用語
し/P
子孫核種 progeny nuclide
壊変後に生成される核種のこと。
例えばTe-132はI-132に壊変するので、I-132はTe-132の子孫核種にあたる。
壊変により生成される系列が放射性核種により構成されることがあるので子孫核種と称されている。
読み進めるための基礎知識
空間線量率と内部被ばくによる預託線量の違い
空間線量率は、単位時間あたりの壊変数にも依存します。つまりその評価時刻での放射能の大きさが効いてきます。
それに比べて、内部被ばくの線量は、ある期間に摂取する量などに基づく体内での壊変数に依存します。このため、ある時点での放射能だけでは決定できないことになります。
学会行事のフォローアップ
日本保健物理学会
シンポジウム Ⅰ「福島事故後の内部被ばくの課題の解決に向けて -不溶性粒子と短半減期核種-」( 日時:2018年3月19日(月) 13:30-17:00)
プレゼン資料は、上のページをご覧下さい。
高バックグラウンドとは?
ここでは試料測定に無視できない影響を与えることを指しています。
緊急時におけるゲルマニウム半導体検出器によるγ線スペクトル解析法では事故の経験も踏まえてピットホール対応として短半減期核種の緊急時の減衰補正法などが記述されていますが、建屋外へのフォールアウトによる高BGへの対応が記述されていないようです。
空間線量率が増加し、計数率が増加している状況は事故による放射性物質の増加を意味していると考えられますが、そこでの人為的な行為は放射性物質の拡散をもたらし、他所様に迷惑をかけているのではないか?
KURAMA-IIを用いると放射性セシウムによる線量率とそれ以外の核種による線量率をそれぞれ把握することができます。
時間をかけると東日本の広い範囲で、放射性セシウムによる線量率の増加が観察されるでしょう。
東京都健康安全研究センターの土壌濃度のデータでも事故による放射性物質の存在が示されています。
人為的な介入で他の方の放射線曝露がどの程度増えているかは推測することができます。
海外では、環境中の集積を減らすように工夫している例もあります。
in growthとは?
親核種の壊変による子孫核種の供給のことを指しています。
一時立入の際の防護服が軽装化され、耳が覆われなくなった。このため耳に放射性物質が付着し、耳の重要な機能を持つところに線量を与えるのではないか?
一時立入中に耳に付着した放射性物質は観察可能であり、耳の各部位の線量も評価できるのではないでしょうか。
消化管から吸収された放射性セシウムなどを含む不溶性微粒子がリンパ節に集積すると想像も付かない影響を与えるのでないですか?
実験的な検証が可能かもしれない。
「セシウムボール」という名称は、不溶性微粒子に含まれる他の放射性物質を無かったものとするものであり、不適切ではないか?
「セシウムボール」に他の放射性物質が含まれることは当然の前提で、種類によってその組成が変わり得る。短半減期核種を含め、他の放射性物質による線量などの定量的な評価が必要。
不溶性微粒子に含まれる他の放射性物質として短半減期核種の影響をどう考えるのが良いか?
I-129を測ることで放射性ヨウ素の同位体の量を推計し、それらによる線量を推計してはどうかとのアイデアがあります。
含まれる放射性物質の量が比較的大きくサイズも大きい不溶性微粒子は鼻出血の原因になり得るのでないですか?
大きな線量を与える領域が限定的すぎると考えられるが、実験的な検証や疫学研究が有益ではないか。
当時、観測された中性子線が放射性セシウムなどを含む不溶性微粒子の生成と関係?
東電が示している例からは、関係は考えがたいのではないでしょうか
不溶性微粒子のバイスタンダー効果は?
要検証ではないか。
原子炉内で生成されたI-132の経時変化(Te-132からの壊変も考慮)
赤線:Te-132の壊変により生成されたI-132を示します。次第に増加して、Te-132と放射平衡になっています。
緑線:原子炉に内に当初あったI-132が物理的な減衰により減少していることを示しています。
紫線:上の二つを合わせたI-132の放射能量の経時変化を示します。
インベントリ推計
シビアアクシデント時のインベントリ計算と核種組成
検出された濃度比との乖離
- 原子炉からの放出のされやすさの違い
- サンプリングされた場所までの移動のしやすさの違い
- ガス状物質
- 粒子状物質
- 微小な粒子は水蒸気の凝縮核となったり、ブラウン拡散により雨へ捕捉されます
- 粗大な粒子は慣性衝突やさえぎりにより、雨へ捕捉されます
- サンプリングのされやすさの違い
- ガス状物質はフィルタの物理的な性質だけでは捕捉できません
- その他
データの例
日本原子力研究開発機構により計測された例
この計測では、ガス状物質も補足できるように工夫してサンプリングされています。計測時間が短いこともありTe-132などが検出限界を超えていない計測もありますが、その存在と矛盾しないデータになっていると予想されます。
試料採取時刻と試料測定時間が離れていて、Te-132<<I-132となっているデータは、I-132の減衰補正適切ではないことも考えられるので(放射平衡になっていてI-132の減衰がTe-132の半減期に従っているのにI-132の半減期で補正したなど)、確認するとよいでしょう。
スペクトルデータ例
福島市内で2011年3月18日12時50分から10分間1m3の大気をチャコールフィルタで吸引して2011年3月19日15時51分から1,000秒間、Ge半導体検出器で計測された例
読み取れそうなこと
- I-132の複数ピークやK-40のピークによるエネルギー校正
- I-132の複数ピークによる効率校正
- I-132の複数ピークによるI-132の遮へい内外存在割合
- 同定できていないピークの由来探索
- 1372.07keV,1397.78keV,1441.64keV
- 363.26keV
- その他?
