(1).
微粒子だと危ないというのは、どのような考え方によるのですか? | |
局所に集中的に放射線のエネルギーを与えることで影響が大きくなるのではないかと心配されているのだと思います。アルファ線だと狭い範囲に放射線のエネルギーが与えられるので、より影響が大きいことが確認されています | |
天然放射性核種のカリウム40はK-40の原子のみ固まって存在することはなく、K-39と混ざっているので、放射線が一つの細胞に当ることは多くても一回なので外部被ばくと同じ被ばくになるので、まったく気にならないけれども、微粒子状の人工放射性核種(セシウムなど)になると、周辺細胞は無数の放射線に晒され死滅して、死滅しない程度に離れた細胞は癌化したり、染色体異常の細胞として生き残り、筋肉の塊である心臓にセシウムが引き寄せられれば、新陳代謝のない心臓組織においては細胞死自体がリスクの根源となると考えられるけれども、そのことをICRPは気づいていないふりをしているのが許せないそうです | |
K-40だけ分離したカリウムとK-39が混在するカリウムの微粒子で、一つの細胞に入射するベータ線粒子の数は、K-40の数などに依存する気がする。「放射線が一つの細胞に当ることは多くても一回」とあるのは過小評価しすぎではないでしょうか | |
細胞死が先行するため、発がんの効果が低くなるというのは、あり得るように思いますが、細胞死が組織にダメージをもたらしうることも考えた方がよいかもしれない。また、細胞死の範囲によるのかもしれませんが、細胞再生が乏しい器官では、何か影響を及ぼすのではないかと思ってしまいます | |
本当のところはどうですか? | |
プルトニウムだとビーグル犬を使った鼻部曝露吸入で、ホットパーティクルで投与した方が逆に肺がんのリスクが小さいとの結果が得られたものがあります(pdf file 2.5MB) | |
ホットパーティクル効果に対しては、「微粒子を形成しない」方が影響を与えうる電離の「有効個数」が多く、影響が大きくなりえるとするアイデアもあるようです。このアイデアによると微粒子が特別な場所に存在するのでなければ、微粒子であるがゆえの危険性を強調する必要はないとなりそうです | |
アルファ線核種だと自己吸収も効いてきそうですが、ベータ線核種ではどうですか? | |
α線での自己吸収の程度も条件によるのではないでしょうか。小さい微粒子で密度が軽いと突き抜ける成分が多くなりそうです | |
UNSCEARの2008年報告のHealth effects due to radiation from the Chernobyl accidentでは、ベータ線核種を含む微粒子で健康影響が増強するかどうかはよくわからないとされています(A5)。 |
Hot particles deposited in the pulmonary region have a long retention time and this can lead to considerable localized doses. Although it had been demonstrated in the 1970s that alpha-emitting hot particles are no more radio- toxic than the same activity uniformly distributed in the whole lung, it was not clear whether the same conclusion could be reached for beta-emitting hot particles.
239PuO2 is primarily retained within the lungs and associated lymph nodes.
Griffith, W.C., Lundgren, D.L., Hahn, F.F., Boecker, B.B., & McClellan, R.O. (1986). An interspecies comparison of the biological effects of an inhaled, relatively insoluble beta emitter (CONF-830951--). Mahaffey, J.A. (Ed.). United States
Puukila, S., Thome, C., Brooks, A. L., Woloschak, G., & Boreham, D. R. (2018). The influence of changing dose rate patterns from inhaled beta-gamma emitting radionuclide on lung cancer. International journal of radiation biology, 94(11), 955–966.
Raabe OG. Concerning the health effects of internally deposited radionuclides. Health Physics. 2010 Mar;98(3):515-536.
ROY C. THOMPSON. LIFE-SPAN EFFECTS OF IONIZING RADIATION IN THE BEAGLE DOG, A SUMMARY ACCOUNT OF FOUR DECADES OF RESEARCH FUNDED BY THE U.S. DEPARTMENT OF ENERGY AND ITS PREDECESSOR AGENCIES
よくわからなかったということは、アルファ線核種ではホットパーティクルの方がリスクが小さいと確認されたけど、ベータ線核種ではホット・パーティクルの方がリスクが小さいことが証明できず、結果として、ベータ線核種ではホット・パーティクルの方がリスクが大きいと考えられるということでしょうか? | |
ベータ線核種でのホットパーティクルでは、そもそも、この仮説の肯定や否定に役立つデータがないようです。ホット・パーティクルの方がリスクが小さいことは証明されていませんが、ホットパーティクルの方がリスクが大きいことも証明されていません | |
「ホットパーティクルの方がリスクが大きいことも証明されて」いないから、リスクが大きくないと主張するのはフェアではないと思う | |
そうですね。UNSCEARの2008年報告を根拠に、証明されていないから、リスクが大きくないと主張するのは正しくないと思います | |
ICRP Publ.66の16項での動物実験では一貫して、ホットパーティクル仮説のpremiseがrefuteされているにも関わらずという表現への反発もあるのだろうと思う |
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これらの研究結果はどのように評価されたのですか? | |
米国では、様々な立場の研究者により意見交換され、報告書が作成されています | |
何が本当かについて議論があるのであれば、そのような試みをしてみるとよいのではないかしら… | |
ベータ線のホット・パーティクルの生物影響もデータを示して説明して欲しい…。セシウム・ボールは、「球状粒子がCsとともに相当量のFe(鉄)とZn(亜鉛)および少量のCl(塩素)、Mn(マンガン)、O(酸素)を含有している」とあり、体内挙動はセシウムとは違っている可能性は大だと思います | |
溶けないと体内に吸収されないのでは… | |
Csボールのようなホットパーティクルによる内部被ばくの危険性は局所で起こっているのに、ICRPの計算式では分母が60兆個の細胞で希釈され、実際の影響は未知のままなのも納得できません | |
少数の細胞での生物影響の大きなリスクと、多数の細胞での生物影響の小さいリスクの比較ですね… | |
ベータ線放出核種を含むホットパーティクルで動物実験して確認しようというアイデアはないのでしょうか? | |
ホットパーティクルへの言及はありませんでしたが、実験的に確認すべきとの主張があったシンポジウム例です。 | |
人々の疑問に答えるためには研究だと思うけど、世の中には優先順位もあるので、その研究にどの程度資源を投入するのも問われるところだと思う。皆さんはどう思われますか? |
粒径2μmで10Bqの粒子を考えたその微粒子が同じ部位に1時間付着し続けた場合の線量の推計例です。
このページには放射線飛跡図を含みます。
微小領域の線量はラジカル生成密度を示します。 線量の大きさがそのまま生体影響の大きさを示すとは限りません。
10decay/sec×60sec/min×60min/hr=3.6E+4decay/hr
一壊変あたり平均0.5MeVの電子を放出すると仮定し、
微小粒子がクリアランスされずその場所に留まり続けるとすると1時間で周囲に付与するエネルギーは
0.5[MeV/decay]×10 [decay/sec]×3.6E+4[sec/hr]→1.8E+4[MeV/hr]×1.6E-19[J/eV]≒3E-8[J/hr]
深さ100μmmの立方体の範囲でそのエネルギーの全てを失うと仮定すると(微粒子への自己吸収も含めて)、
