用語 こ/D

甲状腺検査の結果の解釈を巡る議論
Discussions on the interpretation of thyroid survey from epidemiological views

地域差が何に起因しているのかの解析が重要だと考えられます。

地域差を示している例

Thyroid nodule prevalence among young residents in the evacuation area after fukushima daiichi nuclear accident: Results of preliminary analysis using the official data
Absorbed radiation doses in the thyroid as estimated by UNSCEAR and subsequent risk of childhood thyroid cancer following the Great East Japan Earthquake

Table 1

Median (interquartile range), characteristics of participants and adjusted RRs (95% CIs) for thyroid cancer according to maximum absorbed doses in thyroid glands, as estimated by UNSCEAR

Age 6–14 years

Lowest quartileLow middleHigh middleHighest quartile
Absorbed dose (mGy), range14.00–18.81 18.82–22.8223.96–28.7331.16–58.0
No. at risk 35 175 44 555 33 387 32 390
Participants getting FNAC, n (%)20 (7.4) 45 (12.6) 44 (16.1) 31 (11.5)

分析例

install.packages("RVAideMemoire")
library(RVAideMemoire)
tab <- matrix(c(35155,20,44510,45,33343,44,32359,31,145367,140),nr=2)
dimnames(tab) <- list(c("No","Yes"),c(paste("Group",1:5,sep="")))
fisher.multcomp(tab, p.method="hochberg")

   Group1:Group2 Group1:Group3  

No:Yes 0.2664 0.01571
Group1:Group4 Group1:Group5
No:Yes 0.4319 0.2467
Group2:Group3 Group2:Group4
No:Yes 0.9533 1
Group2:Group5 Group3:Group4
No:Yes 1 0.9533
Group3:Group5 Group4:Group5
No:Yes 0.4319 1

P value adjustment method: hochberg

Age ≥15 years

Lowest quartileLow middleHigh middleHighest quartile
Absorbed dose (mGy), range7.88–11.45 12.48–15.00 15.42–16.30 17.35–35.00
No. at risk 4599 4827 4430 4936
Participants getting FNAC, n (%)7 (6.7) 18 (15.9) 14 (15.9) 7 (6.1)

分析例

tab <- matrix(c(4592,7,4809,18,4416,14,4929,7,18746,46),nr=2)
dimnames(tab) <- list(c("No","Yes"),c(paste("Group",1:5,sep="")))
fisher.multcomp(tab, p.method="hochberg")

   Group1:Group2 Group1:Group3   

No:Yes 0.4007 0.8923
Group1:Group4 Group1:Group5
No:Yes 1 1
Group2:Group3 Group2:Group4
No:Yes 1 0.2724
Group2:Group5 Group3:Group4
No:Yes 0.9622 0.6648
Group3:Group5 Group4:Group5
No:Yes 1 1

P value adjustment method: hochberg

Furthermore, the rates of FNAC for 6–14-year-old participants in the low-middle, high-middle and highest quartiles were higher (low-middle, 12.6%; high-middle, 16.1%; and highest, 11.5%) than those in the lowest quartile (7.4%; Table 1). On the other hand, our findings did not reveal any significant difference in the proportions of participants needing additional confirmatory testing among the groups: 0.97, 1.01, 0.98 and 0.99 for the lowest, low-middle, high-middle and the highest quartile, respectively (Table 1). These findings may support our hypothesis, although the underlying causes for the distinct differences in the FNAC rates among the quartile groups are not completely elucidated.

the rate of the aspiration biopsy cytology in the confirmatory examination among the municipalities

Furthermore, the rate of the aspiration biopsy cytology in the confirmatory examination was also different depending on the municipality, and the lower-exposed municipalities tended to have a lower rate in aspiration biopsy cytology.

地域相関研究の例

Tsuda, Toshihide; Tokinobu, Akiko; Yamamoto, Eiji; Suzuki, Etsuji. Thyroid Cancer Detection by Ultrasound Among Residents Ages 18 Years and Younger in Fukushima, Japan: 2011 to 2014
Yamamoto H, Hayashi K, Scherb H. Association between the detection rate of thyroid cancer and the external radiation dose-rate after the nuclear power plant accidents in Fukushima, Japan

WHOの線量推計報告への言及

When the World Health Organization reported a preliminary dose estimation in 2012, it estimated the mean population dose for the more-affected locations within Fukushima Prefecture (excluding areas less than 20 km from the plant, which were immediately evacuated), the less affected remainder of Fukushima Prefecture, neighboring Japanese prefectures, the rest of Japan, neighboring countries, and the rest of the world.

論文の疑問への解説

FAQのQ.4で保守的な見積もりとありますが、どのような意味ですか?

方法:地域相関研究

【方法】でなされている曝露量の推計に関する議論

    母乳のバイオアッセイを元にした放医研による線量推計を紹介
      2011年4月で23人中7人の母乳からI-131を検出
    放医研では急性曝露シナリオで甲状腺等価線量を推計
      母親:119- 432 mSv 乳児: 330- 1,190 mSv

論文に疑問を持たれる方への解説

   
母親 津田先生は小さい線量でもこれまで考えられていたよりも大きな影響を与えうると主張なさっておられるのかしら?
エミ この論文では曝露量の推計が過小評価となっている可能性を議論なさっておられます
母親 津田先生は母乳データ元にした線量推計を 紹介なさっておられますが、バイオアッセイから線量推計では摂取シナリオに依存すると思う。急性曝露シナリオは正しいのかしら…
エミ 急性曝露した人には正しくて、慢性曝露した人には過大評価になっていると思う
アオイ 皆さんは当時いかがでしたか?