- 存在が疑われるピークが、ある量より小さいと考えられるかどうか
- 検出器内での想定されるコンプトン散乱量と観測された散乱量の乖離からの情報の汲み出し
- 比較的高バックグラウンドである場合のバックグラウンドからの影響
- その他?
同様にI-132とTe-132の乖離が見られる例
ダストサンプリングの測定結果
文部科学省によるダストサンプリングの測定結果
考慮すべきこと
どのような性質を持つ物質がそのサンプリングで計測対象となったフィルタで捕捉されやすいか(環境中での沈着のしやすさやそのフィルタに捕捉される前の段階での別のフィルタへの捕捉のされやすさや、そのフィルタでの捕捉のされにくさ)
サンプラーなどの汚染
Te-132からI-132の壊変がどこで生じたか
Te-132とI-132の乖離やI-131とI-132の乖離から考えられること
Te-132が環境中に沈着し、そこで壊変してできたI-132がその周辺の空気中に漂ったのではないか。
特定のモニタリング・カーなり、測定場所にTe-132に付着していたのではないか。
ヨウ素の飛散データ
放射性ヨウ素 (125I) の飛散と飛散したヨウ素の活性炭カートリッジによる捕集
データの修正例
ダストサンプリングの測定結果(平成23年5月31日まで)中の平成23年3月の福島市方木田における測定結果に誤りがありました。他の測定結果についても確認し次第、訂正します。
同様のデータ
茨城県環境放射線監視センターの当時の農作物測定でも似たような結果が得られているようです(I-132での定量でTe-132からの壊変も考慮する必要がある)。
茨城県の大気及び土壌環境中で観測された福島第一原子力発電所事故由来の放射性物質
初期の大気中の放射性物質を集めた試料を測ったデータ
平成28年5月26日 福島県放射線監視室.緊急時モニタリングにおける大気浮遊じんのγ線核種分析結果について
降下物
産総研
医療系核種での質問例
ヨード123標識MIBGによる線量評価での子孫核種の考慮の必要性
以下は、ホット・パーティクルにも関連した記事です。
閲欄上の注意
この記事では放射線の飛跡図が示されます。
何に対して疑問があるのか?
疑問を持ち体内動態モデルを学習することのモチベーションとは?(保健医療従事者に体内動態モデルの学習を強いている内容ではありません)
|
|
|
結局のところ疑問点は何に集約されそうですか? |
|
半減期の短いTe-132/I-132については、少なくとも吸入分は肺に滞留するので、体内での壊変数と体外での壊変数にそれほど大きな差があるとは思えない。このため、内部被曝の動態モデルに従って体内で壊変すると、体外で壊変するより推計線量が大幅に少なくなるのは納得しがたい、というところです |
|
納得するためには何が考えられるとよいのだろう… |
|
納得するためには、2007年勧告モデルでは、Te-132/I-132の血液や各臓器での吸収線量が現行モデルと比べてどのくらい変わるかを知りたいです |
|
実効線量として試算した例が示されています。Te-132は74ページです |
|
「本試算は、wR及びwTの改訂による線量係数等への影響を調べることが目的であるので、1990年勧告で用いられたMIRD型ファントムに基づく吸収割合データから計算されるDT, Rを用いてHT及びEを計算した」とありますので、血液の配分は変わっていないのではないでしょうか |
|
線源臓器と標的臓器をより細かく細分化して、代謝モデルもより精緻にして推計して欲しいということでしょうか?ざっくりと考えた場合に、どうなりそうか予想できませんか? |
元素状の化学形であった場合の等価線量換算係数[Sv/Bq]
1-year-old member of the public
核 種 | organ |
Time after intake |
1 day |
7 days |
30 days |
I-131 | ET Airways | 6.2E-09 | 8.4E-09 | 8.6E-09 |
Lungs | 1.8E-09 | 2.0E-09 | 2.0E-09 |
Thyroid | 2.5E-07 | 1.8E-06 | 3.2E-06 |
Te-132 | ET Airways | 1.8E-08 | 2.8E-08 | 2.8E-08 |
Lungs | 1.3E-09 | 2.9E-09 | 3.3E-09 |
Thyroid | 1.8E-07 | 6.4E-07 | 7.8E-07 |
ICRPのモデルは正しいのか?