3E-8[J/hr]/1E-6[kg]=30 mGy/h
青い円は半径1mmの球を示します。
赤い線は高速電子の飛跡です。
黄色い線は制動放射の光子の飛跡です。
(ベータ線による線量)
微粒子から外側の20µmまでの範囲:1.5E+0Gy/h程度
100〜200µmの範囲:1.5E-2Gy/h程度
200µmから1mm:4.7E-3Gy/h程度
(ガンマ線による線量)
微粒子から外側の20µmまでの範囲:1.6E-4Gy/h程度
100〜200µmの範囲:1.1E-5Gy/h程度
200µmから1mmだと1.7E-6Gy/h程度
2kBq/cm2の密度で25cm2の広さにCs-134が分布した場合の深さ0.5mmまでの領域の組織平均吸収線量
ベータ線による線量:1.5mGy/h程度
ガンマ線による線量:0.04mGy/h程度
Cs-134での深さ0.4mmでの皮膚吸収線量率は、1Bq/cm2あたり、Cs-134の場合に深さ0.4mmで0.262µGy/hとされていますので、0.5mGy/yhと推計されます。
(ベータ線による線量)
微粒子から外側の20µmまでの範囲:1.2E+0Gy/h程度
100〜200µmの範囲:0.7E-2Gy/h程度
200µmから1mm:1.0E-4Gy/h程度
(ガンマ線による線量)
微粒子から外側の20µmまでの範囲:1.5E-4Gy/h程度
100〜200µmの範囲:0.9E-5Gy/h程度
200µmから1mmだと1.6E-6Gy/h程度
1Bq/cm2あたり、Cs-134の場合に深さ70μmで1.0µGy/h程度、Cs-137の場合に深さ70μmで1.4µGy/h程度とされています。 ここでの計算では1cm2の範囲にCs-137が均一に分布するのではなく、ごく狭い領域に密集して集まったと仮定し、その周囲の線量を求めています。
組織反応は細胞の脱落により観測される反応なので、一定の範囲の細胞に影響を与える必要があると考えられます。
それぞれのがんによる放射線誘発の発がんリスクの推定のための曝露量評価では、RBEも考慮した上で臓器の平均吸収線量を考えます。 RBE(Relative Biological Effectiveness)とは、生物学的効果比のことです。 小さい線量であることは生成されるラジカル数が少ないことを意味しますが、放射線の影響は生成されるラジカル数だけではなく、その生成密度の不均一さも影響を与えることが知られています。 このため、平均吸収線量が小さくても、リスクが小さくならないことがあります。 マイクロドシメトリは線量を評価する領域が小さくなりますので、それによるリスクを考えるためには、小さい領域に与えられたエネルギーが、どのように生体に影響を与えるかを考える必要があります。
面積が1.1mm2の水でできた円柱を考え、Cs-134とCs-137をそれぞれ3Bqずつ含む半径1μmのセシウムボール付着面から深さ10μm毎の吸収線量率の計算例
日本マイクロビーム生物研究会
福島原発事故による生物影響の解明に向けた学際共同研究
広範に分布している放 射性セシウムと比べて、セシウムボールは局所的に高い被ばく線量をもたらす要因になると考えられる。 このように福島原発事故による特徴的な被ばく影響については培養細胞を用いて局所影響を検討する。
Sakama M. et al. (2016) Monte Carlo Evaluation of Internal Dose and Distribution Imaging Due to Insoluble Radioactive Cs-Bearing Particles of Water Deposited Inside Lungs via Pulmonary Inhalation Using PHITS Code Combined with Voxel Phantom Data. In: Takahashi T. (eds) Radiological Issues for Fukushima’s Revitalized Future. Springer, Tokyo.
セシウムボールによる細胞影響評価
放射線医学総合研究所
ビームを細く絞り、一つの細胞をねらい打ちできるマイクロビーム細胞照射装置などをご覧になることができます
microdosimetry で得られる線量は、あるエネルギーを持った放射線粒子がどの範囲でエネルギーを失うかを考える必要があります。このため、任意の微小領域で全てのエネルギーを失うと考えるのは適切ではないと考えられるのではないでしょうか。いずれにしても、上で述べたようにマイクロドシメトリは線量を評価する領域が小さくなりますので、それによるリスクを考えるためには、小さい領域に与えられたエネルギーが、どのように生体に影響を与えるかを考える必要があると思われます。
PHITS開発の現状と今後の予定
Microdosimetric Analysis Confirms Similar Biological Effectiveness of External Exposure to Gamma-Rays and Internal Exposure to 137Cs, 134Cs, and 131I
セシウムボール被ばくによる細胞核線量とDNA損傷の推定 Estimation of nuclear dose and DNA damage following exposure with cesium bearing microparticles
丹羽大貫先生は、内部被ばくは外部被ばくより危険か?で、「内部被ばくでは、組織で『均等に分布』して存在するか、『微粒子状』で存在するかによって、効果はすこし異なる。均等分布の場合、内部被ばくの効果は同じ線量の外部被ばくとおおむね同様と考えられるが、その場合でも上記の線量率効果により、リスクが低くでる傾向にある。そして、放射性核種が微粒子状で存在する場合、まず微粒子内での自己吸収のために、線量自体が低くなる上、微粒子近傍では線量が高すぎて細胞死が先行する。すなわち、微粒子状の放射性核種では、まず微粒子内での自己吸収のために、線量自体が低くなる上、微粒子近傍では線量が高すぎて細胞死が先行するため、効果が低くなる傾向にある。」と書かれていますが、2μm程度の微粒子内での自己吸収程度も見積もれるのですね。同じ比放射能で直径が4μmと倍のホットパーティクルがあるとすると線量はどうなりますか? | |
比放射能が同じで直径が倍になると、含まれる放射性物質の量は8倍になりますが、線量の増加としては、Cs-137を仮定した場合、微粒子から外側の20µmまでの範囲では6倍程度に留まります。 | |
仮に直径が12μmと6倍のホットパーティクルがあったとしたらどうでしょう? | |
比放射能が同じで直径が6倍になると、含まれる放射性物質の量は216倍になりますが、線量の増加としては、Cs-137を仮定した場合、微粒子から外側の20µmまでの範囲では80倍程度に留まります。より微粒子から遠いところではガンマ線の寄与が効いてくるので、自己吸収効果が小さくなり、微粒子中の放射性物質の量の影響を受けやすくなります。ここでの計算は自己吸収効果を過小に見積もっています。より正確には、微粒子の元素組成や密度を考慮する必要があります。 | |
仮置き場の近くで思ったほど線量が高くないのは、自己吸収効果と聞いたことがあります。放射線の話はなかなか直感が通じない… |
そもそも自己吸収って何ですか? | |
放射性物質を含む物質の周囲の放射線の量が放射性物質を含む物質そのものの吸収で小さくなることです。 | |
仮置き場の場合は土で吸収ですね | |
自己吸収は放射性物質が他の放射性物質の放射線を吸収ではなく遮蔽するという概念なのでしょうか?遮蔽もエネルギーの吸収でしょうが…。『自己』吸収ではなく、自己遮蔽と言った方が分かりやすいと思う | |
その通りで、遮へいは放射線エネルギーの吸収です。確かに、「自己遮蔽」の方がわかりやすいかもしれない… | |
いずれにしても、土で放射線が吸収されると言うことですね。土と一緒に集めずに放射性物質だけ掃き集めたらどうなるのかしら? | |
自己吸収が効かないと集めただけ線量が上がってきます | |
濃度が高い部分は仮置き場の中心のように奥の方がよさそう… | |
そのような工夫でどれだけ線量を減らせるかも計算で推測できます |
「線量率効果により、リスクが低くでる傾向にある」とありますが、「線量率効果」とは何ですか? | |
「放射線が一挙に与えられるのではなく、低線量率で与えられる場合、DNA 損傷の修復はより効率が良くなるため、変異や発がんなどの健康に対する影響も軽減される。これを線量率効果と呼ぶ」とあります。この説明で理解できますか? | |
線量率効果は内部被ばくに限定したものでは無く、外部被ばくにも共通したものではないでしょうか?また、低線量被ばく時にも見られるのではないでしょうか? | |
もちろん、低線量・線量率効果は、内部被ばくだけではなく、外部被ばくでも起こると考えられている現象で、事実、外部被ばくでも観測されています。このため、線源が体内にあるかどうかとは関係がありません | |
