用語 ほ/H

ホット・パーティクル
hot particle

皆様からの疑問をいただき作成中の記事です。疑問をお寄せください。

この記事の意図

専門職はどこまで専門的なことを学習すべき?

   
母親 保健師はICRPの資料を読んで理解する必要があるのかしら?
エミ 科学的に正確な情報を自治体職員がよく理解し、住民にわかりやすく説明する必要があるかどうか皆さんはどう思われますか?
母親 身近な専門職の説明は有用なこともあると思うけど、専門的なことの学習には負担も伴うので役割分担すればよいのでは…
アオイ 保健師に求められる役割を担えればよいのでは…

何が懸念されているのか?

   
アオイ この記事は放射線のことをご心配なさっている方々からのご質問に基づいていますので、どのようなことに懸念を持っているかの例を知ることができると思います
エミ 私の疑問を解決して欲しいです…

ホット・パーティクルとは何?

花粉との違い

   
母親 ホット・パーティクルは危ないと聞いたことがあります。ホット・パーティクルとは何ですか?
にゃんこ 放射性セシウムなど放射性同位体を比較的多く含む微粒子のことです
母親 花粉に放射性セシウムが付着しているというお話しですか?
にゃんこ 比放射能がケタで違っています
母親 花粉は、1kgあたり25万ベクレルもあるとあるので、すごいと思ってしまいます…
にゃんこ 花粉は一粒が軽いです。約1億分の1グラムしかありません。
母親 一粒あたりの放射能量はとても少ないのね
にゃんこ なので、花粉はホットパーティクルとは呼ばれていないと思います
エミ 花粉だと比放射能は253kBq/kgで、花粉一粒(直径32μm)の重さは1億分の1グラムとのことですので、一粒当たりのベクレル数は、253kBq/kg÷1000g÷100,000,000=2.53×10-6Bqですね
母親 花粉よりももっと濃度が高いのをホット・パーティクルと呼んでいるのですね。そんなものが原発事故の時に飛んできたのですか?

微粒子とはどのようなもの?

   
にゃんこ 崩壊熱で燃料棒が熱せられたことにより、粒径2μmで数ベクレル程度の放射性セシウムを含む不溶性の粒子が飛んできたことが確認されています
母親 どれくらいの数が飛んできたのですか?
にゃんこ 放射性セシウムの濃度が10Bq/m3で、放射性セシウムを含む微粒子にある放射性物質の量が5Bq/個とすると、放射性セシウムを含む微粒子の濃度は、2個/m3となります。一日の呼吸量を20m3とすると、一日に吸入摂取する放射性セシウムを含む微粒子の数は、40個となります。
母親 実際に観測されたデータはどうでしたか?
にゃんこ 2011年3月14日~15日につくば市の気象研究所敷地内でつくば気象研究所によりサンプリングされ測定されたデータでは、1m3あたり約10個の放射性粒子が存在していたことが示唆されています。一日の呼吸量を20m3とすると、一日に吸入摂取する放射性セシウムを含む微粒子の数は、200個となります。
母親 そのような粒子がずっと漂っていたのですか?
にゃんこ 3月20日~21日に収集されたフィルターで調べた結果では、 2011年3月14日~15日の結果とは異なっていたとされています。
母親 自分がいた場所でどの程度吸い込んだかわかりそうですか?
にゃんこ 微粒子の形態により大気中の挙動は異なると考えられ、エアロゾルの大気中の輸送モデルを使ってある程度推定できるかもしれません。

存在量の検討例

Challenging Radionuclides in Environment at the Atomic Scale: Issues in Waste Disposal and Fukushima
Cesium-rich micro-particles unveil the explosive events in the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant

微粒子だと危ない?