代謝モデル作りでもいかされているチョルノービリ原子力発電所事故でのデータ
課題となっているテルルの代謝モデル
|
|
|
テルルの代謝モデルの確立は東電福島第一原子力発電所事故前でも課題となっていて、検討されていた例があります。 |
|
「胃腸管吸収率は成熟ラットで15-20%、哺乳期ラットではほぼ100%が胃腸管から吸収された。」とあるのが気になります。このような地道な研究が必要ですね。現在のデフォルト値ではI-131とTe-132の粒子の甲状腺等価線量係数は32倍違いますので、肺からはほとんど甲状腺に到達しないモデルになっているようです |
定量的な検討の試み
ラフな方法
|
|
|
「I-131の経口の実効線量はTe-132の約5倍ですが、これは娘核種(I-131)のβ線2倍(I-131のベータ線の平均エネルギーは 181.9[keV]であるのに対して、I-132のベータ 線の平均エネルギーは485[keV])、γ線6倍のエネルギー差は考慮されているのでしょうか?」という疑問をどう考えればよいのかしら |
|
シミュレーションして考えてみられるのはいかがでしょうか |
|
例えばどうやって考えるのがよいですか? |
|
Te-132は、半減期が3.204[d]ですので、1[Bq]のTe-132は、原子の数としては4.0E+05個となります。Te-132がすべて体内に取り込まれ、それが甲状腺内ですべて壊変すると仮定すると、1[Bq]のTe-132の体内摂取で甲状腺内に与えられるベータ線によるエネルギーは、約3.7E-08[J]となります。甲状腺の質量を10[g]と仮定すると、1[Bq]のTe-132の体内摂取で体内に4.0E+05 個存在することになるI-132の全ての壊変により甲状腺に与えられるベータ線による吸収線量は、4[µGy/Bq]程度と考えられます |
|
同様にI-131の場合だと、I-131は、半減期が8.02[d]ですので、1[Bq]のI-131は、原子の数としては1.0E+06個となります。I-131がすべて体内に取り込まれ、それが甲状腺内ですべて壊変すると仮定すると、1[Bq]のI-131の体内摂取で甲状腺内に与えられるベータ線によるエネルギーは、4.9E-08[J]となります。甲状腺の質量を10[g]と仮定すると、1[Bq]のI-131の体内摂取で甲状腺に与えられるベータ線による吸収線量は、5[µGy/Bq]程度と考えられますね |
ラフな方法で得られた結果とICRPの線量換算係数との比較
|
|
|
そのような推計結果を線量換算係数と比較してみてはいかがでしょうか |
|
Te-132を1Bq摂取した場合のI-132による甲状腺の線量とI-131を1Bq摂取した場合の甲状腺の線量を比較すると、全て体内に摂取され、そ れぞれの放射性ヨウ素が全て甲状腺に集積した場合には、I-131による線量が2割程度高くなるということですね |
|
消化管吸収割合はヨウ素は1に対して、テルルは0.3が与えられているので、そこそこ合っているような気もする |
I-131とI-132の壊変時に放出するエネルギーの違いが考慮されているのか?
|
|
|
推計結果を線量換算係数と比較すると、経口の預託等価線量係数(成人)は甲状腺に対して、I-131が4.3E-07[Sv/Bq] 、Te-132が3.1E-08[Sv/Bq] なので、I-131とTe-132の違いは単位Bqあたりで13.9倍で全ての壊変が甲状腺内でおこると仮定すると1壊変あたりで5.5倍になります。一 方、Te-132の消化管吸収割合0.3を考慮すると3.3倍で、それにI-132のβ線のエネルギーがI-131のベータ線のエネルギーの2倍であることを考慮すれば1.6倍になるはずです。5.5倍と1.6倍の差は、動態モデルの違いなのでしょうか?γ線のエネルギー差はどうなっているのでしょう? |
|
この推計からは、Te-132が壊変してできるI-132の壊変が甲状腺内で起きる確率は、I-131に比べると1/3程度になりそうです。体内に吸収さ れたTe-132の行き先は、膀胱に排泄されるか、他の臓器に移行するか、梁骨と皮質骨の表面にそれぞれ移行するか、腎臓に移行するか、 Upper large intestine内の内容物、甲状腺に移行するかになっているようです |
IとTeの代謝の違いは考慮されているのか
|
|
|
β線のエネルギーの違いが考慮されているのなら、Te-132/I-132の壊変が甲状腺内で起きる確率がI-131に比べると1/3程度、考慮 されてないとすれば1/6ということになりますね。I-132はそれだけしか甲状腺に到達しないと考えられているのだと思いますが、到達しなかったI-132は血液中か膀胱で崩壊してI-131の6倍のγ線が体のどこかを通るのではないでしょうか?1日に何回もトイレに行くわけではないので、半減期の長い核種より体内で崩壊する確率が高いと思うのですが… |
|
甲状腺に到達しなかったI-132は、Te-132として取り込まれた臓器内か、血液中か、膀胱か、それ以外の体内か、体外かで壊変することになります。 血液中に出てきたI-132は、甲状腺に取り込まれるか膀胱に行くというモデルになっています。線源臓器としての血液は想定されていません(追記:明示的には想定されていないという意味です)。膀胱内で壊変した場合に1MeVの光子が甲状腺でエネルギーを失う割合は、10歳だと 1.7E-6となっています |
移行コンパートメントは線源臓器にならない?