内部被ばくは外部被ばくと比較して、『その場合でも上記の線量率効果により、リスクが低くでる傾向にある』とされているのは、どのような理由によるのでしょうか? | |
私も同じ、疑問を持ちました。「内部被ばくの健康リスクは、この線量率効果が効いているため、概して外部被ばくより効果が小さくなるのである。」ともありますが、比較する外部被ばくの線量率にもよるのでは… | |
常識的に考えて欲しい。外部被ばくの方が内部被ばくに比べて、線量率は高いはずです | |
原子力発電所事故後の現存被ばく状況での外部被ばくは線量率が低いのでは… | |
原子力発電所事故による外部被ばくが低いような状況だと、内部被ばくによる線量も小さいのでは… |
微粒子近傍では線量が高すぎ細胞死が先行する為『効果が低くなる』とはどのような意味ですか? | |
組織反応は細胞の脱落によるから線量が大きいと効果が表れやすいように思う | |
影響を受ける細胞の範囲も重要そうですが、そもそも、ここでは組織反応のことを議論しているのではないと思う | |
がん化などの影響は細胞が死んでしまうとその細胞では起きないことはわかるけど、細胞死を起こす細胞の周囲は線量を受けたにもかかわらず、細胞が生き残ると思うので、話が良く理解できない… | |
がんを起こすような変化をもたらす線量を受ける細胞が線量あたりでは少ないと言おうとしているのではないかしら… | |
言っている意味が理解できません… | |
同じ線量がある臓器に与えられたとして、一部にはすごく高い線量で他にはすごく低い線量だとすると、すごく高い線量のところは細胞が死んでしまうので、がんの発症には関係しないけど、均等に線量が与えられると死んでしまう細胞がないので、すべての細胞ががんの発症に関係しうるので、全体として発がん確率が高くなるということではないかしら | |
生物効果をもたらす上でエネルギーの浪費となる部分ができてくるというアイデアであるようです |
UNSCEARの2008年報告のHealth effects due to radiation from the Chernobyl accidentでは、肺がんを含む固形がんは、増加が確認されておらず、疫学研究では、その増加を検出することは検出力不足のために困難であろうとしています。また、APPENDIX A. PHYSICAL AND ENVIRONMENTAL CONTEXTでは、SUMMARY FROM THE UNSCEAR 2000 REPORTの紹介に於いて、「Although it had been demonstrated in the 1970s that alpha-emitting hot particles are no more radio- toxic than the same activity uniformly distributed in the whole lung, it was not clear whether the same conclusion could be reached for beta-emitting hot particles.」とベータ線核種でのホット・パーティクル効果に関しては、よくわからないと述べられています
Provenance of uranium particulate contained within Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Unit 1 ejecta material
Morooka, K., Kurihara, E., Takehara, M., Takami, R., Fueda, K., Horie, K., … Utsunomiya, S. (2021). New highly radioactive particles derived from Fukushima Daiichi Reactor Unit 1: Properties and environmental impacts. Science of the Total Environment, 773.
Emission of spherical cesium-bearing particles from an early stage of the Fukushima nuclear accident
ウランを含む原発事故由来のガラス状の大気粉塵がつくばにまで飛来 -放射光マイクロビームX線を用いた複合X線分析- (プレスリリース)(2014年08月08日)
Caesium-rich micro-particles: A window into the meltdown events at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant
Hidaka, A. (2019). Formation mechanisms of insoluble Cs particles observed in Kanto district four days after Fukushima Daiichi NPP accident. Journal of Nuclear Science and Technology, 56(9–10), 831–841.
Sulfate Aerosol as a Potential Transport Medium of Radiocesium from the Fukushima Nuclear Accident
第8回東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議
EPA: Health effects of alpha-emitting particles in the respiratory tract
実験データを元に考え方が異なる研究者間での検討により作成されています。
CDC: Agency for Toxic Substances and Disease Registry, Toxicological Profile for Plutonium プルトニウムの吸入被ばくによる発がん等生物影響 ─動物実験でどこまで明らかにされたか─
Svendsen, E., Kolpakov, I.E., Stepanova, Y.I., Vdovenko, V.Y., Naboka, M., Mousseau, T.A., Mohr, L.C., Hoel, D.G., & Karmaus, W.J. (2010). 137Cesium Exposure and Spirometry Measures in Ukrainian Children Affected by the Chernobyl Nuclear Incident. Environmental Health Perspectives, 118, 720 - 725.
Reduced Lung Function in Children Associated with Cesium 137 Body Burden
Dr Patrick Smeesters. Effects of radiation exposure of children: the new UNSCEAR report Highlights and critical review
Dr Patrick Smeesters. Ethical issues debated after Fukushima
Dr Patrick Smeesters. Ethical issues debated after Fukushima
Do Chernobyl hot particles represent a public health hazard? (Biomedical and dosimetric aspects of hot particles)
Mikhail Balonov先生から教えて頂きました。放射性ルテニウムを含むホット・パーティクルも対象にして肺がんが起きる場所とホット・パーティクルが沈着しやすい場所の関係も検討されています( 27ページの最後のパラグラフ)。著者の一人である、V.S.Repin先生からは、セシウムのホット・パーティクルの場合、ホット・パーティクル効果を考えるべきかどうかは、ホット・パーティクルがクリアランスが悪いと考えられる気管内の分岐部に付着する確率が大きいかどうかにもよるのではないかとのコメントを頂きました。
DNAレベルでの正確な被ばく線量評価を可能にする放射性核種データベースを開発(平成20年1月8日)
DNA damage induction during localized chronic exposure to an insoluble radioactive microparticle
Ojima, M., Ito, A., Usami, N. et al. Field size effects on DNA damage and proliferation in normal human cell populations irradiated with X-ray microbeams. Sci Rep 11, 7001 (2021).