   
母親 微粒子だと危ないというのは、どのような考え方によるのですか?
にゃんこ 局所に集中的に放射線のエネルギーを与えることで影響が大きくなるのではないかと心配されているのだと思います。アルファ線だと狭い範囲に放射線のエネルギーが与えられるので、より影響が大きいことが確認されています
エミ 天然放射性核種のカリウム40はK-40の原子のみ固まって存在することはなく、K-39と混ざっているので、放射線が一つの細胞に当ることは多くても一回なので外部被ばくと同じ被ばくになるので、まったく気にならないけれども、微粒子状の人工放射性核種(セシウムなど)になると、周辺細胞は無数の放射線に晒され死滅して、死滅しない程度に離れた細胞は癌化したり、染色体異常の細胞として生き残り、筋肉の塊である心臓にセシウムが引き寄せられれば、新陳代謝のない心臓組織においては細胞死自体がリスクの根源となると考えられるけれども、そのことをICRPは気づいていないふりをしているのが許せないそうです
アオイ K-40だけ分離したカリウムとK-39が混在するカリウムの微粒子で、一つの細胞に入射するベータ線粒子の数は、K-40の数などに依存する気がする。「放射線が一つの細胞に当ることは多くても一回」とあるのは過小評価しすぎではないでしょうか
エミ 細胞死が先行するため、発がんの効果が低くなるというのは、あり得るように思いますが、細胞死が組織にダメージをもたらしうることも考えた方がよいかもしれない。また、細胞死の範囲によるのかもしれませんが、細胞再生が乏しい器官では、何か影響を及ぼすのではないかと思ってしまいます
母親 本当のところはどうですか?
にゃんこ プルトニウムだとビーグル犬を使った鼻部曝露吸入で、ホットパーティクルで投与した方が逆に肺がんのリスクが小さいとの結果が得られたものがあります(pdf file 2.5MB)
エミ ホットパーティクル効果に対しては、「微粒子を形成しない」方が影響を与えうる電離の「有効個数」が多く、影響が大きくなりえるとするアイデアもあるようです。このアイデアによると微粒子が特別な場所に存在するのでなければ、微粒子であるがゆえの危険性を強調する必要はないとなりそうです
母親 アルファ線核種だと自己吸収も効いてきそうですが、ベータ線核種ではどうですか?
エミ α線での自己吸収の程度も条件によるのではないでしょうか。小さい微粒子で密度が軽いと突き抜ける成分が多くなりそうです
にゃんこ UNSCEARの2008年報告のHealth effects due to radiation from the Chernobyl accidentでは、ベータ線核種を含む微粒子で健康影響が増強するかどうかはよくわからないとされています(A5)。
母親 よくわからなかったということは、アルファ線核種ではホットパーティクルの方がリスクが小さいと確認されたけど、ベータ線核種ではホット・パーティクルの方がリスクが小さいことが証明できず、結果として、ベータ線核種ではホット・パーティクルの方がリスクが大きいと考えられるということでしょうか?
にゃんこ ベータ線核種でのホットパーティクルでは、そもそも、この仮説の肯定や否定に役立つデータがないようです。ホット・パーティクルの方がリスクが小さいことは証明されていませんが、ホットパーティクルの方がリスクが大きいことも証明されていません
エミ 「ホットパーティクルの方がリスクが大きいことも証明されて」いないから、リスクが大きくないと主張するのはフェアではないと思う
にゃんこ そうですね。UNSCEARの2008年報告を根拠に、証明されていないから、リスクが大きくないと主張するのは正しくないと思います
アオイ ICRP Publ.66の16項での動物実験では一貫して、ホットパーティクル仮説のpremiseがrefuteされているにも関わらずという表現への反発もあるのだろうと思う
母親 これらの研究結果はどのように評価されたのですか?
にゃんこ 米国では、様々な立場の研究者により意見交換され、報告書が作成されています
母親 何が本当かについて議論があるのであれば、そのような試みをしてみるとよいのではないかしら…
エミ ベータ線のホット・パーティクルの生物影響もデータを示して説明して欲しい…。セシウム・ボールは、「球状粒子がCsとともに相当量のFe(鉄)とZn(亜鉛)および少量のCl(塩素)、Mn(マンガン)、O(酸素)を含有している」とあり、体内挙動はセシウムとは違っている可能性は大だと思います
母親 溶けないと体内に吸収されないのでは…
エミ Csボールのようなホットパーティクルによる内部被ばくの危険性は局所で起こっているのに、ICRPの計算式では分母が60兆個の細胞で希釈され、実際の影響は未知のままなのも納得できません
母親 少数の細胞での生物影響の大きなリスクと、多数の細胞での生物影響の小さいリスクの比較ですね…
エミ ベータ線放出核種を含むホットパーティクルで動物実験して確認しようというアイデアはないのでしょうか?
アオイ ホットパーティクルへの言及はありませんでしたが、実験的に確認すべきとの主張があったシンポジウム例です。

懸念の例

  • 服が汚れた場合、子どもたちの前ではたいて、土ぼこりをわざわざ吸引させてしまうなどの行動を先生はしてしまいます。
  • 子どもは自分で身を守れません。福島県は他県に比べて降下物が多く観測されています。
  • 放射能がそこに存在しているという認識を先生たちは持つべきです。
  • セシウムは「水溶性」のため、薄まって土粒子に均等に付着していて、現在はホットパーティクルなど無いと説明されたが本当ですか?
  • 転んで手を付けばそれが手に付き、それをなめれば内部被ばくします。なめないにしても、体に付いたホットパーティクルは室内に運ばれ、布団を畳むときなどの風圧で埃と一緒に子どもの口の中に入ってしまいます。

ラフな線量の見積もり

粒径2μmで10Bqの粒子を考えたその微粒子が同じ部位に1時間付着し続けた場合の線量の推計例です。

閲覧上の注意

このページには放射線飛跡図を含みます。

結果の解釈での注意

微小領域の線量はラジカル生成密度を示します。 線量の大きさがそのまま生体影響の大きさを示すとは限りません。

1時間の壊変数

10decay/sec×60sec/min×60min/hr=3.6E+4decay/hr

1時間の放出エネルギーからの微小領域の線量推計

一壊変あたり平均0.5MeVの電子を放出すると仮定し、 微小粒子がクリアランスされずその場所に留まり続けるとすると1時間で周囲に付与するエネルギーは 0.5[MeV/decay]×3.6E+4[decay/hr]→1.8E+4[MeV/hr]×1.6E-19[J/eV]≒3E-9[J/hr] 深さ100μmの立方体の範囲でそのエネルギーの全てを失うと仮定すると(微粒子への自己吸収も含めて)、 3E-9[J/hr]/1E-9[kg]=3Gy/h

Cs-134を仮定した場合

Cs_134ball
青い円は半径1mmの球を示します。 赤い線は高速電子の飛跡です。 黄色い線は制動放射の光子の飛跡です。 (ベータ線による線量) 微粒子から外側の20µmまでの範囲:1.5E+0Gy/h程度 100〜200µmの範囲:1.5E-2Gy/h程度 200µmから1mm:4.7E-3Gy/h程度 (ガンマ線による線量) 微粒子から外側の20µmまでの範囲:1.6E-4Gy/h程度 100〜200µmの範囲:1.1E-5Gy/h程度 200µmから1mmだと1.7E-6Gy/h程度

より広い範囲の推計

2kBq/cm2の密度で25cm2の広さにCs-134が分布した場合の深さ0.5mmまでの領域の組織平均吸収線量
ベータ線による線量:1.5mGy/h程度
ガンマ線による線量:0.04mGy/h程度

ICRU Report 56のデータを用いた場合

Cs-134での深さ0.4mmでの皮膚吸収線量率は、1Bq/cm2あたり、Cs-134の場合に深さ0.4mmで0.262µGy/hとされていますので、0.5mGy/yhと推計されます。

Cs-137を仮定した場合

Cs_137ball
(ベータ線による線量) 微粒子から外側の20µmまでの範囲:1.2E+0Gy/h程度 100〜200µmの範囲:0.7E-2Gy/h程度 200µmから1mm:1.0E-4Gy/h程度 (ガンマ線による線量) 微粒子から外側の20µmまでの範囲:1.5E-4Gy/h程度 100〜200µmの範囲:0.9E-5Gy/h程度 200µmから1mmだと1.6E-6Gy/h程度

ICRU Report 56のデータを用いた計算(1cm2あたりの平均を求めた場合)

1Bq/cm2あたり、Cs-134の場合に深さ70μmで1.0µGy/h程度、Cs-137の場合に深さ70μmで1.4µGy/h程度とされています。 ここでの計算では1cm2の範囲にCs-137が均一に分布するのではなく、ごく狭い領域に密集して集まったと仮定し、その周囲の線量を求めています。

このような微粒子が付着した近傍の領域では線量が高くなると考えられますが、組織反応がおきるのではないですか?