まとめ
ここでの疑問点
- 1990年勧告の線量係数の評価における移行コンパートメントでの壊変によるエネルギー放出が無視されている部分があるのではないか
その疑問点をもたらしたと思われるもの
- 1990年勧告の線量係数に使われた光子SAFデータには、移行コンパートメント(血液)が線源となるデータがないのは、そのとおりでしょう。
実際はどう扱われているのか?
- しかし、移行コンパートメントにおける壊変数は、Body_Tis(全身コンパートメント)における壊変数と合算しています。
- つまり、「移行コンパートメントでの壊変によるエネルギー放出」は無視されていません。
- 短半減期核種であってもそうでなくても、血液における壊変は、すべて線量に加算されています。
|
|
|
血管内でのI-132などの壊変に由来した線量の寄与を考えてみられるとよいかもしれません |
|
血中のI-131の半分が甲状腺に蓄積され、半分が尿から排泄されるとすると、ICRPの係数からするとTe-132/I132は半分の1/3が 甲状腺に蓄積され、残りが尿から排泄されますね。どちらも1Bqあるとすると、原子数はI131は50万が甲状腺、尿から排出が50万、Te-132/I-132は6万が甲状腺、尿から排出が34万です。I-131は大半が壊変前に排出されますが、Te-132が壊変してできたI-132は、40万回壊変のうち、体内でTe-132からI-132に壊変した分については大部分が体内(ほとんどが血中か膀胱内の尿中で)で崩壊するはずです。γ線のエネルギーはI-131に比べるとI-132では6倍ですので、I-131換算では200万壊変分のうちTe-132のまま体外に排出された分を除いたものに相当するγ線エネルギーが体のどこかを通ることになります。これをノーカウントにしてしまっていいのでしょうか? |
|
壊変場所がどこであるかは線量推計では重要だと思う。1990年勧告で使われたモデルでは、血液は線源臓器として明示的には示されていませんが、膀胱内は線源臓器として想定されています。1BqのI-131は100万回壊変を意味し、1BqのTe-132はI-132としても40万壊変を意味します。この40万壊変で1壊変あたり放出さ れるエネルギーが大きくなることの考慮と、その壊変が体内で起きるかどうかの吟味(Te-132のまま体外に排出されるとI-132からのエネル ギーが与えられないことになる)がポイントになるのではないかしら |
|
体内で壊変した核種からのガンマ線がどこでエネルギーを失うかは、モンテカルロ計算ツールを使って実験してみるとよいのではないかしら |
|
ICRPの動態モデルでは、Te-132: 1Bq は何BqのI-132になるとして計算しているのでしょうか? |
|
Te-132のうち、線量評価で考慮しているI-132は、Te-132だったときに体外に排出されていない(この分は、Te-132による線量としても 考慮されていない)、I-132になった後で体外に排出されていないではないでしょうか |
|
コンパートメントモデルが、各コンパートメントでの滞在時間と崩壊数&エネルギーから計算しているということは、飲み込めてきました |
|
理解が進んでよかったです。次に吟味するのは、そのモデルで使っているパラメータ(母数)の妥当性ですね |
|
こちらの「母数」は用語の使い方が適切ではないと思う |
|
HATMの口腔と食道は物質の通過が早く、血中の放射能からの線量がメインとなるため、この仮定は妥当である という表現もあるので、血液が線源臓器として設定されていることもあり得るように思う。全身の血液を線源臓器として設定することを議論している論文もありました |
|
同様の論文もありました。血液を線源臓器としてS値を計算する場合に精度を上げるには、全身での血液分布設定の精度をよくする必要があるのかもしれません |
通過コンパートメントは線源臓器としても扱われています
|
|
|
ICRP Publ.30の段階でも通過コンパートメントは線源臓器としても扱われています。ただし、体内での血液分布の不均一性は考慮されていません |
通過コンパートメントを線源臓器として扱っていることの記述
臓器内での壊変数
|
|
|
JAEAの解説 には「光子の場合の線源器官から標的器官への放射線の吸収割合は、数学的ファントムを用いて、モンテカルロ法により求められる。」とありますので、各標的器官に線源器官から飛んでくるγ線やβ線の線量を計算するということでしょうか |
|
理屈はそうだと思う |
|
ICRP Publ.30では寄与が1%以上の線源臓器のみが示されていましたので、それ未満の寄与の臓器からの線量は自分で計算する必要があったようです |
|
ICRP Publ.30の3.3.3で解説されている、その器官での変換数+通過コンパートメントの変換の一部、というのはそれとは別に計算するのでしょうか? |
|
線源臓器への壊変数は、臓器の細胞内での壊変数と臓器内を循環する血流中での壊変数から成り立つと言うことではないかしら |
DCALでの線源臓器としての血液の扱い
|
|
|
DCALではBloodが線源になっているそうです。マニュアルにも明示されています |
|
|
|
個別の「血管」が線源臓器として、それぞれ設定されていないけれども、血液が、「身体のすべて器官または組織に均等に分布する」ということですね |
ICRP 110での線源臓器としての血液の扱い
|
|
|
ICRP 110ではBloodも線源になっていると小児科医の方に教わりました |
|
|
|
物理ファントムがより精緻になって、体内の分布も考慮しようという試みですね。放射線治療は小児科領域でもさらに進歩しつつあるので、勉強熱心に小児科医 の方にセンスよく考えてもらえるのは心強いですね |
|