統計解析

    95%信頼区間と有病割合オッズ比を計算しp値の最尤値を求めた
      StatCalc in Epi Info 7
    罹患率比はポアソン分布に基づき計算

対象

    2014年末までの受診者 本格調査も含む
      先行調査の受診者は30万人

結果

外部比較

    中通り中央部の罹患率比が最大で50(95% CI: 25, 90)
      latency period として4年を仮定
    発見率は百万人あたり605人 (95% CI: 302, 1,082)

論文に疑問を持たれる方への解説

   
母親 津田先生はlatency period として4年を仮定なさっておられますが、正しいのかしら…
エミ latency periodは、甲状腺検査で検出可能になってから症状が出て診断されるようになるまでの期間ですね
アオイ 津田先生は、東電福島第一原子力発電所事故から甲状腺がんの発見期間を考慮して設定なさっておられます
母親 この設定が結果に大きな影響を与える…

内部比較

    有病割合オッズ比は2.6 (95% CI: 0.99, 7.0) 本格調査での新規発見
      罹患率比は12 (95% CI: 5.1, 23)
        見逃しが全くないと仮定しても

甲状腺がんが発見された小児の年齢

    本格調査: 12.1 ± 3.4歳
      これ以外の本格調査分で一例も甲状腺がんが発見されず、latent durationを3年とすると、罹患率オッズ比は12(95% CI: 5.1, 23)
    先行調査: 14.8 ± 2.6歳
      2011年当時の年齢を示す

考察

地域によって検査時期が異なる

線量が高いところから順次検査

内部比較での有病割合オッズ比を過小評価する方向

中通りと線量が低い地域での最南端部では、最北端部に比べて罹患率オッズ比が高い

I-131を含むプルームの通過パターンと一致

    発見された割合と事故後の経過時間(チェルノブイリでのデータが16年であるのに対してこの研究では4年)を考慮するとWHOのリスク推計よりもより顕著な甲状腺がんの増加が観察されると推測されうるのではないか(could infer) 線量がもっと大きいことを示唆するデータもある

スクリーニング効果

    外部比較での30倍の多発はスクリーニング効果によるのかもしれない(might be the result of a screening effect)
      しかし罹患率オッズ比が高すぎる(30倍)
        発見されたがんの進行度が高い
          74%がリンパ節転移
        本格調査での罹患率オッズ比も高い(12倍)

早く増加しすぎている?

    ベラルーシやウクライナでも3年後から増加
      当初の3年間はスクリーニングが行われていない
    甲状腺がんの”minimum empirical induction time”は、成人で 2.5年、小児で 1年(CDC)

論文に疑問を持たれる方への解説

スクリーニング効果

   
母親 スクリーニング効果とは何ですか?
エミ 症状に基づくがんの発見とスクリーニング検査によるがんの発見の違いですね
アオイ 初めてスクリーニングを導入すると多数発見することとスクリーニング検査の質の違いがあると思う

増加の程度は?

   
母親 詳しく検査するとどの程度増えるですか?
エミ 小児ではわかっていないのでは…
アオイ 健常人(成人女性)でultrasound-guided FNABsを行うと3.5%で甲状腺がんを発見(Takebe et al. )という報告があります。
母親 症状があって発見される場合の千倍以上とありますね
エミ 剖検で3mm以上の甲状腺がんが発見される割合は5.2%ともあります
母親 小児ではどうなのかしら…

出典:Incidences of Unfavorable Events in the Management of Low-risk Papillary Microcarcinoma of the Thyroid by Active Surveillance versus Immediate Surgery

著者らによるこの研究の限界への言及

限界1:対象者の代表性

    全数調査ではない 次第に受診割合が低下
      特に16–18歳 がんの症例の半数はこの年代で発見 (55 of 110)
    年齢調整を行っていない
      市町村別の年齢別のデータが公開されていないので 2013年度の対照地域データを使うと過大評価かも

限界2:スクリーニング時期

    スクリーニング検査時期が地域によって異なる
      対照地域での検査時期が遅いのでリスクを過小評価
    内部比較はリスクを過小評価する
      対照地域であっても放射線の影響を受けていると考えられるから 対照地域での7例のがん症例のうち4例は須賀川市
        須賀川市を除くと対照地域での発見割合は170 per million

限界3:スクリーニング時期

    地域別の解析で個人曝露量を用いていない
      Non-differential misclassificationが働く 甲状腺がん発症と関係ある要因が交絡因子となることは考えがたい 福島で自然放射線量が大きいという根拠もない

限界4:診断法

    甲状腺がんの診断は穿刺吸引細胞診による
      手術時の組織診断とよく一致している

結論

事故後4年間の甲状腺検査で福島県の未成年の甲状腺がんの過剰発症が検出された

スクリーニング効果では説明しがたい

論文に疑問を持たれる方への解説

   
アオイ 何が問題なのだろう…
母親 放射線のことを心配している方と、不条理ではあっても小さいリスクをacceptableだとは言えないけどtolerableだとしたものの引っかかる ものがある方を支援しようとするそれぞれのヒューマニズムがぶつかってしまっている気がする…
エミ だとすると以下のコメンタリーにどう向き合えるかが問われているのかも…

Commentary

Screening For Thyroid Cancer after the Fukushima Disaster: What Do We Learn From Such An Effort?.