組織反応は細胞の脱落により観測される反応なので、一定の範囲の細胞に影響を与える必要があると考えられます。

「線量の大きさがそのまま生体影響の大きさを示すとは限りません。」とありますが、生体影響は線量の大きさに比例するという考え方がこれまで示されてきているのと矛盾するのではないでしょうか?

それぞれのがんによる放射線誘発の発がんリスクの推定のための曝露量評価では、RBEも考慮した上で臓器の平均吸収線量を考えます。 RBE(Relative Biological Effectiveness)とは、生物学的効果比のことです。 小さい線量であることは生成されるラジカル数が少ないことを意味しますが、放射線の影響は生成されるラジカル数だけではなく、その生成密度の不均一さも影響を与えることが知られています。 このため、平均吸収線量が小さくても、リスクが小さくならないことがあります。 マイクロドシメトリは線量を評価する領域が小さくなりますので、それによるリスクを考えるためには、小さい領域に与えられたエネルギーが、どのように生体に影響を与えるかを考える必要があります。

評価領域をより大きくした場合

面積が1.1mm2の水でできた円柱を考え、Cs-134とCs-137をそれぞれ3Bqずつ含む半径1μmのセシウムボール付着面から深さ10μm毎の吸収線量率の計算例 Cs_ball

直径を40μmに絞った場合

Cs_ball

不均一なエネルギー付与が生物に与える影響を調べている方々

日本マイクロビーム生物研究会

施設見学に応じている例

放射線医学総合研究所
ビームを細く絞り、一つの細胞をねらい打ちできるマイクロビーム細胞照射装置などをご覧になることができます

線量は自由に示せる?

single ionization event で費やされるエネルギーを35 eVすると、このエネルギーが付与される空間の大きさをたとえば nm3に設定して計算すれば、たちまち 105Gy レベルの線量になります。このように標的サイズを選ぶことで思いのままの線量を得ることができるのではないですか?

microdosimetry で得られる線量は、あるエネルギーを持った放射線粒子がどの範囲でエネルギーを失うかを考える必要があります。このため、任意の微小領域で全てのエネルギーを失うと考えるのは適切ではないと考えられるのではないでしょうか。いずれにしても、上で述べたようにマイクロドシメトリは線量を評価する領域が小さくなりますので、それによるリスクを考えるためには、小さい領域に与えられたエネルギーが、どのように生体に影響を与えるかを考える必要があると思われます。

マイクロドシメトリの計算法

PHITS開発の現状と今後の予定
Microdosimetric Analysis Confirms Similar Biological Effectiveness of External Exposure to Gamma-Rays and Internal Exposure to 137Cs, 134Cs, and 131I

丹羽先生の解説が難しすぎて理解できないので教えて欲しい

自己吸収のサイズ依存性

   
母親 丹羽大貫先生は、内部被ばくは外部被ばくより危険か?で、「内部被ばくでは、組織で『均等に分布』して存在するか、『微粒子状』で存在するかによって、効果はすこし異なる。均等分布の場合、内部被ばくの効果は同じ線量の外部被ばくとおおむね同様と考えられるが、その場合でも上記の線量率効果により、リスクが低くでる傾向にある。そして、放射性核種が微粒子状で存在する場合、まず微粒子内での自己吸収のために、線量自体が低くなる上、微粒子近傍では線量が高すぎて細胞死が先行する。すなわち、微粒子状の放射性核種では、まず微粒子内での自己吸収のために、線量自体が低くなる上、微粒子近傍では線量が高すぎて細胞死が先行するため、効果が低くなる傾向にある。」と書かれていますが、2μm程度の微粒子内での自己吸収程度も見積もれるのですね。同じ比放射能で直径が4μmと倍のホットパーティクルがあるとすると線量はどうなりますか?
にゃんこ 比放射能が同じで直径が倍になると、含まれる放射性物質の量は8倍になりますが、線量の増加としては、Cs-137を仮定した場合、微粒子から外側の20µmまでの範囲では6倍程度に留まります。
母親 仮に直径が12μmと6倍のホットパーティクルがあったとしたらどうでしょう?
にゃんこ 比放射能が同じで直径が6倍になると、含まれる放射性物質の量は216倍になりますが、線量の増加としては、Cs-137を仮定した場合、微粒子から外側の20µmまでの範囲では80倍程度に留まります。より微粒子から遠いところではガンマ線の寄与が効いてくるので、自己吸収効果が小さくなり、微粒子中の放射性物質の量の影響を受けやすくなります。ここでの計算は自己吸収効果を過小に見積もっています。より正確には、微粒子の元素組成や密度を考慮する必要があります。
母親 仮置き場の近くで思ったほど線量が高くないのは、自己吸収効果と聞いたことがあります。放射線の話はなかなか直感が通じない…

そもそも自己吸収って何?

