甲状腺は頭頸部領域で最も放射線感受性の高い臓器の一つです。
甲状腺は口内法X線撮影時に頻繁に散乱線に曝され、ときには一次線束に曝されます。
30歳以下の人はそれ以上の人より放射線誘発甲状腺がんのリスクが高く、この年代の人に口内法X線撮影を行うときは甲状腺カラーを使用すべきであるという人がいます。
しかし、口内法X線撮影では矩形絞りを採用したときの甲状腺の防護効果は、甲状腺を鉛で遮蔽した場合と同一のレベルであろうし、加えて、さらに他の線量低減効果もあります 。
甲状腺遮蔽はパノラマX線撮影法では一次線束を妨げる可能性があるので不適切です。
頭部X線規格撮影法における鉛の甲状腺防護は、もしX線束の絞りが甲状腺を避けれないならば必要です。
頭部CT撮影時には甲状腺遮蔽は45%の放射線量を低減することが認められており、特に若年層には強く推奨されます。
出典
欧州委員会.歯科X線検査の放射線防護に関するヨーロッパのガイドライン:歯科診療における安全なX線の利用のために (日本歯科放射線学会による日本語版)
参考
歯科医院で放射線防護は必要なの?
歯科検査での甲状腺の線量とリスク
歯科での防護衣の使用
歯科でX線検査を何度も受けています。大丈夫ですか?
小児の甲状腺への1Gy程度の放射線照射で数十年後の甲状腺がん発症のリスクが増加する
Hand Held装置

左側が後方散乱シールドありで右側が後方散乱シールドなし。
アニメーションはこちら。
関連記事
記事作成日:2010/01/28 最終更新日: 2021/01/22