   
アオイ 何らかの数理モデルを使ってこの状況を予測なさっていた方はともかくとして、津田先生の論文で書かれている思ったよりも増えていて、スクリーニング効果だ けでは説明しがたいということは皆さん一致するのでは…
母親 予想よりも甲状腺がんの発見数が多かったことの原因としては、放射線曝露による甲状腺がんの増加、スクリーニング効果(潜在的な疾患の発見(検査法の進 歩?))、過剰診断、その他が考えられそうです
エミ チェルノブイリ原子力発電所事故後の甲状腺がんでは、乳頭がんが多いようですが、A high incidence of poorly differentiated components aggressive potential Radiation-induced Papillary Thyroid Cancer may be pathologically more aggressive than sporadic PTC in age-matched groupsとあることへの懸念もあるのだろうと思う

Childhood Thyroid Cancer: Comparison of Japan and Belarus

   
アオイ 過剰診断という新たなリスクを告げられることの戸惑いもあると思う
母親 腫瘍が大きくなると手術時のリスク増えるかもしれないなどの理由で、手術するという選択もあると思うけど、悩ましいですね
エミ 疫学者の心労も伺えます
   
母親 このコメンタリーでは、この研究の限界(個人への曝露評価がなされておらず、リスクの程度に関する科学的な知見の提供という観点で限界がある)、この研究 成果を役立る方策(地方自治体や住民にも役立つものとする方策)、疫学研究でのリスクの検出について議論されています
エミ それぞれの立場の方が相手方の背景にあるモチベーションを考えて、建設的な議論とできるかしら…

その論評の紹介

「Epidemiology」誌掲載の津田敏秀博士による論文に関する、Scott Davis博士による論評の要点をご紹介します
津田敏秀博士らの論文の方法の誤りを指摘したLetterが「Epidemiology」誌電子版に掲載されました

   
えみ 相対的に経口摂取が多い方でも、調査に協力なさっておられないのは何故なのかを考えてもよいのでは…

津田先生による論文への疑問への回答

岡山大学チーム原著論文に対する医師らの指摘・批判への、津田敏秀氏による回答集
岡山大学チーム原著論文に対する指摘・批判への、津田敏秀氏による回答集その2

津田先生による論文へのコメントなど

Published Ahead-of-Print- Last Updated: February 3, 2016

津田先生による地域相関研究への言及例

ある食中毒事件の疫学調査への意見書例

疫学研究での査読者などとのやり取り例

Risk of cancer from occupational exposure to ionising radiation: retrospective cohort study of workers in France, the United Kingdom, and the United States (INWORKS)

ISEE

フランシン・レイデン会長によるコメント
ISEE letter sent to Japanese Authorities Re: Fukushima.
ISEE2015
OPEN DISCUSSION ON ISEE S LETTER TO THE AUTHORITIES IN JAPAN CONCERNING THE PAPER BY TSUDA ET AL. 2015

ISEE-AC2016

Call for Symposia

Ecological studyの質を向上させるには?

結果をどう解釈すればよいのだろう?

   
母親 線量レベルがほぼ同じと考えられる市町村をまとめて、線量と甲状腺がん発見の割合の関係を調べているのを見ると、色々と考えてしまう…
エミ 本当に知りたいのは放射線と甲状腺がん発症の関係ですが、他の要因が関係していないか吟味するとよいと思う
母親 本格調査での結果が気になるところですが、何に注意すべきかしら
エミ 本格調査での結果が、先行調査よりも差が見えにくくなっているとすると、本格検査は27年度地域の二次検査受診割合がまだ40%であることに注意すべきだと思う
アオイ 受診するタイミングで受診している集団の特性の何かが違っていると、その違いを見ているのかもしれません
エミ パワーが足りないだけで、二次検査受診割合が高くなると差が見つけられるのかもしれない
母親 偶然によって持たらされていたものだとサンプルサイズが大きくなると、その誤りも減らせますね
アオイ 先行調査でも平成25年度 実施対象市町村では、二次検査受診割合が75%であることはどのような影響を及ぼしていそうでしょうか?

示されている地域差の例

   
母親 県の発表では 「 一次検査受診者 300,476 人を地域別に分析した結果、B・C 判定率は「避難区域等 13 市町村」、「中通り」、「浜通り」、「会津地方」の順で増加傾向が見られた。」とあります。何を意味しているのでしょう?
エミ 検査実施時期の違いを示しているのではないでしょうか
アオイ 津田先生の論文に書かれている県民健康調査のスケジュールは、放射線リスクを見出す観点からは不利に働くとある課題ですね
母親 この解釈でデータの説明は整合性がとれそうかしら
アオイ データを解釈する際には、フェアかどうか、そのアプローチの優れた点と欠点・限界は何か?に意識的であるとよいのではないでしょうか。地域別に違う要因で、判定割合に影響を与えそうなものを検討してみるのはいかがでしょうか

影響を与えているかもしれない要因を調整するには

   
母親 検査時期の補正も気になるところです
エミ 疫学調査では、検査実施時期はどのように調整するのでしょうか?
アオイ 説明できそうなモデルがあれば、それをあてはめて調整することが考えられると思います
母親 死亡率の地域差を比較するようなイメージですね。年齢調整も同様にできるのではないかしら

地域集積性が見つからないとしている例

Tomoki Nakaya, Kunihiko Takahashi, Hideto Takahashi, Seiji Yasumura, Tetsuya Ohira, Hitoshi Ohto, Akira Ohtsuru, Sanae Midorikawa, Shinichi Suzuki, Hiroki Shimura, Shunichi Yamashita, Koichi Tanigawa & Kenji Kamiya. Spatial analysis of the geographical distribution of thyroid cancer cases from the first-round thyroid ultrasound examination in Fukushima Prefecture

検証が試みられた仮説

  • whether any areas have excess risk/prevalence of thyroid cancer
  • whether any geographic indicator is associated with the distribution of thyroid cancer prevalence
  • sensitivity analysis to consider the possible impact of undiagnosed positive examinees on the results of the statistical analysis, at the primary ultrasound examination.

結果

Figure 2

考慮すべきとされた点

  • Secondly, even if the guidelines for testing were unchanged during the study period, the actual practices of testing may have differed at different time periods after the disaster, depending on differences in the residents’ anxiety about radiation exposure in different regions. Among approximately 2,000 persons who underwent confirmatory testing, the biopsy rate to obtain cytological diagnosis was the highest (47.7%) in the 13 municipalities with evacuation zone, possibly reflecting patients’ high anxiety about radiation contamination; this rate was the lowest (16.7%) in the Aizu region28.
  • However, further careful consideration is needed to determine possible causes of biases regarding regional prevalence rates of thyroid cancer.