   
母親 そもそも自己吸収って何ですか?
にゃんこ 放射性物質を含む物質の周囲の放射線の量が放射性物質を含む物質そのものの吸収で小さくなることです。
アオイ 仮置き場の場合は土で吸収ですね
母親 自己吸収は放射性物質が他の放射性物質の放射線を吸収ではなく遮蔽するという概念なのでしょうか?遮蔽もエネルギーの吸収でしょうが…。『自己』吸収ではなく、自己遮蔽と言った方が分かりやすいと思う
アオイ その通りで、遮へいは放射線エネルギーの吸収です。確かに、「自己遮蔽」の方がわかりやすいかもしれない…
母親 いずれにしても、土で放射線が吸収されると言うことですね。土と一緒に集めずに放射性物質だけ掃き集めたらどうなるのかしら?
にゃんこ 自己吸収が効かないと集めただけ線量が上がってきます
母親 濃度が高い部分は仮置き場の中心のように奥の方がよさそう…
にゃんこ そのような工夫でどれだけ線量を減らせるかも計算で推測できます

線量率効果って何?

   
母親 「線量率効果により、リスクが低くでる傾向にある」とありますが、「線量率効果」とは何ですか?
にゃんこ 「放射線が一挙に与えられるのではなく、低線量率で与えられる場合、DNA 損傷の修復はより効率が良くなるため、突然変異や発がんなどの健康に対する影響も軽減される。これを線量率効果と呼ぶ」とあります。この説明で理解できますか?
母親 線量率効果は内部被ばくに限定したものでは無く、外部被ばくにも共通したものではないでしょうか?また、低線量被ばく時にも見られるのではないでしょうか?
アオイ もちろん、低線量・線量率効果は、内部被ばくだけではなく、外部被ばくでも起こると考えられている現象で、事実、外部被ばくでも観測されています。このため、線源が体内にあるかどうかとは関係がありません
母親 内部被ばくは外部被ばくと比較して、『その場合でも上記の線量率効果により、リスクが低くでる傾向にある』とされているのは、どのような理由によるのでしょうか?
アオイ 私も同じ、疑問を持ちました。「内部被ばくの健康リスクは、この線量率効果が効いているため、概して外部被ばくより効果が小さくなるのである。」ともありますが、比較する外部被ばくの線量率にもよるのでは…
エミ 常識的に考えて欲しい。外部被ばくの方が内部被ばくに比べて、線量率は高いはずです
アオイ 原発事故後の現存被ばく状況での外部被ばくは線量率が低いのでは…
エミ 原発事故による外部被ばくが低いような状況だと、内部被ばくによる線量も小さいのでは…

線量が高すぎて影響が低くなるとは?

   
母親 微粒子近傍では線量が高すぎ細胞死が先行する為『効果が低くなる』とはどのような意味ですか?
エミ 組織反応は細胞の脱落によるから線量が大きいと効果が表れやすいように思う
アオイ 影響を受ける細胞の範囲も重要そうですが、そもそも、ここでは組織反応のことを議論しているのではないと思う
エミ がん化などの影響は細胞が死んでしまうとその細胞では起きないことはわかるけど、細胞死を起こす細胞の周囲は線量を受けたにもかかわらず、細胞が生き残ると思うので、話が良く理解できない…
アオイ がんを起こすような変化をもたらす線量を受ける細胞が線量あたりでは少ないと言おうとしているのではないかしら…
母親 言っている意味が理解できません…
エミ 同じ線量がある臓器に与えられたとして、一部にはすごく高い線量で他にはすごく低い線量だとすると、すごく高い線量のところは細胞が死んでしまうので、がんの発症には関係しないけど、均等に線量が与えられると死んでしまう細胞がないので、すべての細胞ががんの発症に関係しうるので、全体として発がん確率が高くなるということではないかしら
にゃんこ 生物効果をもたらす上でエネルギーの浪費となる部分ができてくるというアイデアであるようです

肺がんへの影響

UNSCEARの2008年報告のHealth effects due to radiation from the Chernobyl accidentでは、肺がんを含む固形がんは、増加が確認されておらず、疫学研究では、その増加を検出することは検出力不足のために困難であろうとしています。また、APPENDIX A. PHYSICAL AND ENVIRONMENTAL CONTEXTでは、SUMMARY FROM THE UNSCEAR 2000 REPORTの紹介に於いて、「Although it had been demonstrated in the 1970s that alpha-emitting hot particles are no more radio- toxic than the same activity uniformly distributed in the whole lung, it was not clear whether the same conclusion could be reached for beta-emitting hot particles.」とベータ線核種でのホット・パーティクル効果に関しては、よくわからないと述べられています

文献

初期のプルームにおけるマイクロパーティクルの存在確認

Emission of spherical cesium-bearing particles from an early stage of the Fukushima nuclear accident

マイクロパーティクルの化学的な性状分析

Detection of uranium and chemical state analysis of individual radioactive microparticles emitted from the Fukushima nuclear accident using multiple synchrotron radiation X-ray analyses

東京理科大学によるプレスリリース資料(SPring8の広報担当部署による)

ウランを含む原発事故由来のガラス状の大気粉塵がつくばにまで飛来 -放射光マイクロビームX線を用いた複合X線分析- (プレスリリース)(2014年08月08日)

時期が異なると存在形も異なることを示す例

産業技術総合研究所

Sulfate Aerosol as a Potential Transport Medium of Radiocesium from the Fukushima Nuclear Accident

解説資料

風に乗って長い距離を運ばれる放射性セシウムの存在形態

会議資料で取り上げられた例

第8回東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議

関連情報

吸入曝露に関する環境省による見解

放射性物質対策に関する不安の声について

プルトニウムが不溶性の微粒子に存在している場合(ホット・パーティクル)のリスクに関する検討例

EPA: Health effects of alpha-emitting particles in the respiratory tract
実験データを元に考え方が異なる研究者間での検討により作成されています。

ホット・パーティクルも考慮したプルトニウムのリスクのレビュー例

CDC: Agency for Toxic Substances and Disease Registry, Toxicological Profile for Plutonium プルトニウムの吸入被ばくによる発がん等生物影響 ─動物実験でどこまで明らかにされたか─