佐藤達彦、真辺健太郎(原子力機構)、浜田信行(電中研).細胞レベルの吸収線量分布から推定した内部被ばくと外部被ばくの生物学的効果比
東京大学アイソトープ総合センター.「セシウム花粉」の内部被ばく影響は砂埃に比べて無視できるほど小さい
いわゆる「セシウム・ボール」は確認されていないようです(その後、調べられていますので追記しました(2017年6月29日))。
2012年2月19日~4月14日の8週間での調査では、もっとも内部被ばくが大きい人で、年間の吸入による曝露は3.2 μSvであるとされ、砂埃の吸入を防ぐことでこの線量が減らせるとしています。
一般市民が着用した不織布製マスクに付着した放射性源の解析
桧垣 正吾.一般市民に低線量内部被ばくを及ぼしうる放射性セシウム中の不溶性粒子存在度の解析
Chemical states of fallout radioactive Cs in the soils deposited at Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident 土壌-植物系における放射性セシウムの挙動とその変動要因
加藤辰夫.原発事故による空調用エアフィルタへの影響.空気清浄.55(2)、2014
ホットパーティクルを吸い込んだ場合に、痰として排出できずに飲み込んでしまった場合も心配です。成人男性は痰を吐き出しても、女性や子どもは飲み込むのではないでしょうか | |
何を心配しているのですか? | |
消化管粘膜にくっつくのではないかと心配です。そもそもICRPは消化管の線量評価が甘いと思う | |
どうしてですか? |
ICRP自身で小腸内での放射性核種の滞留が線量評価に及ぼす影響に注意を示しながらも、肝心の標的臓器として大腸はあっても小腸が含まれていないです | |
GI-TractでのSI Wallは? | |
わかりました。この問題は解決しました。でも微粒子として消化管粘膜に付着するのではないかと心配です。それに呼吸気道モデルでは、90年勧告の呼吸モデル変更の際に、Te-132の粒子のデフォルトがType Mになり、その結果評価がかなり低くなったことにも不信があります。疑問が尽きません… | |
肺などからの微粒子のクリアランスに関しては、環境省の評価検討会の資料も参考になると思う |
疑問点を一つずつ考えていくのはいかがでしょうか? | |
ICRPが利用している体内動態モデルでは、テルルでは子孫核種の体内モデルが利用可能とされていますが、核分裂生成物としてのTe-132を体内に摂取後、I-132に壊変したものが甲状腺に与えるエネルギーのことも気になっています。 | |
どのような疑問ですか? | |
1-132の半減期の2.3時間とI-131の8日間の差を積分すると、1/300くらいの差になるらしいのですが、Te-132由来のものは放射平衡で血中でもI-132が同量あるのではないでしょうか。だとすると、I-131とTe-132は大気中では同程度ありますので、同ベクレル数を摂取したとするとmol数ではI-131:Te-132は2.5:1くらい、放射平衡ならI-131対I-132も、2.5:1となると思います。甲状腺は同位体は区別できないので、血液中から2.5:1の割合でどんどん取り込んでいくのではないかと思うのですが.... | |
10歳の子供がtype MのTe-132を吸入した場合の、甲状腺や血液中のTe-132やI-132の量の変化です |
比較のためにI-131の例も示していただけませんか? | |
f1と甲状腺と血液中の量の変化です |
壊変する場所を問わない場合には、総壊変数を考えることになります。総壊変数は、原子の数になります。原子の数としてはI-132とTe-132は同数になります(なぜなら、Te-132は全てI-132に壊変するから)。 | |
放射線は、放射性同位体が壊変する際に出るからですね | |
炉内で生成されたTe-132は次々とI-132になっていきます。炉外や臨界停止後は、Uが核分裂してTe-132が生成される経路はなくなり、炉外でのI-132は、炉内から出たI-132と炉外でTe-132から壊変したI-132で構成されることになります。(永続)放射平衡とは半減期が短い子孫核種の放射能が親核種の放射能で決定される現象を指します。従って、mol数での議論をなさりたいのであれば、最後のステップは間違っていると思います(空気中のモル濃度比から、平衡状態を考慮して、放射能濃度比を検討なさるとよいのではないでしょうか)。 | |
ありがとうございます。空気中から体内に取り込む際にも、mol数か Bq数かが問題になりますね。 | |
話しについて行くにはお風呂の中でゆっくり考える必要がありそう…。「 1-132の半減期の2.3時間とI-131の8日間の差を積分すると、1/300くらいの差になる」とはどういうことですか? | |
どちらを使っても情報量としては同じですが、数字を使う場合には峻別すべきと言うことです。では、より疑問点を明確にしていきましょう | |
f1の値のように、人体内での放射性物質の動きに大きく左右されるので、 理論上の物理の壊変数からの計算とは違ってくるのではないかと思います | |
世界の中での壊変数は物理的に決定されますが、それがどこで壊変するかは、他のファクタも効いてきます。このことには争いはないはずなので、具体的に、他のファクタがどう効いているかを議論なさるとよいと思います。Balonov先生らの論文へのご質問に対して著者からコメントをいただきました。 |
Te-132は、溶解性が低い粒子状のものが吸入されるのではないか。 これが、Te-132が肺のみで検出された理由。
この課題は慎重に検討され、必要な線量計算を実施。
その結果、I-131に比べて、I-132とI-133による甲状腺への線量は、数%程度であり、無視しうると考られた。
これがUNSCEARのリポートに、I-132とI-133による線量寄与について詳しく記載されていない理由。
M. Balonov, G. Kaidanovsky, I. Zvonova, A. Kovtun, A. Bouville, L. Luckyanov and P. Voillequé. Contributions of short-lived radioiodines to thyroid doses received by evacuees from the Chernobyl area estimated using early in vivo activity measurements
Cardis先生の研究(Cardis, E., A. Kesminiene, V. Ivanov et al. Risk of thyroid cancer after exposure to 131I in childhood. J. Natl. Cancer Inst. 97(10): 724-732 (2005).)では、違いが見いだされているが、追試はなされていない。
避難経路は多様。 避難先で汚染ミルクを摂取した例もありえる。 甲状腺がんの発症リスクは甲状腺への線量と強い関係がある。 甲状腺への線量に大きな影響を与えたのは汚染ミルク。
以下は、長くなったので移動させました。
I-131の経口の実効線量はTe-132の5倍ですが、これは娘核種のβ線2倍、γ線6倍のエネルギー差は考慮されているのでしょうか? | |
ここまでの検討では、考慮されていると考えられそうですが、その懸念は何に由来していますか? |
よくカリウムのほうが多いから大丈夫と言われていますが、放射性カリウムはほとんどγ線は出さないですよね。やはり内部被曝はβ線しか考慮されていないのでは | |
Fe-55の線量換算係数は、成人だと吸入摂取が7.7E-10[Sv/Bq]で経口摂取が3.3E-10[Sv/Bq]であるようです | |
Fe-55は壊変時に高速電子を出さない核種ですね | |
ベータ線が飛んでなくても線量があるということは、ベータ線以外の放射線も考慮していると言うことですね |
比吸収割合がおかしそうということであれば、簡易的な計算で検算してみてはどうかしら |
ICRP Publ 66の表はどうなっていますか? | |
こうなっています |