疫学研究でのエラー

  • 差を見つけようとして頑張ると、注意しないと、タイプ1のエラーが起きる
    放射線の量以外の違いを見ていないか?
  • 差を見出すことに注意していないと、タイプ2のエラーが起きる。
    放射線による影響を見つけるために役立つ調整がなされているか?

バイアス

原子力災害における甲状腺への健康影響を正 しく判断するためには,スクリーニングバイアスが大きいため,一定の基準でスクリーニングを行わなければ,真の結果がわからなくなる恐れがある.

男女差の偏り

男女差の偏り

発見される症例で男性の割合が増えている

   
母親 本格検査で発見された分で男性の割合が増えたのは、放射線の影響を示していると聞きます。本当に男性の割合が増えたのでしょうか?
エミ 先行調査では、男性:39、女性: 77なのが、本格調査<検査2回目>では、男性:32、女性: 39となっており、本格調査<検査3回目>も考慮すると、「fisher.test(matrix(c( c(39, 71+12,77,71+29)), nrow=2, byrow=T))」とすると、p-value = 0.05332となりました
母親 先行調査では、女性に比べて男性が半数でしたが、これは本格調査<検査2回目と検査3回目>と比べると男性の割合0.6程度に低かったことが示唆され、偶然では説明がつかないと考えられそうということですね(p値は0.05よりも大きいですが)

見つかった腫瘍のサイズも変化している

   
アオイ 見つかった腫瘍のサイズはどう変化していますか?
母親 先行調査では、事前には想定されていなかったようですが、116症例が発見され腫瘍のサイズは 13.9 mm ± 7.8 mm (平均 ± 標準偏差)でした
エミ 本格調査<検査2回目>でも、事前には想定されていなかったようですが、71症例が発見されています
アオイ 先行調査の結果が、スクリーニングによるとすると、先行調査よりも発見数が少なくなると考えられていたということですね
母親 これら71症例では、腫瘍のサイズは 11.1 mm ± 5.6 mm (平均 ± 標準偏差)でした
エミ 分散が小さくなっていそうですね
アオイ 13.9 mm から 11.1mmなので2割程度小さくなっていますが、ウエルチの方法による二群の平均値の差の検定を行うと、my.t.test(116, 13.9, 7.8, 71, 11.1, 5.6, var.equal=FALSE) p-value = 9.759e-12 と偶然では説明がつきづらい縮小があるということですね
母親 考えられるのは、(1)サイズが大きいものが早い時期に見つかった、(2)より小さいサイズの腫瘍が見つかるようになった、(3)その他かしら…

見つかった腫瘍のサイズも変化している

   
エミ 本格調査<検査2回目>では、女性関連要因がより影響しない甲状腺がんが発見されていると考えられるので放射線のせいではないかと思ってしまう…
エミ 本格調査<検査2回目>では、より発見される甲状腺がんのサイズが小さくなっているので、放射線照射で誘発された甲状腺がんが大きくなる過程で発見されたのではないかと思ってしまう…
アオイ 他に考えられる解釈はないかしら?
母親 女性関連要因がより影響しない段階で発生していた甲状腺がんを本格調査<検査2回目>ではより小さい段階で発見されたかもしれないということでしょうか?
エミ 疫学的なデータは、解釈を深く考える必要があるということですね

甲状腺疾患の疫学

福島県における甲状腺がん有病者数の推計
Changing Incidence of Thyroid Cancer
Increasing Diagnosis of Subclinical Thyroid Cancers Leads to Spurious Improvements in Survival Rates

罹患率の地域差

日本における非寄生性風土病
八丈島における甲状腺疾患と食事調査について

レビュー例

甲状腺がんと甲状腺疾患
厚生労働省.甲状腺がんと放射線被ばくに関する医学的知見について

関連研究例

日本における甲状腺腫瘍の頻度と経過
中学生・高校生における慢性甲状腺炎の疫学調査
甲状腺腫の発生率に関する研究 : 第2報:長野県下2地区における調査成績
小児慢性甲状腺炎の疫学的及び臨床的研究
内分泌外科シリーズ第9報:甲状腺癌の疫学に関する最新のデータ

全国甲状腺がん登録の再現シミュレーション

感度を向上させた検査を行うことで県民健康調査での甲状腺がん検査のように甲状腺がんの症例が検出しうることを示しています。
Simulation of expected childhood and adolescent thyroid cancer cases in Japan using a cancer-progression model based on the National Cancer Registry: Application to the first-round thyroid examination of the Fukushima Health Management Survey

疫学調査を実施している例

放射線業務従事者

福島県内の放射線業務従事者等に対する健康診断の実施状況
放射線による健康影響の把握には、年齢構成・喫煙・飲酒・既往歴等の調査を含めた厳格な疫学的研究が必要不可欠。このため、必要な疫学的研究を着実に実施する。
① 平成25年度:白内障に関する研究、甲状腺に関する研究
② 平成26年度以降:25年実施研究に加え、必要な研究を着実に実施。

Chernobyl accident

Radiation-epidemiological studies of thyroid cancer incidence in Russia after the Chernobyl accident (estimation of radiation risks, 1991–2008 follow-up period)

emergency workers of the Chernobyl accident

Leukaemia and thyroid cancer in emergency workers of the Chernobyl accident

曝露量評価

Evaluation of the 131I thyroid-monitoring measurements performed in Ukraine during May and June of 1986

日本白内障学会

白内障の疫学研究

原爆被爆者

Long-term trend of thyroid cancer risk among Japanese atomic-bomb survivors: 60 years after exposure

検診

検診で求められているインフォームド・コンセントとは

インフォームド・コンセントを考える-住民と共につくる前立腺がん検診とは-

検診の有効性とは

アメリカでは40歳代のマンモグラフィが推奨されないってどういうこと?
科学的根拠をもとにした健康保険適用に関する判断分析の是非をめぐって

がん登録

厚生科学審議会 (がん登録部会)
表21.罹患数、部位割合(%)、粗罹患率、年齢調整罹患率、累積罹患率(人口10万対): 都道府県別、性別 甲状腺 C73

統計

厚生労働省

統計について学ぼう

データの吟味例

沖縄県は戦前から長寿県だった?