放射線曝露量と呼吸機能の関係を調べた調査例

137Cesium Exposure and Spirometry Measures in Ukrainian Children Affected by the Chernobyl Nuclear Incident
Reduced Lung Function in Children Associated with Cesium 137 Body Burden

その研究への言及例

Dr Patrick Smeesters. Effects of radiation exposure of children: the new UNSCEAR report Highlights and critical review

β線核種のホット・パーティクル効果を検討したレビュー例

Do Chernobyl hot particles represent a public health hazard? (Biomedical and dosimetric aspects of hot particles)
Mikhail Balonov先生から教えて頂きました。放射性ルテニウムを含むホット・パーティクルも対象にして肺がんが起きる場所とホット・パーティクルが沈着しやすい場所の関係も検討されています( 27ページの最後のパラグラフ)。著者の一人である、V.S.Repin先生からは、セシウムのホット・パーティクルの場合、ホット・パーティクル効果を考えるべきかどうかは、ホット・パーティクルがクリアランスが悪いと考えられる気管内の分岐部に付着する確率が大きいかどうかにもよるのではないかとのコメントを頂きました。

DNAレベルでの線量評価のための環境整備例

独立行政法人日本原子力研究開発機構によるプレス発表

DNAレベルでの正確な被ばく線量評価を可能にする放射性核種データベースを開発(平成20年1月8日)

線量推計例

佐藤達彦、真辺健太郎(原子力機構)、浜田信行(電中研).細胞レベルの吸収線量分布から推定した内部被ばくと外部被ばくの生物学的効果比

簡易法

郷地秀雄・橘真矢.鼻血は福島原発事故の放射線によって起こりうるその医学的機序の一考察 放射線による鼻血はないとする事こそ風評.社会医学研究 第55回日本社会医学会総会 講演集.2014, p.79-80(pdf file: 6.4MB)

花粉の影響を調べた例

東京大学アイソトープ総合センター.「セシウム花粉」の内部被ばく影響は砂埃に比べて無視できるほど小さい
いわゆる「セシウム・ボール」は確認されていないようです。 2012年2月19日~4月14日の8週間での調査では、もっとも内部被ばくが大きい人で、年間の吸入による曝露は3.2 μSvであるとされ、砂埃の吸入を防ぐことでこの線量が減らせるとしています。

土壌での原発事故に由来した放射性セシウムの化学的な状態

Chemical states of fallout radioactive Cs in the soils deposited at Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident 土壌-植物系における放射性セシウムの挙動とその変動要因

空調用エアフィルタを調査した例

加藤辰夫.原発事故による空調用エアフィルタへの影響.空気清浄.55(2)、2014

呼吸気道以外の影響は?

   
エミ ホットパーティクルを吸い込んだ場合に、痰として排出できずに飲み込んでしまった場合も心配です。成人男性は痰を吐き出しても、女性や子どもは飲み込むのではないでしょうか
母親 何を心配しているのですか?
エミ 消化管粘膜にくっつくのではないかと心配です。そもそもICRPは消化管の線量評価が甘いと思う
アオイ どうしてですか?

小腸への影響が無視されている?

   
エミ ICRP自身で小腸内での放射性核種の滞留が線量評価に及ぼす影響に注意を示しながらも、肝心の標的臓器として大腸はあっても小腸が含まれていないです
にゃんこ GI-TractでのSI Wallは?
エミ わかりました。この問題は解決しました。でも微粒子として消化管粘膜に付着するのではないかと心配です。それに呼吸気道モデルでは、90年勧告の呼吸モデル変更の際に、Te-132の粒子のデフォルトがType Mになり、その結果評価がかなり低くなったことにも不信があります。疑問が尽きません…
アオイ 肺などからの微粒子のクリアランスに関しては、環境省の評価検討会の資料も参考になると思う

Te-132のf1 ICRPの線量換算係数

尽きない疑問

Teの体内動態

   
にゃんこ 疑問点を一つずつ考えていくのはいかがでしょうか?
エミ ICRPが利用している体内動態モデルでは、テルルでは子孫核種の体内モデルが利用可能とされていますが、核分裂生成物としてのTe-132を体内に摂取後、I-132に壊変したものが甲状腺に与えるエネルギーのことも気になっています。
アオイ どのような疑問ですか?
エミ 1-132の半減期の2.3時間とI-131の8日間の差を積分すると、1/300くらいの差になるらしいのですが、Te-132由来のものは放射平衡で血中でもI-132が同量あるのではないでしょうか。だとすると、I-131とTe-132は大気中では同程度ありますので、同ベクレル数を摂取したとするとmol数ではI-131:Te-132は2.5:1くらい、放射平衡ならI-131対I-132も、2.5:1となると思います。甲状腺は同位体は区別できないので、血液中から2.5:1の割合でどんどん取り込んでいくのではないかと思うのですが.... 
アオイ 10歳の子供がtype MのTe-132を吸入した場合の、甲状腺や血液中のTe-132やI-132の量の変化です

血液中のTe-132の量

血液中のTe-132の量

甲状腺のTe-132の量

甲状腺のTe-132の量

血液中のI-132の量

血液中のTe-132の量

甲状腺のI-132の量

甲状腺のTe-132の量

尿中のI-132の量

尿中のTe-132の量

全身のI-132の量

全身のTe-132の量

Iの体内動態

   
エミ 比較のためにI-131の例も示していただけませんか?
アオイ f1と甲状腺と血液中の量の変化です

I-131のf1

I-131の<i>f</i>1

血液中のI-131の量(吸入吸収Fの場合)

血液中のI-131の量

甲状腺中のI-131の量(吸入吸収Fの場合)

甲状腺中のI-131の量

尿中のI-131の量(血液注入の場合)

尿中のI-131の量

全身のI-131の量(血液注入の場合)

全身のI-131の量

便中のI-131の量(血液注入の場合)