外部被ばく線量の評価を考えると姿勢も重要な気がする |
各臓器の組成や密度
|
|
|
臓器の位置だけではなく、組成や材質?(筋肉とやわらかい組織の違いなど)も考慮されているのでしょうか? |
|
計算の質もよると思うけど、元素組成や密度は自由に設定できるはずです |
|
筋肉と軟組織で、これらの設定を変えているかどうかは、計算方法の記述で確認できると思います |
|
ボクセルファントムでは材質も考慮しているようですね(TableA-2 List of materials, their elemental compositions(percentage by mass) and densitiesofJM-103) |
|
ボクセルファントムでなくても材質は一定程度考慮します(何かを仮定しないと計算できないので)。 |
|
それぞれ違うかどうかに興味があるみたいです… |
ICRP 89での線源臓器としての血液の扱い
|
|
|
ICRP110のBloodの節によると ICRP89では血液は各臓器のelemental tissueの一部として扱われているようです。現在の係数はこれに基づいているということでしょうか |
|
|
|
血液の不均一分布を考慮しようという発想に基づいた方法ですね。日本の法令は2014年10月現在、ICRP 60に基づいていますので、2014年10月現在の法令の係数はこれに基づいてはいないと思います |
|
血液が豊富な臓器だと2014年10月現在の法令の係数では過小評価していそう… |
線源臓器としての Body_tisの扱い
速度定数は元素で与えられていますが、同じ元素でも半減期が短い核種は移行できないのでは?
|
|
|
血液が線源になっているとしても、I-132もI-131も同じ動態モデルを使っています。血液からは甲状腺が30%、排泄70%になっていますが、たとえば半減期25分のI-128は70%体外に排泄される前に壊変するものが多いと思います。動態モデルの計算式ではその点は考慮されているのでしょうか |
|
速度定数は、同位体には依存せず、元素に依存し、その時に線源臓器内にある放射性物質の内、どの割合が、別の臓器に移行するかを示しています。例えば、ヨウ素の血液からの移行は、INDESで採用されている新動態モデルでは、年齢に依存せず、甲状腺へは0.83178[d-1]、膀胱へは1.9408[d-1]で移行します |
|
血液から移行するものは、膀胱に75%、甲状腺に25%移行するということで、同位体によって血液から移行するものの割合が異なるのですね。血液中でTe-132からI-132に壊変してもI-132が甲状腺に摂取されるまで時間がかかるのではないでしょうか |
|
他のコンパートメントへの移行で考えると移行するもののうち甲状腺へは25%が移行しますが、血液内での壊変速度がより早いので、甲状腺に移行する成分はより小さくなります。相対的な速度で考えると甲状腺への移行スピードが遅いということになるのかもしれませんが、放射性ヨウ素がどれだけ甲状腺に移行するかはそれぞれの同位体の物理的な半減期にも影響を受けることになります |
速度定数は、同位体に依存しなくてよいのか?
|
|
|
「速度定数は、同位体に依存」しなくてよいのでしょうか?1999年の放医研報告書の評価モデルの解説は見つけたのですが、P6-7の計算式の意味が理解できません |
|
|
|
P6の図では、半減期25分のI-128も70%膀胱から排泄されるように見えますが、70%のうち多くは通過コンパートメントで崩壊してXe- 128として膀胱に到達すると思われます。この行列で計算すると、同位体の半減期に応じて通過コンパートメントと甲状腺、膀胱、その他臓器の壊変数を正しく計算できるのでしょうか? |
|
速度定数は、その時に線源臓器内にある放射性物質の内、どの割合が、別の臓器に移行するかを示しているという説明だと理解できませんか? |
|
「通過コンパートメント」の中での壊変の扱いの疑念であれば、極端な例で比べてみるのはどうかしら?半減期の違いが大きい同位体間で消化管の壁への線量を比べてみるとよいと思う |
|
半減期が3.78[y]のTl-204と4.200[m]のTl-206で比べてみます。ベータ線のエネルギーはTl-206の方が倍程度高いです |
半減期が3.78[y]のTl-204の経口摂取時の消化管の壁への線量
半減期が4.200[m]のTl-206の経口摂取時の消化管の壁への線量
|
|
|
胃壁と大腸下部壁の線量係数の比の違いが、消化管内で壊変する割合に影響を受けていると言うことですね |
放射性医薬品の添付文書と比較してみた
|
|
|
腎臓での処理速度や再吸収率によると思いますが、放射性医薬品の解説の薬物動態の部分を読むと、I-131の尿中への排泄は「24時間で投与量の22.3~74.3%」、I-123 は「4時間後までに投与量の30~40%、24時間後では平均で66%が尿中に移行した」となっています |
|
I-131を血管内投与した場合の各臓器の等価線量とは少なくない違いがあるので、放射性医薬品のような特殊な化学形の場合とは単純に体内挙動が比較できないように思いますが、24時間までで半分程度が尿中に排泄されると考えてもよさそうです |
|
安定ヨウ素剤として使われるヨウ化カリウムの薬物動態も「投与後24時間以内に65%~80%が尿中にあらわれる」とありました。放射性ヨウ化ナトリウムは「正常の甲状腺は24時間後20~30%を摂取し、残部は尿中に排泄」です。微量のヨウ素でも摂取率が同じなのであれば、I-131のほうがはるかに排泄される量が多いように思いますが... |
|
「はるかに」の定義と、甲状腺への線量を安全側に推計するかそうでないかのアプローチにもよるのではないでしょうか |
|
|
体内で壊変する時間的な余裕があるか?