戦前・占領期を含む沖縄の平均寿命の年齢構造─水島生命表,琉球政府生命表を用いて─

バイアスの定量的な影響推計

観察研究におけるバイアスの感度解析

用語の整理

有病割合(Prevalence)

ある集団でのある時点におけるある疾患を有するものの割合。

罹患率(incidence rate)

単位観測人年あたりのその疾患に罹患したものの数。

   
えみ 有病割合はある時点の観測値で決まる静的な指標ですね
母親 罹患率は変化を示す微分的な指標ですね

甲状腺がん発症の交絡因子?

硝酸塩?

川内村では飲料水からの硝酸塩摂取が多くなく、甲状腺罹患に影響を与えないと考えられることを示した 例

Implication of Nitrate in Drinking Water in Kawauchi Village, Fukushima

ベラルーシでの地域別の小児の甲状腺罹患状況が放射線曝露量だけではなく硝酸塩の曝露量にも関係していることを示唆している 例

(3-PS4A-02) Potential Joint Effect of Nitrates in Drinking Water and Radiation Dose to the Thyroid on Incidence of Pediatric Thyroid Cancer in Belarus

厚生労働科学研究

H26-食品-指定-006

食品安全行政における政策立案と政策評価手法等に関する研究(研究代表者(所属機関):渋谷 健司(東京大学 大学院医学系研究科)

チェルノブイリ事故

ARCH—Agenda for Research on Chernobyl Health
Wolfgang Weiss. CHERNOBYL THYROID CANCER: 30 YEARS OF FOLLOW-UP OVERVIEW

甲状腺がんの治療

福島県立医大

原発事故後の福島県内における甲状腺スクリーニングについて
手術の適応症例について(2015年8月31日)
Psychosocial Issues Related to Thyroid Examination After a Radiation Disaster

その他

若年者甲状腺癌の臨床的検討
当科における小児甲状腺癌の検討
20年を経過した肺転移を伴う小児甲状腺分化癌の放射性ヨウ素治療の1例
Prognostic factors of papillary thyroid carcinoma vary according to sex and patient age

曝露時期の年代別の発症時期

事故当時若年だった層での発症時期が比較的遅かったとしている例

Age Distribution of Childhood Thyroid Cancer Patients in Ukraine After Chernobyl and in Fukushima After the TEPCO-Fukushima Daiichi NPP Accident

診療ガイドライン

甲状腺腫瘍
甲状腺乳頭癌および濾胞癌

福島県外

平成27年度原子力災害影響調査等事業(福島県外における住民の個人被ばく線量把握事業)委託業務 【総合評価落札方式】
Thyroid ultrasound findings in a follow-up survey of children from three Japanese prefectures: Aomori, Yamanashi, and Nagasaki

福島県以外の自治体対応

考えるのが難しい問題だと思いますが、ProsとCons(何か行う場合に、それがもたらす「よいこと」と「よくないこと」)も考えられるとよいと思います。

かすみがうら市

放射線物質による健康影響検査費助成

常総市

甲状腺エコー検査の費用を助成します

つくば市

放射性物質による健康影響検査受診費助成

龍ケ崎市

放射性物質による健康影響検査費助成事業のお知らせ

我孫子市

小中学校の健康診断における甲状腺の視診・触診結果について

印西市

ホールボディカウンタによる内部被ばく測定費用の一部を助成します

柏市

甲状腺超音波(エコー)検査測定費用の一部を助成します
ホールボディカウンターによる内部被ばく測定費用の一部を助成します

野田市

「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針の改定(案)」のパブリック・コメントに野田市が意見提出

松戸市

平成27年度甲状腺超音波検査の実施及び検査費用の一部を助成します(受け付けは終了いたしました)

リスクへの対応法

過剰診断を議論することへの懸念表明例

あの 1 つだけ、ちょっと先ほどですね、甲状腺の過剰診断の所で一言申し上げようと思ったんですが、タイミングを失しまして最後に一言だけ。
6 月にですね、前回の部会の後くらいに県民の方から寄せられたメールを 1 通ご紹介したいと思います。 「過剰診断という言葉を子供の甲状腺のことでは初めて聞きました。子供の甲状腺をもっとしっかり調べてほしいと思っている県民が多いと思います。過剰診断と言われ、今まで のレベルの検査などがされなくなった場合、避難している方々も増々戻ってこなくなるのではないかと思います。」というようなこれは県に寄せられたメールで、これは結構、典型的な県民の意見だと思います。
例えば 2 年に 1 度の検査を毎年やれないのかとかですね、最近よほどご意見はやや落ち着いてはきておりますが、このような状況の中で専門家の皆さんのご意見だといろいろローリスクのがんであるとか、我々は結構それも承知しているつもりではありますが、一般の県民の方になかなかですね、過剰診断っていう言葉が割と一人歩きしますので、なかなか県民の心情になかなか噛み合わないというふうなことがございますので、今後いろいろ議論いただいたり方針を決めていただく場合に、その県民の方への理解、どうやって理解を得ていくかっていうところも加えてご検討いただければ大変ありがたいと思います。