便中のI-131の量

総壊変数と壊変場所

   
にゃんこ 壊変する場所を問わない場合には、総壊変数を考えることになります。総壊変数は、原子の数になります。原子の数としてはI-132とTe-132は同数になります(なぜなら、Te-132は全てI-132に壊変するから)。
アオイ 放射線は、放射性同位体が壊変する際に出るからですね
にゃんこ 炉内で生成されたTe-132は次々とI-132になっていきます。炉外や臨界停止後は、Uが核分裂してTe-132が生成される経路はなくなり、炉外でのI-132は、炉内から出たI-132と炉外でTe-132から壊変したI-132で構成されることになります。(永続)放射平衡とは半減期が短い子孫核種の放射能が親核種の放射能で決定される現象を指します。従って、mol数での議論をなさりたいのであれば、最後のステップは間違っていると思います(空気中のモル濃度比から、平衡状態を考慮して、放射能濃度比を検討なさるとよいのではないでしょうか)。
エミ ありがとうございます。空気中から体内に取り込む際にも、mol数か Bq数かが問題になりますね。
母親 話しについて行くにはお風呂の中でゆっくり考える必要がありそう…。「 1-132の半減期の2.3時間とI-131の8日間の差を積分すると、1/300くらいの差になる」とはどういうことですか?
エミ
にゃんこ どちらを使っても情報量としては同じですが、数字を使う場合には峻別すべきと言うことです。では、より疑問点を明確にしていきましょう
エミ f1の値のように、人体内での放射性物質の動きに大きく左右されるので、 理論上の物理の壊変数からの計算とは違ってくるのではないかと思います
にゃんこ 世界の中での壊変数は物理的に決定されますが、それがどこで壊変するかは、他のファクタも効いてきます。このことには争いはないはずなので、具体的に、他のファクタがどう効いているかを議論なさるとよいと思います。Balonov先生らの論文へのご質問に対して著者からコメントをいただきました。

Balonov先生らの論文への疑問に対するBalonov先生の解説

肺で検出されたTe-132

Te-132は、溶解性が低い粒子状のものが吸入されるのではないか。 これが、Te-132が肺のみで検出された理由。

I-132とI-133の線量寄与

この課題は慎重に検討され、必要な線量計算を実施。 その結果、I-131に比べて、I-132とI-133による甲状腺への線量は、数%程度であり、無視しうると考られた。 これがUNSCEARのリポートに、I-132とI-133による線量寄与について詳しく記載されていない理由。
M. Balonov, G. Kaidanovsky, I. Zvonova, A. Kovtun, A. Bouville, L. Luckyanov and P. Voillequé. Contributions of short-lived radioiodines to thyroid doses received by evacuees from the Chernobyl area estimated using early in vivo activity measurements

甲状腺がん発症と安定ヨウ素剤の関係

Cardis先生の研究(Cardis, E., A. Kesminiene, V. Ivanov et al. Risk of thyroid cancer after exposure to 131I in childhood. J. Natl. Cancer Inst. 97(10): 724-732 (2005).)では、違いが見いだされているが、追試はなされていない。

Pripyatからの避難民の汚染ミルク摂取

避難経路は多様。 避難先で汚染ミルクを摂取した例もありえる。 甲状腺がんの発症リスクは甲状腺への線量と強い関係がある。 甲状腺への線量に大きな影響を与えたのは汚染ミルク。

ICRPのモデルは正しいのか?

以下は、長くなったので移動させました

残っている疑問点

核データの考慮は十分?

   
エミ I-131の経口の実効線量はTe-132の5倍ですが、これは娘核種のβ線2倍、γ線6倍のエネルギー差は考慮されているのでしょうか?
アオイ ここまでの検討では、考慮されていると考えられそうですが、その懸念は何に由来していますか?

ガンマ線によるエネルギー付与が考慮されていない?

   
エミ よくカリウムのほうが多いから大丈夫と言われていますが、放射性カリウムはほとんどγ線は出さないですよね。やはり内部被曝はβ線しか考慮されていないのでは
アオイ Fe-55の線量換算係数は、成人だと吸入摂取が7.7E-10[Sv/Bq]で経口摂取が3.3E-10[Sv/Bq]であるようです
母親 Fe-55は壊変時に高速電子を出さない核種ですね
エミ ベータ線が飛んでなくても線量があるということは、ベータ線以外の放射線も考慮していると言うことですね

比吸収割合は妥当?

   
母親 比吸収割合がおかしそうということであれば、簡易的な計算で検算してみてはどうかしら

標的臓器を甲状腺とした場合の新生児での比吸収割合(1MeVの光子に対する)

標的臓器を甲状腺とした場合の新生児での比吸収割合

標的臓器をET1領域とした場合の新生児での比吸収割合(1MeVの光子に対する)

線源臓器をET1領域とした場合の新生児での各臓器での比吸収割合

   
エミ ICRP Publ 66の表はどうなっていますか?
アオイ こうなっています

をET1領域とした場合の新生児での各臓器での比吸収割合 ICRP Publ 66

   
エミ するとγ線は、モンテカルロシミュレーションで線源臓器から飛んでいった先の臓器の線量に、エネルギーの大きさも考慮して加算されているということですね。だとするとやはり動態モデルが原因のように思えるのですが... 。Blood のHalf time はIが0.25d、Teが0.8dなので、そこで崩壊するI-132は多そうです。Teの娘核種の体内動態図にはlungがないのですが、肺で滞留している間に崩壊or崩壊して血液に取り込まれた分は入っているのでしょうか?
アオイ 呼吸気道コンパートメント輸送速度です。呼吸気道沈着割合の設定を変更して計算できるようになっています