|
|
|
成人の血液量が4.5L程度、膀胱の容量が500ml程度。I-132は数時間内に崩壊することを考えれば、7-8割が血液中で崩壊するかもしれ ません。体内動態モデルはI-131もI-132も同じではないでしょうか? |
|
単位時間毎の体内や臓器の残留量から、どこでエネルギーを失うかが評価できそうです。I-131とI-132では、体内動態モデルのパラメータは同じですが、その系に入ってくるときの条件が異なっています。「成人の血液量が4.5L程度、膀胱の容量が500ml程度」は何を検討しようとしていますか? |
|
|
消化管内での壊変は?
体内への残りやすさの違いは?
|
|
|
I-132の崩壊は血管内と膀胱内が半々くらいでしょうか?いずれにせよ大半が体内で崩壊すると思います。Occupational Intakes of Radionuclides Part 3のドラフトでは、Teのボランティアへの経口投与実験で「The three-day urinary excretion varied between 3 and 25%」という1991年の論文が載っています。Te-132のほうがI-131より排出が遅いのではありませんか? |
|
全身の残存量で 比較するのはいかがでしょうか |
移行率とは?
|
|
|
移行率の1/dはどういう意味でしょうか? |
|
速度定数ではないでしょうか |
|
移行速度定数とはたとえばblood→UB content は1/1.94で、約12時間で移行するという意味でしょうか。 |
Teの娘核種の体内動態図
出典:原子炉事故時放射線影響解析で用いるための内部被曝線量係数」 日本原子力研究所
|
|
|
教科書を読んでみると、移行速度定数は1/1.94[d-1]ではなく 1.94[d-1]ですね。半減期は、0.36日になるので、12時間だと62%が初期にあった血液中から膀胱に移行ですね |
|
速度定数1.94[d-1]と移行する割合の%の関係がよくわかりません |
|
評価時間内に移行する確率だと考えると、一日で1.94移行すると言うことは、一秒間あたり、2.24E-05移行することになると思う。移行ではなく、 壊変だと考えると半減期0.357日の放射性物質と同じですね |
|
そもそも1/dという概念が理解できません..... |
|
薬学部の学生さんだと誰もが理解なさっていると思います。壊変定数の概念はつかめましたか? |
|
0.693÷半減期と覚えただけです。速度定数は、コンパートメント間の移行の速度を濃度が半分になる時間で表しているということでしょうか? |
|
速度定数が1.94 [d-1]ということは、毎秒あたりだ2.245E-05 [s-1]となるので、一秒間あたり2.245E-05の割合が、その速度定数で示されるコンパートメントに移行するということですね |
|
速度定数= 0.693÷半減期を使うと半減期はどうなりますか? |
|
間違えました。「速度定数は、コンパートメント間の移行の速度をBq数が半分になる時間で表しているということでしょうか? |
|
Bq数は、単位時間あたりの核種の壊変による変化数で、速度定数は、単位時間あたりのコンパートメント間の移行による変化数ですね |
|
|
|
移行の速度が分画毎に違う場合にも対応したソフトウエアの例です |
Teの体内動態図
OLINDAでの体内動態の設定
|
|
|
『transfer rateが1/1.94(単位は?)で、約12時間で移行する(どれだけの割合が?)』とは、どのように考えたのですか? |
|
単位が逆数というのがわからないので割ってみただけですが、この定数をどのような式に入れるのでしょうか? |
|
移動速度が濃度に比例するというモデルでこの比例定数にあたります |
|
能動輸送か受動輸送によっても違うのですよね? |
|
受動輸送を再現する場合には、コンパートメント間の濃度の違いが速度に影響を与えるモデルとする必要があるでしょう |
移行率と消失半減期の違いは?
|
|
|
JAEAの資料の体内動態図には臓器に移行する割合%と、half dayで記載されているものもありますが、同じことでしょうか |
|
教科書を読んでみると、移行率と半減期は、同じ情報を持つものだと思う |
|
放射性同位体だと壊変定数と半減期の関係と同じですね |
|
|
IとTeの腎臓からの移行の違いは?