出典情報

第 16 回福島県「県民健康調査」検討委員会

検査の不利益情報を提供することへの懸念表明例

検査を受ける前により詳しく情報を提供すべきではないかとの記者の質問に対して、保護者の判断を求めるのは酷だと清水修二先生が意見を述べられておられます(19分頃)。

出典情報

「県民健康調査」検討委員会 第5回「甲状腺検査評価部会」(平成27年2月2日開催)後の記者会見

検査プログラムの継続の可否に対して、単にメリット・デメリットの比較ではなく、より重要な要素を考慮すべきとの意見例

【阿美部会員】甲状腺超音波検査のメリットは被験者にほとんどなく、デメリットが大きい事は、はじめから、想定の範囲であったと思われます。私自身、福島の医師として検査に直接参加しておりますが、検査対象者以外は受けるべきではないと説明して来ました。 調査開始の状況は明確には分かりません。被爆(→「被曝」)による健康被害を怖れる(原発事故に よる特殊な傷を追った)市民の強い要望により始めざるを得なかった検査であったと想像します。これにより既に多くの方が結節や嚢胞の発見により心に負荷を負った事実は否定しようが無いと考えます。検査の、あるいは検査方針の急激な変更は、そうした福島県民の心の傷を大きくする可能性があります。本来、必要のない、やるべきではなかった検査で、中止、変更も必要だと思いますが、そうした配慮も必要と県民としては思います。

リスクを考えることの負担

過剰診断のことをどう考えるか

   
母親 いやなことを考えるのは負担です…
エミ リスクは、そのお話しそのものも避けようとするのは当然だと思います
アオイ そのことが上の資料で示されていると思います。

でもリスクのこともきちんと知りたい気持ち

   
母親 でも真実を知りたい気持ちもある
エミ 福島県での保育士研修では難しい過剰診断の話もありましたが、色々と考えないといけないと感じました
アオイ リスクの話をする前には、その前の関係作りが重要だと思う
エミ 増えているのを見逃しては困るという思いがとても強いです。原子力発電所事故後の小児の甲状腺がんで自覚症状により発見されたものが増えているとすると、スクリーニングとは関係なく、別の要因がその増加をもたらしたと考えられそうだけど、関心が高まると同じような病状でもがんが自覚されやすくなるのかしら…

証明?

   
カズ 「証明」ということばの使い方は、大事ではないかと思いました
エミ どういう意味ですか?
カズ 証明できるような研究手法でもないのに,「証明」ということばを使うのは端的にいえばまちがいだと思います
エミ 「 証明できるような研究手法でもない」とはどういう意味ですか?

追跡が十分か?

   
エミ B判定の方々がきちんと追跡され、集計に反映されているのかどうかが疑問です
母親 別枠で報告されることになっているようです

第 27 回「県民健康調査」検討委員会でのやりとり

「県民健康調査」検討委員会第5回「甲状腺検査評価部会」

春日文子 部会員

分かりました。その検診のスキームとその結果の表し方というのは理解出来るんですけれども、万一、経過観察後に悪性の結果が出てしまった場合には、それはどういう形で結果が出され、まとめられるのでしょうか。

鈴木眞一 教授

幸いにも今のとこそういう症例がないので、報告してはいませんけど、そういう症例があれば別枠で報告になると思います。経過観察中に発見された悪性腫瘍ということになると思います。

甲状腺がんの遺伝子多型

県民健康調査の解析

BRAFV600E mutation is highly prevalent in thyroid carcinomas in the young population in Fukushima: a different oncogenic profile from Chernobyl

報道例

福島民報.甲状腺がん遺伝子変異、チェルノブイリと別型 福医大など見解

レビューや研究例

光武 範吏.甲状腺未分化癌の網羅的遺伝子解析:最新の研究成果のレビュー
和田 洋一郎. BRAF遺伝子点突然変異頻度に基づく放射線影響評価

IARC: Agenda for Research on Chernobyl Health

Technical Report
松田 外志朗.福島県における甲状腺がんについて

県民健康調査の結果の解析

Estimated prevalence of thyroid cancer in Fukushima prior to the Fukushima Daiichi nuclear disaster
Quantification of the increase in thyroid cancer prevalence in Fukushima after the nuclear disaster in 2011—a potential overdiagnosis?

疫学研究

日本疫学会

一般向けコーナー:疫学研究って何?

集団のサイズとタイプ2エラー

   
母親 LNTが成り立つとすると線量の平均値が低くても曝露人数多いとタイプ2エラーを減らせるのではないかしら
エミ 集団線量で比べてみると良いと思う

チェルノブイリ原子力発電所事故

   
アオイ チェルノブイリ原子力発電所事故での影響を受けた地域での最初の一年の甲状腺への集団吸収線量は、650 thousand man Gyであるようです(Annex D 表2

チェルノブイリ原子力発電所事故での影響を受けた地域での集団線量

東京電力福島第一原子力発電所事故

   
母親 東京電力福島第一原子力発電所事故での日本全体での最初の一年の甲状腺への集団吸収線量は、82 thousand man Gyであるようです(Annex A 表8

東京電力福島第一原子力発電所事故での影響を受けた地域での集団線量

韓国での甲状腺がん検診

Standardized Thyroid Cancer Mortality in Korea between 1985 and 2010
Changes in the Clinicopathological Characteristics and Outcomes of Thyroid Cancer in Korea over the Past Four Decades

レビュー

Chernobyl and Fukushima—where are we now?