するとγ線は、モンテカルロシミュレーションで線源臓器から飛んでいった先の臓器の線量に、エネルギーの大きさも考慮して加算されているということですね。だとするとやはり動態モデルが原因のように思えるのですが... 。Blood のHalf time はIが0.25d、Teが0.8dなので、そこで崩壊するI-132は多そうです。Teの娘核種の体内動態図にはlungがないのですが、肺で滞留している間に崩壊or崩壊して血液に取り込まれた分は入っているのでしょうか? | |
呼吸気道コンパートメント輸送速度です。呼吸気道沈着割合の設定を変更して計算できるようになっています |
「Te-132」と「Te-132から壊変してできたI-132」の肺での残存量を吸入摂取type Fとtype M別に示します |
検証方法がわからない… | |
呼吸気道内でのモデルのパラメータを変えて肺の線量がどう変わるかを観測して検証するのはいかがでしょう? | |
なるほど。Te-132とTe-129mを比較してみました | |
そのような検証法でも何かが確認できるかもしれません | |
Te-132とTe-129mは吸収率も体内動態も同じではないのですか? 違うのは体内残存期間の壊変数と子孫核種の半減期だけでは | |
代謝の違いではなく、ある場所での壊変数や壊変時に放出されるエネルギーの違いを検討するのであれば、その方法が良さそうですね |
すみません エネルギー差を考慮するのを忘れていました。平均エネルギーはTe-129mのほうがTe-132の10倍くらいあるようですが、1dayの肺の等価線量が同じくらいということは、I-132の壊変がカウントされているからでしょうか? translocated instantaneously to the transfer compartment in inorganic form とどちらなのでしょう。 | |
後者は壊変して生成されたヨウ素は、非有機形で「transfer compartment」に移行するということではないでしょうか。医療分野の放射線防護では放射性ヨウ素は有機化したものの対策が重要だとされています。Te-129mとTe-132とで、1dayの肺の等価線量が同じくらいである理由としては、他に何が考えられそうでしょうか? | |
肺はあまり変わらないのでI-132が2倍のβ線出しているようには見えません | |
初期の肺への線量は、どのようなエネルギー付与によりそうでしょうか? | |
甲状腺の線量の差が娘核種のI-132の寄与分と考えてよさそうですね | |
Te-129mの場合は、どのような核種が関係しそうですか? | |
1dayと30daysの実効線量もあまり変わらないということは(Te-129mの1yearは6.2E-09[Sv/Bq]) 、代謝はほとんど同じで総壊変数は大差ないということでしょうか?やっぱりI-132の6倍のγ線は?というギモンが.... | |
何の実効線量ですか? | |
ICRPの動態モデルは、「器官のコンパートメント及びコンパートメント構造が異なる次の4つの核種グループに分類されている」そうですが、セレンとテルルの吸収率がなぜ違うのでしょうか? | |
歴史的な文書では、テルルの消化管から血液への取り込みは、Hollins(1969)らのラットの胃腸管からテルル化合物の吸収割合を測定し、f1が0.1から0.2の間で値を持つことを示唆し、これらの結果は4価のテルルの胃腸管からの吸収割合がおよそ0.25であると結論づけているScottらの結果(1947)とだいたい一致している、とありました。 | |
一方、食物に含まれているセレンは、ほとんど完全に胃腸管から吸収され、可溶性の無機化合物も胃腸管からの吸収割合が大きい、とされていますね。 | |
UNSCEARのTe-132の吸気被曝もType Mを使っていますが正しいのでしょうか? | |
東電福島第一原子力発電所事故での経験で得られたデータで検証するとよいのではないでしょうか |
肺での沈着と吸収率は正しく評価されているのでしょうか? | |
どこに沈着するかの想定です |
化学形態や粒子径は福島で出たものと合っているのでしょうか? | |
2011年4 月 4 ~ 11 日での筑波での計測データです。感度分析する方向の例と他の観測例です。 | |
ICRPの呼吸気道モデルでの鼻粘膜のクリアランスが妥当かどうか、検証してみてもいいと思います | |
不溶性粒子のクリアランス問題でしょうか?検証の方法はどのようなものが考えられますか? | |
17時間で除去されることになっていたと思いますが、それが妥当か。点鼻薬を研究している研究者や企業に尋ねるとかでしょうか? | |
ICRP Publ.30では、クラスYだと半減期が半年から一年で呼吸気道にとどまるとされているようです | |
I-131のカプセルを口に含み続けたり、誤って子供が手に持ったりやY-90が消化管粘膜に近いリンパ節に集積するという話とも共通するように感じます。現実性の吟味が重要だと思う | |
ICRP Publ.66では、ET1から体外への排出の速度定数は1[d-1]となっています(半減期は17時間) |
鼻粘膜の鼻水は粘膜線毛輸送で鼻の奥の方に移動するそうです。付着した放射性物質も一緒に鼻腔の上方に移動して鼻糞になって固まって滞留するような気がするのですが、そうなった場合は線量が高くなりませんか? | |
それだとホットパーティクルではなくなり、自己吸収が効いてきそう… |
話がどんどん難しくなっています… | |
考えていくのも大変ですね。どこまで検討すればよいでしょう? | |
よくわかりませんが、できることすべてやっていただければそれでよいと思います | |
若手の研究者の執念に期待していると言うことですね |
ホットパーティクルへの曝露の防護に関してICRPはどのように議論していますか? | |
ICRP Pub. 82の5.2.3.潜在被ばくの状況に議論がありました。介入のための対策レベルを確率から導くべきとしていて、長期潜在被ばくのための対策レベルでは、ホットパーティクルの取り込みの結果起こるかもしれない局所性の確定的影響の可能性にも考慮を払うべきであるとなっています | |
レベルを考えて対応すると言うことですね |
( 2014年12月)土壌中のセシウム含有粒子の分析(演題番号:2B3-2)
佐藤 志彦1,末木 啓介1,笹 公和1,足立 光司2,五十嵐 康人2(筑波大AMS1,気象研2)
事故から2年以上が経過しても土壌中に存在し続けていたことが証明されています。この粒子にはセシウムが均一的に含まれていますが、ウランは局所的に含まれていることが示されています。
(2015年12月)福島第一原発周辺で見つかった放射性粒子の特徴(演題番号:2B1-1)
佐藤志彦、末木啓介、笹公和、箕輪はるか、吉川英樹、藤原健壮、中間茂雄、足立光司、五十嵐康人
土壌での放射性粒子の分布が均一と考えられること、放射性粒子が吹きだまりでも存在していること、放射性粒子の性状の違いから、発見された放射性粒子がどの原子炉から放出されたかの特定が可能だと考えられること、原子炉内の物品の元素組成から粒子の元素組成が説明可能だと考えられること、などが説明され、中間貯蔵施設の建設に従事する労働者に対する再飛散による曝露防止の検討に役立つ情報がこのような分析から得られるとしています。
大きな粒子ほどリスクが大きくなるという関係では必ずしもありません。
吸入時にどこに沈着するかやどの程度の期間沈着するかなどは、粒子の大きさや形状、化学的な性質により異なります。
福島第一原発原子炉から地上に降り注いだ放射性微粒子の正体を解明
福島第一原発事故により放出された粒子状放射性物質の物理・化学的性状の解明
北 実,桧垣正吾,作野えみ,廣田昌大.福島第一原子力発電所事故によって汚染されたホダ木で栽培したシイタケの放射性セシウムの測定
福島県内の堆積物中から分離された原発事故由来の強放射性粒子の放射光X線分析
IAEA-TECDOC-1663
Radioactive particles in the Environment: Sources, Particle Characterization and Analytical Techniques(PDF,2.2MB)
ICRP2007年基本勧告に基づく線量評価用換算係数について
Software: Dose and Risk Calculation (DCAL)