|
|
|
内部被曝線量評価システムのTe-132とI-131のKidneyからの移行率はどうなっているでしょうか? |
|
テルルはそこから排泄されるのに対して、ヨウ素は血中に戻ってくるというモデルになっているようです |
Teの腎臓からの移行
Iの腎臓からの移行
やはり気になる血管内での壊変の扱い
|
|
|
I-132の崩壊は血管内と膀胱内で半々程度と考えてよいのではないでしょうか |
|
Te-132摂取時にI-132が体内で崩壊する確率はI-131摂取時にI-131が体内で崩壊する確率よりも大きく、血管内での崩壊も無視できないと思います。末梢血中の血球細胞へのエネルギー付与はリスクを考える上では無視してもよいのかもしれませんが、毛細血管では血管壁細胞や血管壁周囲の細胞核へのβ線によるエネルギー付与も問題となるのではないでしょうか |
|
半径3mmの血管内でI-131が壊変したことを想定した場合の、血管内皮細胞の吸収線量推計例です。長さは5cmで計算しています |
半径3mmの血管内でI-131が壊変したことを想定した場合の血管内皮細胞の吸収線量推計例
電子の飛跡
光子の飛跡
|
|
|
移行コンパートメントでの壊変割合が多い場合は、血管壁細胞へのエネルギー付与の検討の重要性が相対的に増すのではないか?という疑問は、その通りではないでしょうか |
|
きちんと評価してくれないと納得できない気分です… |
移行コンパートメントでの壊変によるエネルギー付与も議論されている例
Compartmental Model for 223Ra-Dichloride in Patients With Metastatic Bone Disease From Castration-Resistant Prostate Cancer
初期には空間線量率への寄与が大きかったTe-132
|
|
|
甲状腺への吸収線量へのTe-132の寄与を考えるには、吸い込んだり食べたりしたTe-132の比、 f1の比、体外排泄される比、甲状腺に取り込まれる比などを考えれば良さそうね |
|
事故時での空間線量率の寄与ではTe-132によるものが大きく、無視できない気がする。空間線量に7割寄与するTe-132が吸入だと数%なんだ? という素朴な疑問を誰か解決して欲しい… |
|
疑問を持つことは大事なことで学習の重要なモチベーションになると思う。頑張って勉強したら疑問は解決するのではないかしら |
|
知識を増やすと解決する疑問は対応が楽ですね…。では、引き続き考えていきましょう。Te-132は光子のエネルギーがより高くて、空間線量率には寄与しやすいはずです。炉内での存在量だとTe-132の原子の数は、I-131に比べて2割程度はありそうですね。吸収線量にどのような要因が影響を与えるかを定量的に考えるとよいのではないかしら |
|
セシウムでの体内代謝を調べている古い例がありますが、このような データが東電福島第一原子力発電所事故での経験を経て、より質のよいデータに置き換わっていくとよさそうです |
|
NCRP Report 80を読んでみましたが、記述はこれだけでした |
|
|
|
元に戻ってしまいますが、外部被曝や内部被曝でも同じような寄与割合になりそうなものです。I-131は甲状腺に蓄積しますが、チョルノービリ帰国者や初期に福島で活動された方のデータからみて、Te-132が肺などに滞留する量&時間はI-131より多いはずです。崩壊数は 1/2.5ですが、I-132はβ線は2倍、γ線は6倍、体内で崩壊する分が多いことなどを考えれば、全身での被曝量はI-131を上回りそうなものでは? |
|
預託実効線量係数は、adult member of the publicで、 Inhalation of particulate aerosol: AMAD = 0.001 micron, absorption Type M, f1 = 0.1で比較すると、 Te-132: 5.2E-09[Sv/Bq]に対して、 I-131:6.4E-09[Sv/Bq]となっています |
|
|
|
「チョルノービリ帰国者や初期に福島で活動された方のデータからみて、Te-132が肺などに滞留する量&時間はI-131より多いはず」と言うことであれば、データを提示して、Human Respiratory Tract Modelの見直しを提案されるとよいのではないでしょうか |
|
|
体内に取り込まれたTe-132から壊変してできるI-132による内部被ばくは?
|
|
|
シミュレーション実験してみるとよいのではないかしら |
|
計算コードの使い方が知りたいのではなく、その元となっているICRPの動態や代謝モデルが合っているのかを知りたいのですが...。ICRP 2007 年勧告の組織加重係数等に基づく内部被ばく線量係数、濃度限度等の試算(受託研究)はわかりやすくて参考になります |
|
ICRPの動態や代謝モデルが合っているかどうかは、実験的に検証するしかないように思いますが、それがどのようなものであるかは、シミュレーション実験 で試すのが手軽でよいと思う |
|
では、Te-132の線量換算係数をTe-132から壊変してできるI-132による線量も考慮しているとされますが、ここで、ヨウ素として体内の代謝モデルは、どの程度結果に影響を与えていますか? |
|
Te-132から壊変してできたI-132が、ヨウ素としての特性考慮した代謝モデルに従う場合と親核種と同じ挙動と仮定した場合での結果を比較してみるとよさそうです |
|
では、ヨウ素としての特性考慮した代謝モデルに従う場合でTe-132の線量換算係数を考えてみましょう。「娘核種の代謝モデル」を「娘核種毎に異なる」とした場合で内部被ばく線量評価コード(INDES ver.4.1)を用いて計算してみます |
「原子力発電施設等内部被ばく評価技術調査」により旧日本原子力研究所が開発・整備した内部被ばく線量評価コードである内部 被ばく線量評価コード(INDES ver.4.1)を用いた検討例
代謝モデルのパラメータは?