甲状腺調査のあり方の議論

国際シンポジウム 東日本大震災そして福島原発事故から5年
動画
福島県立医科大学放射線健康管理学講座准教授 緑川早苗[福島リポート 18]  甲状腺検査の現場から - 子供たちに伝えたいこと
SHAMISEN Recommendations booklet is available

福島県小児科医会声明

平成28年度福島県小児科医会声明

兵庫県保険医新聞

福島県民健康調査とこれからをどう見るか
予防医学的対応の充実こそ実践的課題
電話インタビュー 福島県・医療生協 わたり病院 齋藤紀先生に聞く

WHO

FAQs: Fukushima Five Years On

IARC

Thyroid Monitoring after Nuclear Accidents (TM-NUC) project
IARC Technical Publication No. 46: Thyroid Health Monitoring after Nuclear Accidents
解説記事

オープン・データ

公開されているデータ例

放射線影響研究所

取り組み例

症例データレポジトリ

国での検討例

厚生科学審議会 (科学技術部会疫学研究に関する倫理指針の見直しに係る専門委員会・臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る専門委員会)

研究の結果得られた予期しない情報(しかもその意義が必ずしも判然としない)を研究に貢献して下さった参加者に伝えるべきか

Sharing Unexpected Biomarker Results with Study Participants

当事者からの意見例

特定非営利活動法人3・11甲状腺がん子ども基金

手のひらサポート給付者アンケート 2017.4.17(それぞれのご意見を是非お読み頂ければと思います)

当事者を対象とした研究例

小児・若年者甲状腺癌の長期フォローアップ体制の構築 - 福島県立医科大学

県民健康調査の基本調査で収集された行動記録で推計された外部被ばくに関する疑問例

   
母親 県民健康調査の基本調査で収集された行動記録で推計されているのは外部被ばくに留まっていますが、この推計に関してもご質問を頂きました

推計法の説明

(独)放射線医学総合研究所.外部被ばく線量の推計について 外部被ばく線量評価システムの概要と避難行動のモデルパターン別の外部被ばく線量の試算結果

FAQ

この場合の外部被ばくとは、放射性ヨウ素によるものと放射性セシウムによるものを(その他に希ガスや他の粒子もあるとは思いますが)、合わせたものになるのでしょうか。

2011/3/12-14は、Xe-133, I-131, Cs-134, Te-129m , I-132, Cs-137, Te-132の7つの核種を対象に計算し、2011/3/15以降は計測された線量率のデータを利用しています。

総線量としては各核種の合計が考慮されているが、それぞれの核種を実測したものではなく、1つの実測値を基に推計していたものと考えて良いでしょうか?

2011/3/12-14は、主に寄与すると考えられる7つの核種を対象としています。
2011/3/15以降は計測された線量率のデータに基づいており、この計測は核種を弁別しておらず、空間線量率として計測したものです。この計測では複数の計測法を組み合わせたものとはなっていません。

実測されたのは空間線量であって、要するにセシウムの外部線量であると考えて良いでしょうか?

実測されたのは空間線量率で外部被ばく線量を引き起こすものです。主には放射性セシウムによります。

数か月の積算線量を計算してしまうと、途中からヨウ素は減衰してしまっているので、セシウムの影響のみを加算していることになると考えて良いでしょうか?

各核種の寄与は評価期間によって異なります。 数か月の積算線量の計算でも放射性ヨウ素の寄与を考慮していると、主に効いてくるのは放射性ヨウ素による放射線曝露であることが確認できます。

患者会

サイロイドカフェ

福島 俊彦、鈴木 眞一、古橋 知子.甲状腺癌患者に対する支援 患者会の設立と今後の課題

患者会の支援を目指していると考えられる組織

放射線被ばくを学習する会

  パンフレット「受けて安心 甲状腺検査」
全般的には、放射線による甲状腺がんのことを心配している方に対して、安心していただき不安を取り除こうと無害原理に沿った対応になっているように見受けられます。
放射線のリスク情報を提供している3ページの漫画は、恐怖アピールによる説得となっていると見受けられますが、「多発」の原因が必ずしも明らかになっていないことや検査の不利益を示していない点がアンフェアなものにはなっていないでしょうか(よかれと思った善意のコミュニケーションを目指されていると思いますが)。 検査の不利益の扱いに関しては、余計な心配をさせたくないとの思いのあまり、リスク情報を提供する倫理的な義務を果たしていないとは考えられないでしょうか(難問だと思います)。

この課題にどう対応するか?

  • リスク情報をフェアに提示すべきではないか。その一方でリスク情報に向き合えるようなエンパワーメントが必要なこともありそう。
  • 健康状態を知る権利としての検査の位置づけを明確にしておいてはどうか(その権利を行使することの問題点もフェアに提示)。
  • 放射線影響を調べるために社会的にも意義があると考えられる研究にリスクを取ることにはなるが、貢献できることを確認できるようにしてはどうか。
  • 人々に参加を求める社会的なプログラムの運営において(参加する方々にリスクを与えうる)、当事者の意見も反映させることも課題として考えられるのではないか。

発見された甲状腺がんの追跡

Comparative Analysis of the Growth Pattern of Thyroid Cancer in Young Patients Screened by Ultrasonography in Japan After a Nuclear Accident: The Fukushima Health Management Survey

市町村別の集計数を公表してもプライバシーを侵害しないか?

最小集計規制

成果物の公表基準に関する検討

課題の解説例

レセプト情報・特定健診等情報データベースの概要と活用の方向性 ―滋賀県特定健診データ分析事例から―
岡本悦司.レセプト情報活用の事例 と NDBの法的位置づけ
岡本悦司.ナショナルデータベースの法的検討
NDBオープンデータ:作成の背景と目的

福島県議会

採択した請願

福島県民健康調査における甲状腺検診で、検査規模の縮小ではなく、検査の維持を求めることについて

無駄な検査や治療?