呼吸気道コンパートメント輸送速度

呼吸気道コンパートメント輸送速度

   
アオイ 「Te-132」と「Te-132から壊変してできたI-132」の肺での残存量を吸入摂取type Fとtype M別に示します

吸入摂取type F

Te-132

吸入摂取type FでのTe-132

Te-132から壊変してできたI-132

吸入摂取type FでのTe-132から壊変してできたI-132

吸入摂取type M

Te-132

吸入摂取type MでのTe-132

Te-132から壊変してできたI-132

吸入摂取type MでのTe-132から壊変してできたI-132

検証してみよう

   
エミ 検証方法がわからない…
にゃんこ 呼吸気道内でのモデルのパラメータを変えて肺の線量がどう変わるかを観測して検証するのはいかがでしょう?
エミ なるほど。Te-132とTe-129mを比較してみました
にゃんこ そのような検証法でも何かが確認できるかもしれません
エミ Te-132とTe-129mは吸収率も体内動態も同じではないのですか? 違うのは体内残存期間の壊変数と子孫核種の半減期だけでは
アオイ 代謝の違いではなく、ある場所での壊変数や壊変時に放出されるエネルギーの違いを検討するのであれば、その方法が良さそうですね

Te-132

Te-132

Te-129m

Te-129m

   
エミ すみません エネルギー差を考慮するのを忘れていました。平均エネルギーはTe-129mのほうがTe-132の10倍くらいあるようですが、1dayの肺の等価線量が同じくらいということは、I-132の壊変がカウントされているからでしょうか?  translocated instantaneously to the transfer compartment in inorganic form とどちらなのでしょう。
アオイ 後者は壊変して生成されたヨウ素は、非有機形で「transfer compartment」に移行するということではないでしょうか。医療分野の放射線防護では放射性ヨウ素は有機化したものの対策が重要だとされています。Te-129mとTe-132とで、1dayの肺の等価線量が同じくらいである理由としては、他に何が考えられそうでしょうか?
エミ

検証してみよう(Te-132とTe-129mによる肺の線量の違い)

   
エミ 肺はあまり変わらないのでI-132が2倍のβ線出しているようには見えません
アオイ 初期の肺への線量は、どのようなエネルギー付与によりそうでしょうか?
エミ

検証してみよう(Te-132とTe-129mによる甲状腺の線量の違い)

   
エミ 甲状腺の線量の差が娘核種のI-132の寄与分と考えてよさそうですね
アオイ Te-129mの場合は、どのような核種が関係しそうですか?
エミ

検証してみよう(Te-132とTe-129mによる甲状腺の線量の違い)

   
エミ 1dayと30daysの実効線量もあまり変わらないということは(Te-129mの1yearは6.2E-09[Sv/Bq]) 、代謝はほとんど同じで総壊変数は大差ないということでしょうか?やっぱりI-132の6倍のγ線は?というギモンが....
アオイ 何の実効線量ですか?
エミ

消化管吸収率の吟味は十分?

   
エミ ICRPの動態モデルは、「器官のコンパートメント及びコンパートメント構造が異なる次の4つの核種グループに分類されている」そうですが、セレンとテルルの吸収率がなぜ違うのでしょうか?
アオイ 歴史的な文書では、テルルの消化管から血液への取り込みは、Hollins(1969)らのラットの胃腸管からテルル化合物の吸収割合を測定し、f1が0.1から0.2の間で値を持つことを示唆し、これらの結果は4価のテルルの胃腸管からの吸収割合がおよそ0.25であると結論づけているScottらの結果(1947)とだいたい一致している、とありました。
母親 一方、食物に含まれているセレンは、ほとんど完全に胃腸管から吸収され、可溶性の無機化合物も胃腸管からの吸収割合が大きい、とされていますね。
エミ

吸入過程の吟味は十分?

   
エミ UNSCEARのTe-132の吸気被曝もType Mを使っていますが正しいのでしょうか?
アオイ 東電福島第一原発事故での経験で得られたデータで検証するとよいのではないでしょうか

肺での沈着と吸収率の吟味は十分?

   
エミ 肺での沈着と吸収率は正しく評価されているのでしょうか?
アオイ どこに沈着するかの想定です

呼吸器内のどこに沈着するかの想定

呼吸器内のどこに沈着するかの想定

化学形態や粒子径はどう設定するのがよいか?

   
エミ 化学形態や粒子径は福島で出たものと合っているのでしょうか?
アオイ 2011年4 月 4 ~ 11 日での筑波での計測データです。感度分析する方向のと他の観測です。
エミ

ICRPの呼吸気道モデルでの鼻粘膜のクリアランスが妥当か?

   
エミ ICRPの呼吸気道モデルでの鼻粘膜のクリアランスが妥当かどうか、検証してみてもいいと思います
アオイ 不溶性粒子のクリアランス問題でしょうか?検証の方法はどのようなものが考えられますか?
エミ 17時間で除去されることになっていたと思いますが、それが妥当か。点鼻薬を研究している研究者や企業に尋ねるとかでしょうか?
アオイ ICRP Publ.30では、クラスYだと半減期が半年から一年で呼吸気道にとどまるとされているようです
母親 I-131のカプセルを口に含み続けたり、誤って子供が手に持ったりやY-90が消化管粘膜に近いリンパ節に集積するという話とも共通するように感じます。現実性の吟味が重要だと思う
アオイ ICRP Publ.66では、ET1から体外への排出の速度定数は1[d-1]となっています(半減期は17時間)

呼吸器内での粒子の排出

   
エミ 鼻粘膜の鼻水は粘膜線毛輸送で鼻の奥の方に移動するそうです。付着した放射性物質も一緒に鼻腔の上方に移動して鼻糞になって固まって滞留するような気がするのですが、そうなった場合は線量が高くなりませんか?
アオイ それだとホットパーティクルではなくなり、自己吸収が効いてきそう…

どこまで検討すればよいのか?