ICRP 2007 年勧告の組織加重係数等に基づく内部被ばく線量係数、濃度限度等の試算(受託研究)
「福島原子力事故における未確認・未解明事項の調査・検討結果~第2回進捗報告~」について
添付資料2-7「事故時に観測された中性子と燃料溶融との関連について」(PDF 294KB)
放射線量の不均等分布とその生物効果―Tamplinのホットパーティクル提案をめぐって―
Hot particle dosimetry and radiobiology—past and present
Report No. 130 - Biological Effects and Exposure Limits for "Hot Particles"
特別集会3 福島第一原子力発電所事故直後の大気中放射性物質動態、炉内事象および初期被ばくの研究に関する新たな進展とその横断的な考察
内部被ばく影響評価委員会
日本保健物理学会シンポジウム(体外計測に関する標準計測法の策定に関する専門研究会・内部被ばく影響評価委員会)「福島事故を内部被ばくから考える」
日本保健物理学会シンポジウム Ⅰ「福島事故後の内部被ばくの課題の解決に向けて -不溶性粒子と短半減期核種-」
Japan Health Physics Society Symposium I. Issues related to internal exposure after the Fukushima accident –Insoluble cesium-bearing particles and short-lived radionuclides– Ad hoc Committee on Internal Exposure Evaluations
環境研究総合推進費(安全確保領域 環境問題対応型研究の「原発事故により放出された大気中微粒子等のばく露評価とリスク評価のための学際研究」にも協力していました。 この課題の終了研究成果報告書や成果報告会資料)
質問15(土壌):本日の発表は可溶性セシウムの動態でした。セシウムボールについての研究はどうなっていますか?
回答:不溶性放射性粒子(いわゆるセシウムボール)は、原子炉の建材などに由来するガラス質の微粒子(数μmくらい)です。特に地球化学の観点から、起源(どの原子炉に由来しているか)や鉱物学的な特性に関する研究が進んでいます。すぐには水に溶けませんが、実験室での溶出実験などから、長い時間をかけて放射性セシウムが溶け出す可能性が指摘されています。森林土壌に関しては、原発近くの土壌や樹皮などから発見されたという報告があります。ただし、この粒子を単離する作業に非常に手間がかかることなどから、現存量やその分布、生態系への影響などについては、まだ分かっていません。(回答者:眞中)
エアロゾル粒子は、発生直後は過剰に荷電しているが大気中では両極荷電平衡に達しているので影響が少ないとしている例
表面に不均一な帯電をもつ壁面へのエアロゾル粒子の沈着特性を実験的に検討
山口大学医学部附属病院.疫学研究 -肺炎原因菌の基礎データベースの構築- についてのお願い
Bronchoalveolar Lavage (BAL) for Research; Obtaining Adequate Sample Yield
II INTERNATIONAL CONFERENCE ON RADIOECOLOGICAL CONCENTRATION PROCESSES (50 years later),University of Seville, Seville, Spain
WEDNESDAY 9TH NOVEMBER
(Centro Nacional de Aceleradores)
9.00 – 9.40: Invited Lecture “Challenges associated with radioactive particles in the environment”
B. Salbu (Norway)
9.40 – 10.00: “Particles as concentrated sources related to uptake and radiological dose in mammals”
Johanssen et al. (Australia)
10.00 – 10.20: “Hot particles studies by Ion Beam Analysis (IBA) techniques and Accelerator Mass Spectrometry (AMS) at CNA”
Jimenez-Ramos et al. (Spain)
10.20 – 10.40: “Retention of particle associated radionuclides in biota”
Lind et al. (Norway)
小野 貴大君(中井研究室 修士1年)が日本分析化学会第64年会ポスター賞を受賞
優秀プレゼンテーション賞
佐藤志彦、末木啓介、笹 公和(筑波大AMS)、足立光司、五十嵐康人(気象研).土壌中のセシウム含有粒子の分析
福島原子力発電所事故由来のホットパーティクルによる事故状況の解明
放射性セシウム含む微粒子 「3.11」後、都内にも飛来 2017/5/25 23:30日本経済新聞 電子版
クローズアップ現代+「原発事故から6年 未知の放射性粒子に迫る」
溶けにくい放射性粒子、福島の川で「セシウムボール」確認
福島第一原発事故由来放射性セシウムの再浮遊:胞子は重要な役割を果たすのか?
夏季-秋季における放射性セシウム大気再飛散のメカニズム
放射性物質の大気沈着・拡散過程および陸面相互作用の理解
夏季の放射性セシウム再飛散と森林起源バイオエアロゾル
大気・降水放射能・バイオエアロゾル試料採取法の実習と電顕観察
茨城大学-IRSN(フランス放射線防護原子力 安全研究所)国際ワークショップ「大気放射性セシウムとバイオエアロゾルの放出」
放射線影響学会による案内
Policy paper: Radioactive Particles in the Environment: Sellafield Limited
Collection: Sellafield Ltd environmental and safety reports. Particles in the Environment Report
松岡 理, 放射線量の不均等分布とその生物効果―Tamplinのホットパーティクル提案をめぐって―, RADIOISOTOPES, 1976, 25 巻, 10 号, p. 659-669
日本原子力産業協会.未知の放射性粒子「セシウムボール」を探る
福島原発事故において原子炉から飛散した放射性微粒子は加熱により放射性セシウムが脱離することを発見
B2-25 福島第一原発に近い地域の住家内セシウム汚染による内部被ばく線量評価
○吉田 浩子(東北大), 篠原 直秀(産総研), 真辺 健太郎(原子力機構), 桧垣 正吾(東大)
ハタキがけでの再浮遊によるエアロゾル吸入による預託実効線量は、99%タイル値で3.2μSv、同じく不溶性粒子(直径2.1μm)の吸入による預託実効線量は99%タイル値で4.1μSvと推定されていました(それぞれ一日の吸入あたり)。
環境研究総合推進費.原発事故により放出された大気中微粒子等のばく露評価とリスク評価のための学際研究
終了研究成果報告書
Kentaro Manabe and Masaki Matsumoto. Modeling of Internal Dose from Insoluble Cesium
福島原発事故によって飛散した放射性微粒子の溶解挙動を解明
東大など、「放射性微粒子(通称:セシウムボール)」の溶解挙動を解明
Suetake, M., Nakano, Y., Furuki, G., Ikehara, R., Komiya, T., Kurihara, E., … Utsunomiya, S. (2019). Dissolution of radioactive, cesium-rich microparticles released from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant in simulated lung fluid, pure-water, and seawater. Chemosphere, 233, 633–644.