「過剰診断」は検診プログラムでのデメリットを示す概念です。
検診を起こった結果、見つかった甲状腺がんに関して、手術を行った場合に(検診を行い発見されたという前提で)、それが適切かどうかと、「過剰診断」の程度かどうかは別の議論になります。
福島県民健康調査における甲状腺スクリーニング検査の倫理的問題

住民の意識

岡﨑 龍史, 太神 和廣, 横尾 誠, 香﨑 正宙.福島県における原発事故後の放射線影響と福島県民健康調査に対する意識調査

倫理的な検討

樫田美雄.研究倫理の討議的達成の相互行為分析-福島原発事故・甲状腺検査評価部会のケーススタディ-- For Interaction Analysis of the Discussional Achievement of the Ethics of Clinical Research: A case study of the evaluation meetings of thyroidal screening tests in the Fukushima Public Health Care Investigation guarding against the Fukushima Nuclear Plant Accident
松田 外志朗.福島県における甲状腺がんについて

UNSCEARは高感度な超音波検査を用いたスクリーニングについては慎重な態度を示していると考えられます。

Thyroid screening is a complex issue and judgements on its scope, nature and/or continuation following the accident at FDNPS require considerations of factors that go far beyond the purely scientific issues alone (e.g. those of a socio-economic, public health, legal, ethical or human rights nature).Should the screening continue, the systematic collection and storage of biopsy material (including related information on exposures) and open access to it for meritorious research, would help investigations to be made of biomarkers and molecular signatures of radiation-induced thyroid cancer (i.e. in a similar manner to the Chernobyl Tissue Bank)”

UNSCEARによる甲状腺がんのリスクの記述

Impact on the general population and children

The Committee estimated doses to the thyroids of adults to be up to about 35 mGy in the most affected districts, albeit with considerable variation (from about two to three times lower or higher) between individuals.
For one-year-old infants, the district-average thyroid dose in the most affected areas was estimated to be up to about 80 mGy. UNSCEAR noted a theoretical possibility that the risk of thyroid cancer among the group of children most exposed to radiation could increase and concluded that the situation needed to be followed closely and further assessed in the future. However, thyroid cancer is a rare disease among young children, and their normal risk is very low.

原子力発電所周囲の疫学研究

Thyroid Cancer Incidence around the Belgian Nuclear Sites, 2000–2014
交絡因子や偶然変動の制御など結果の解釈の課題があると思われます。
Ghirga G. Cancer in children residing near nuclear power plants: an open question

チェルノブイリ原子力発電所事故

UNSCEAR: EVALUATION OF DATA ON THYROID CANCER IN REGIONS AFFECTED BY THE CHERNOBYL ACCIDENT A white paper to guide the Scientific Committee s future programme of work

小さい線量でも甲状腺がんの発症が確認されており、より小さい線量でもリスクがあることが証明されているのではないですか?

人口サイズ別の検出割合

線量応答関係が確認され、線量に応じたリスクがあると考えられています(=線量が小さいとリスクは小さくなる)

環境省.放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
人口サイズ別の検出割合

当事者参画

なかなか難しいところもあるかもしれませんけれども、実際、受診対象となっておられる方の代表されるような方を何らかの形で入っていただいた方がよろしいかと思うんですけれども、そこら辺はいかがですか。

地域差の検証とその要因分析

Re: Associations between Childhood Thyroid Cancer and External Radiation Dose after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident

地域差以外の要因分析

External Radiation Dose, Obesity, and Risk of Childhood Thyroid Cancer after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident: The Fukushima Health Management Survey

地域による違い

地域と甲状腺がんリスクの関係 GroupAからDはいずれも調整法によらず、Group Eに比べてRRが高い(それぞれ統計学的有意ではないですが)という結果になっています(Group Eに比べてRRが高い(確率0.5)が4回連続で起こっている)。

肥満度による違い

肥満度と甲状腺がんリスクの関係

原子力災害後の白血病発症に関する疫学研究

Childhood leukemia in Ukraine after the Chornobyl accident

福島県議会

福祉公安委員会

2019.9.20

生物学的な研究例

郷地秀夫.福島原発被災者の抗P53 抗体値検査の陽性率-その① 陽性率は高かった
松浦千絵.福島原発被災者の抗P53 抗体値検査の陽性率-その② 前半より後半が増加
松浦千絵.福島原発被災者の 被災別・年齢別の甲状腺自己抗体陽性率比較 その一
郷地秀夫.福島原発被災者の被災別・年齢別の甲状腺自己抗体陽性率の比較 その二 - 抗TG抗体、抗TPO抗体TPO抗体と年次推移-

抄録
ここでのアウトカムは年齢による影響を受けるために、それぞれ比較している集団で年齢分布がどうなっているかの吟味も重要だと思われます。

小児甲状腺がんは増大するのか?

Comparative Analysis of the Growth Pattern of Thyroid Cancer in Young Patients Screened by Ultrasonography in Japan After a Nuclear Accident The Fukushima Health Management Survey

甲状腺がんは増加しているのか?

Pediatric Thyroid Cancer Incidence and Mortality Trends in the United States, 1973-2013
Trends in Thyroid Cancer Incidence and Mortality in the United States, 1974-2013

議論

Harms of Pediatric Thyroid Cancer Overdiagnosis—Reply

研究として行う場合の検査や判定の基準の統一の課題

生活クラブ

今年も子どもの「甲状腺検査活動」の報告会を開催しました

甲状腺の所見は、医師や技師の経験や検査機器など、さまざまな要素に影響される可能性がありますが、毎年の検査で変化が確認できています。(2018年度甲状腺検査活動報告書)
毎年の検査で確認できている変化がどのような要素によるものかを分析しないと確認されている経年変化が何に由来するかがわからないでしょう。

より客観的な判定

Artificial intelligence in breast ultrasound
保健医療分野におけるAI活用推進懇談会

行動調査の代表性

   
母親 統計的な計算の結果、両集団(回答済みだった方と、今回の戸別訪問で回答いただいた方)の線量の平均値には、最大に見積もっても±0.25ミリシーベルト程度の違いしかなく、両集団の線量は同じレベルにあることが示されました。とあるけど、0.25 mSvまでは同じとすると、南会津(最大線量1.9 mSv)といわき(最大線量5.9 mSv)が同じになります…
エミ 95パーセンタイル値や99パーセンタイル値が同じような程度だったのか気になります…

三県調査との比較

サンプルサイズが小さいために3県調査では偶然変動により割合が大きくなり得るのですが、その程度には限界もあると考えられます。

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更新日:2020年02月27日 
登録日:2019年07月25日 

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