   
母親 話がどんどん難しくなっています…
アオイ 考えていくのも大変ですね。どこまで検討すればよいでしょう?
エミ よくわかりませんが、できることすべてやっていただければそれでよいと思います
アオイ 若手の研究者の執念に期待していると言うことですね

ホットパーティクルへの曝露の防護とICRP

   
母親 ホットパーティクルへの曝露の防護に関してICRPはどのように議論していますか?
エミ ICRP Pub. 82の5.2.3.潜在被ばくの状況に議論がありました。介入のための対策レベルを確率から導くべきとしていて、長期潜在被ばくのための対策レベルでは、ホットパーティクルの取り込みの結果起こるかもしれない局所性の確定的影響の可能性にも考慮を払うべきであるとなっています
アオイ レベルを考えて対応すると言うことですね

参考資料等

土壌中での検出例

日本放射線安全管理学会

( 2014年12月)土壌中のセシウム含有粒子の分析(演題番号:2B3-2)
佐藤 志彦1,末木 啓介1,笹 公和1,足立 光司2,五十嵐 康人2(筑波大AMS1,気象研2)
事故から2年以上が経過しても土壌中に存在し続けていたことが証明されています。この粒子にはセシウムが均一的に含まれていますが、ウランは局所的に含まれていることが示されています。
(2015年12月)福島第一原発周辺で見つかった放射性粒子の特徴(演題番号:2B1-1)
佐藤志彦、末木啓介、笹公和、箕輪はるか、吉川英樹、藤原健壮、中間茂雄、足立光司、五十嵐康人
土壌での放射性粒子の分布が均一と考えられること、放射性粒子が吹きだまりでも存在していること、放射性粒子の性状の違いから、発見された放射性粒子がどの原子炉から放出されたかの特定が可能だと考えられること、原子炉内の物品の元素組成から粒子の元素組成が説明可能だと考えられること、などが説明され、中間貯蔵施設の建設に従事する労働者に対する再飛散による曝露防止の検討に役立つ情報がこのような分析から得られるとしています。

比放射能は小さいがサイズがより大きく、一粒子あたりの放射能量が大きい粒子によるリスク

大きな粒子ほどリスクが大きくなるという関係では必ずしもありません。
吸入時にどこに沈着するかやどの程度の期間沈着するかなどは、粒子の大きさや形状、化学的な性質により異なります。

放射性微粒子の主成分や内部構造を解明

福島第一原発原子炉から地上に降り注いだ放射性微粒子の正体を解明

物理・化学的性状分析例

福島第一原発事故により放出された粒子状放射性物質の物理・化学的性状の解明

土壌での通常の存在形態

土壌中で放射性Csはどのような物質に固定されているのか

堆積物中からの検出例

福島県内の堆積物中から分離された原発事故由来の強放射性粒子の放射光X線分析

IAEA

IAEA-TECDOC-1663
Radioactive particles in the Environment: Sources, Particle Characterization and Analytical Techniques(PDF,2.2MB)

計算コード

内部被ばく線量評価コード(INDES ver.4.1)

活用例

サマリウムの作業場所における線量評価について

様々な計算コードの紹介例

線量換算係数の検討

ICRP2007年基本勧告に 基づく線量評価用換算係数について

計算コードの入手先例

原子力コードセンター

US EPA

Software: Dose and Risk Calculation (DCAL)

より新しい計算コード

2007年勧告対応

ICRP 2007 年勧告の組織加重係数等に基づく内部被ばく線量係数、濃度限度等の試算(受託研究)

慢性摂取対応

慢性摂取による内部被ばく線量評価コードの開発

TEPCO

「福島原子力事故における未確認・未解明事項の調査・検討結果~第2回進捗報告~」について
添付資料2-7「事故時に観測された中性子と燃料溶融との関連について」(PDF 294KB)

解説論文

放射線量の不均等分布とその生物効果―Tamplinのホットパーティクル提案をめぐって―
Hot particle dosimetry and radiobiology—past and present

NCRP

Report No. 130 - Biological Effects and Exposure Limits for "Hot Particles"

ヒトでの生物学的半減期の長い成分にも直目した研究例

半減期

関係学会等の取り組み

日本大気環境学会

第56回 大気環境学会年会

特別集会3 福島第一原子力発電所事故直後の大気中放射性物質動態、炉内事象および初期被ばくの研究に関する新たな進展とその横断的な考察

日本保健物理学会

臨時委員会

内部被ばく影響評価委員会

呼吸気道内での沈着

静電気

これはヒトにおいてはあまり重要ではない。荷電した粒子が肺内に増加したとしても,通常はその影響は少ない。一方,ラットを用いた実験においては荷電したアスベストを1年間,吸入させたところ,荷電のない群と比較して,肺内にアスベスト線維が停滞し,肺の線維化が高頻度に認められたという報告がある。

エアロゾル粒子で荷電特性が呼吸気道内の挙動で重要ではないことの説明例

エアロゾル粒子は、発生直後は過剰に荷電しているが大気中では両極荷電平衡に達しているので影響が少ないとしている例

実験例

表面に不均一な帯電をもつ壁面へのエアロゾル粒子の沈着特性を実験的に検討

気管支肺胞洗浄と疫学研究

実施例

山口大学医学部附属病院.疫学研究 -肺炎原因菌の基礎データベースの構築- についてのお願い
Bronchoalveolar Lavage (BAL) for Research; Obtaining Adequate Sample Yield

Radio ecology

II INTERNATIONAL CONFERENCE ON RADIOECOLOGICAL CONCENTRATION PROCESSES (50 years later)
WEDNESDAY 9TH NOVEMBER
(Centro Nacional de Aceleradores)
9.00 – 9.40: Invited Lecture “Challenges associated with radioactive particles in the environment”
B. Salbu (Norway)
9.40 – 10.00: “Particles as concentrated sources related to uptake and radiological dose in mammals”
Johanssen et al. (Australia)
10.00 – 10.20: “Hot particles studies by Ion Beam Analysis (IBA) techniques and Accelerator Mass Spectrometry (AMS) at CNA”
Jimenez-Ramos et al. (Spain)
10.20 – 10.40: “Retention of particle associated radionuclides in biota”
Lind et al. (Norway)


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