Okumura, T., Yamaguchi, N., Dohi, T., Iijima, K., & Kogure, T. (2019). Dissolution behaviour of radiocaesium-bearing microparticles released from the Fukushima nuclear plant. Scientific Reports, 9(1).
Miura, H., Ishimaru, T., Ito, Y., Kurihara, Y., Otosaka, S., Sakaguchi, A., … Takahashi, Y. (2021). First isolation and analysis of caesium-bearing microparticles from marine samples in the Pacific coastal area near Fukushima Prefecture. Scientific Reports, 11(1).
Miura, H., Kurihara, Y., Sakaguchi, A., Tanaka, K., Yamaguchi, N., Higaki, S., & Takahashi, Y. (2018). Discovery of radiocesium-bearing microparticles in river water and their influence on the solid-water distribution coefficient (Kd) of radiocesium in the Kuchibuto River in Fukushima. Geochemical Journal, 52(2), 145–154.
ホットパーティクルの近くでは、数グレイの被曝と書いてありまして、数グレイと言う事は数シーベルトになりますよね?なのに臓器全体で平均化すると、0.0何ミリシーベルトの被曝になりますけど、本当にこのやり方でいいのでしょうか? | |
極端な臓器内の不均等被ばくを臓器全体でどう考えるかですね | |
リスクが線量に比例すると考えると、例えば臓器の1/10のみが放射線曝露した場合は、臓器全体が曝露した場合に比べると線量を1/10にするとよいとなさそうですが、どのような疑問がありますか? |
難溶性微粒子にはプルトニウムも含まれるのかしら? | |
難溶性微粒子にはウランを含むことが証明されているので、プルトニウムも含むと考えられるのではないかしら |
含まれている量はどの程度かしら? | |
相対的には小さいとされているようですが、環境試料中のプルトニウムの放射性セシウムに対する比も提示されています | |
U concentration in the CsMPs is low (ppm level in the bulk)とありました | |
原子炉からの放出量に関してThis is evidence that a small amount of U, about 150 g, was discharged from the fuels in the reactors. ともあります | |
ウランの濃度が1 ppmだとすると難溶性の微粒子の半径を1 µmとするとその体積は1.3 µm3で比重を1と仮定すると、難溶性の微粒子1つに含まれるウランの質量は1.3×10-18 gになります。Uの原子の数に換算すると3.4E+03個になります。なので難溶性の微粒子1個あたりのウランの放射能は9.4E-14 Bq程度となりそうです | |
『Core inventory の放射能比=(7.54-9.96)x10-3』からは大きく乖離していますね |
難溶性の微粒子として含まれる放射性セシウムの割合はどの程度かしら? | |
セシウムとしての相対的な割合も調べられています |
佐藤 志彦, 福島第一原発事故で放出した放射性粒子, 日本原子力学会誌ATOMOΣ, 2019, 61 巻, 6 号, p. 446-448
Ninomiya K. (2020) Properties of Radioactive Cs-Bearing Particles Released by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident and Trace Element Analysis. In: Fukumoto M. (eds) Low-Dose Radiation Effects on Animals and Ecosystems. Springer, Singapore.
鶴田 治雄, 中島 映至, 福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質の大気中での動態, 地球化学, 2012, 46 巻, 2 号, p. 99-111
福島原発から放出された高濃度放射性セシウム(Cs)含有微粒子(CsMP)の個数、放射能寄与率の分布図を初めて作成
水生昆虫への放射性セシウム粒子の移行を解明 —体組織への吸収は確認されず—
Higaki S, Kurihara Y, Yoshida H, Takahashi Y, Shinohara N. Discovery of non-spherical heterogeneous radiocesium-bearing particles not derived from Unit 1 of the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant, in residences five years after the accident. J Environ Radioact. Elsevier Ltd; 2017;177:65–70.
Miura, H., Kurihara, Y., Yamamoto, M. et al. Characterization of two types of cesium-bearing microparticles emitted from the Fukushima accident via multiple synchrotron radiation analyses. Sci Rep 10, 11421 (2020).
Noriko Yamaguchi, Toshihiro Kogure, Hiroki Mukai, Kotone Akiyama-Hasegawa, Masanori Mitome, Toru Hara, Hideshi Fujiwara, Structures of radioactive Cs-bearing microparticles in non-spherical forms collected in Fukushima, GEOCHEMICAL JOURNAL, 2018, 52 巻, 2 号, p. 123-136
Martin, P. G., Jones, C. P., Bartlett, S., Ignatyev, K., Megson-Smith, D., Satou, Y., … Scott, T. B. (2020). Structural and compositional characteristics of Fukushima release particulate material from Units 1 and 3 elucidates release mechanisms, accident chronology and future decommissioning strategy. Scientific Reports, 10(1).
Ochiai A, Imoto J, Suetake M, et al. Uranium Dioxides and Debris Fragments Released to the Environment with Cesium-Rich Microparticles from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant. Environ Sci Technol 2018; 52: 2586–94.
Abe Y, Iizawa Y, Terada Y, Adachi K, Igarashi Y, Nakai I. Detection of Uranium and Chemical State Analysis of Individual Radioactive Microparticles Emitted from the Fukushima Nuclear Accident Using Multiple Synchrotron Radiation X-ray Analyses. Anal Chem 2014; 86: 8521–5.
Imoto, J., Ochiai, A., Furuki, G. et al. Isotopic signature and nano-texture of cesium-rich micro-particles: Release of uranium and fission products from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant. Sci Rep 7, 5409 (2017).
肺胞領域に沈着した粒子状物質は、貪食と輸送という二つの機構により除去されるが、 肺胞領域に沈着した粒子状物質は一般に、粘液線毛輸送で排出される気道に沈着した 粒子状物質より滞留時間が長い。 気道及び肺に沈着する粒子状物質の成分には、数秒から数分で溶解するものも、数時間から数日かけて溶解するものもあるが、何ヶ月又は何年も肺に残るほど溶けにくい成分もある。生体内持続性は、時間をかけて蓄積する不溶性の粒子状物質にとって重要である。
石榑 信人, 内部被ばくの防護に用いられる線量, RADIOISOTOPES, 2013, 62 巻, 7 号, p. 465-492
しかしながら、こうした単純な数学的アプローチにより「ホットパーティクル」の影響の特異性が明らかにできると期待するのは早計であろう。数学モデルに組み込むことが困難な様々な生物学的現象の存在が想定されるからある。「ホットパーティクル」は臓器内でどのように遊走するのか、あるいはほぼ静止しているのか。 高線量率照射により捐傷した局所における組織の再生の有無とそのことが誘発するかもしれない突然変異の増大の可能性は如何であろうか。あるいは、近年明らかとなったパイスタンダー効果の存在は、「放射線誘発がんは個々の細胞から相互に独立に発生する」というモデル…
KREYLING WG. Interspecies Comparison of Lung Clearance of “Insoluble” Particles. J Aerosol Med [Internet]. Mary Ann Liebert, Inc., publishers; 1990;3:S-93-S-110.
ここで扱っている粒子で最初にサイト近くで見つかったものの放射能量は一個当たり3千から2万ベクレル程度が想定されています。
形状は球形で直径が1μメートル程度までとされています。
その後、ヨーロッパ各地でも確認されたことから、ここでは33人に一人が1つのβ線核種のホットパーティクルを吸い込み肺に沈着すると考えて(吸い込んだもののうち20%が肺に吸着する想定(気管支はそこにくっついても割と早くクリアランスされるので無視する想定です))計算でリスクを推定しています。
このホットパーティクルは不溶性で肺に一年間くっつき続ける想定となっています(なので沈着部位の違いは考慮していない)。
肺の平均吸収線量は30 Bqの吸入で3.2E-3 mGy、3 kBqで0.32 mGy(積算期間はそれぞれ1年間)としています。
ここから放出されるβ線が周囲の細胞にエネルギーを与えることから発がんモデル(放射線エネルギーが与えられて段階的に発がんするという想定で、この段階の設定を変えています)を変えてリスクを推計しています。
また、比較のためにエネルギーが肺全体に均一に与えられる場合と比較しています。
結果は非安全側の想定だと不溶性粒子の方がリスクが小さいが安全側に考えると(細胞死に関するパラメータを変えています)不溶性粒子の方が10倍から100倍程度(微粒子の数や放射能量の設定により結果が異なっています)リスクが高くなることが示されています。
リスク比較はラドンの吸入と比較しており、ここで計算されたリスクの違いはラドンによる被ばくの変動内に入っているとしています。
ラドンによる肺の基底細胞区域への平均吸収線量を年間で3.5 mGyとしています(ラドン濃度を37 Bq/m3と設定)、 それに、α線の加重係数を考慮し、ラドンの年間の曝露での預託等価線量を70 mSv としています。
預託線量は70年で受ける線量と聞きましたが、もっとも保守的に肺から全くクリアランスされないと考えた場合に、各年の線量はどうなりますか? | |
簡単に考えるために永遠に続く時間での積算線量が15 mSvとすると、最初の一年間で受ける線量が最も大きく、その線量は0.35 mSvで翌年は0.34 mSvで30年後は0.18 mSvとなりますね | |
預託実効線量のうち最初の年に受ける線量の割合はこの想定だと非安全側になりますね |
9th EURADOS Webinar: Correlating micro and nanodosimetry with initial biological damage
平成23年の4月から11月に首都圏で採取した土壌を分析したところ,セシウム134及び137が広範囲にわたり,ホットパーティクルとこれを形成しない成分とがあった,などの内容である。
平成25年6月に帰還困難区域で採取した土壌を分析したところ,セシウム含有放射性微粒子を検出し,また,ウランは粒子の主要構成元素ではないことが明らかになった,などの内容である。
ケ飽本一裕(帝京大学)の論文(甲B108)
本件原発事故により放出された放射性物質について,風による再浮遊と移流による2次汚染が懸念され,風以外の再浮遊機構(例えば,除染工事,自動車等)も重要である,などの内容である。
不溶性微粒子の吸入及び体内動態を追跡し,線量を確率的に評価するモデルを開発したところ,不確かさにより,ICRPの線量係数(血液の吸収速度(速い順にF,M,S)に応じて与えられる係数)のTypeSで計算した場合に比べて非常に幅広い範囲の値を取り得る,シミュレーションの結果,不溶性微粒子のごく近傍の領域は特に線量が高くなるが,吸収線量は吸収された放射線のエネルギーを質量で割って評価されるため,微粒子近傍のどの部分の領域(質量)を考えるかによって線量が大きく異なる,などの内容である。
不溶性セシウムボールの内部被ばくに関する確率論的体内動態手法と体内動態モデルのモデル化へのアプローチ,不溶性粒子による肺線量に対する不確実性,新たなモデルと現在のモデルとの間にどの程度線量の相違があるかについて議論する,などの内容である。
本件原発事故により放出された放射性セシウムは水溶性と難溶性 に分類され,3月15日に東京に飛来したプルームの9割が難溶性であった,難溶性のものは水溶性より生物学的半減期が長い可能性があるため内部被ばくの詳細な評価を要する,などの内容である。
粒子の不溶性を考慮した体内動態モデルを構築し,これによれば,被ばく線量の不確実性は単一粒子を吸入した場合に非常に大きく,また,不溶性を考慮すると被ばく線量は一般的なセシウムに対するモデルに基づく線量よりもいくらか高かった,などの内容である。
内部被ばくを外部被ばくと同様に等価線量ないし実効線量で評価す ることの問題点(第4節第2の11)については,確かに,内部被ばくの現象にこれらの考え方を導入すると,飛程の短い放射線が特定の臓器の狭い範囲に高密度で集中して電離作用を及ぼした場合でも,当該臓器全体に照射されたものとして置き換えて評価することになるため,狭い範囲に生ずる高密度のDNAの二重鎖切断のリスクを無視しているとの批判も一応考えられる。
“超”高放射性粒子:福島第一原発1号機から放出されたメガベクレル放射性粒子の化学とその環境影響
Social issue
キーワードの例
・決定しきい値(決定限界)
・不確実性のロンダリング装置(としての統計学?)
・ALPS treated water
・シングル・ボイス
・電子スピン共鳴法を用いた線量推計
・非医療目的での放射線を利用した人体のイメージング
・福島県産の食材の検査
・干し柿にすると…
・食品の出荷制限の解除
・線量拘束値 dose constraint
・原子力発電所事故後の体表面スクリーニング
・体外計測 external counting
・ALPS treated water ALPS treated water
・規制免除 exemption
・自然放射線の対策は必要?
・メンタル・ヘルス活動と地域の文化
・ホット・パーティクル hot particle
・子孫核種 progeny nuclide
・原子力発電所事故後の体表面スクリーニング
・余命損失 Loss of life expectancy
・県民健康調査 Fukushima Health Survey
・安定ヨウ素剤 stable iodine tablets
・サブマージョン submersion
・放射線リスクコミュニケーション 相談員支援センター Support center for social workers engaged in recovery from the nuclear disaster
・薪ストーブをめぐる近隣トラブル
・不当表示 misleading representation
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