|
|
|
10歳を選んで、他はデフォルト設定で計算してみます |
パラメータf1の設定
|
|
|
代謝モデルのパラメータはどうなっていますか? |
|
f1は、こうなっています |
Teの血液中から他の臓器への移行率
|
|
|
血液から他の臓器への移行は、こうなっています |
Teの臓器からの移行率例
|
|
|
臓器に取り込まれた後、どうなるかが気になります |
|
甲状腺からと他の臓器からの移行は、こうなっています |
Teの甲状腺からの移行率
Teの他の臓器からの移行率
Iの臓器からの移行率の例
|
|
|
ヨウ素としては血液から甲状腺への移行はどの程度あるのですか? |
|
こうなっています |
ヨウ素としての代謝特性を考慮した場合
|
|
|
そのまま排泄に至ってしまうモデルであるようなので過小評価しないか心配… |
|
そこは吟味のポイントになりそうですね |
|
線量換算係数の計算の結果はこうなりました |
|
|
|
type Mの吸入曝露での預託甲状腺等価線量は1.1E-08[Sv/Bq]で預託実効線量は4.0E-09[Sv/Bq]となっています |
ヨウ素としての代謝特性を考慮しない場合
|
|
|
ヨウ素としての代謝モデルを使わない場合はどうなりますか? |
|
|
|
type Mだと吸入曝露での預託甲状腺等価線量は5.9E-10[Sv/Bq]で預託実効線量は3.5E-09[Sv/Bq]となっています |
|
Te-132から壊変してできるI-132は、ヨウ素としての代謝特性を考慮しないと甲状腺への線量を過小評価しそうです |
INDESでの計算結果は、ICRPによる線量換算係数とほぼ同じ
|
|
|
内部被曝線量評価システムで出していただいた10歳児のTe-132(I-132を考慮した場合)の吸入曝露での預託甲状腺等価線量換算係数は、 Type Mを仮定した場合に、1.1E-08[Sv/Bq]とあるようですが、ICRP Database of dose coefficientsでは成人の場合に 4.3E-09[Sv/Bq]になっています。内部被曝線量評価システムでは成人の場合の預託甲状腺等価線量はどうなりますか? |
|
|
|
内部被曝線量評価システムでは成人の場合の預託甲状腺等価線量換算係数は、デフォルト設定で4.3E-09[Sv/Bq]なので全く変わりがないようです |
条件の設定方法でどの程度線量が変化しうるか?
|
|
|
計算の条件は変えられるのですか? |
粒子のサイズやサイズの分布を変えた場合
|
|
|
粒子の吸入の場合には、粒子のサイズやサイズの分布を変えることができます。デフォルトは対数正規分布ですが、サイズを1μmに固定してみました |
|
|
|
結果はどの程度変わりますか? |
|
こうなりました |
|
|
|
それぞれのパラメータが結果にどの程度影響を与えるかが推定できますね |
|
呼吸の状態も変化させることができます。JAEAの[リポート](http://jolissrch-inter.tokai- sc.jaea.go.jp/pdfdata/JAEA-Data-Code-2010-020.pdf)では、DCALを使っています |
|
|
|
Te-132の呼吸気道での線量換算係数を見ると、ET1(前鼻道)が高いのですが、鼻道で崩壊したI-132は吸収されないのでしょうか。 |
|
ET1からのクリアランスでは、環境への排出のみが想定され、胃腸管への粒子輸送、リンパ組織への粒子輸送、血中への吸収は想定されていないようです |
|
|
|
環境への排出の速度定数は1[d-1](=半減期17時間)となっているようです。この時間を変化させて 線量の変化を観察することもできます |
呼吸気道コンパートメントモデル速度定数
|
|
|
その他、ET1とは直接関係しませんが、パラメータを変えることのできる例です |
呼吸習慣と鼻腔経由流量割合
クリアランス速度に関する影響因子
呼吸気道血液吸収パラメータ
|
|
|
ET1からの吸収経路が見あたりませんが、Te-132/I-132粒子などがET1領域でも粘膜から吸収されて血管に入るのではないか、血管の線量は考慮しなくていいのか、皮膚より粘膜のほうが吸収しやすそうだが鼻血の原因にならないのかなど疑問が尽きません… |
|
鼻腔からの物質の吸入は、経鼻吸収製剤の研究成果などが活用できるのではないかと考えてしまいます… |
鼻出血の検討例
質問主意書
第186回国会 175 「美味しんぼ」問題についての閣僚発言に関する質問主意書
環境省
参考(放射線被ばくと確定的影響の1つとされる疲労感、鼻血といった症状との関係について)
QST
Q.東京電力福島第一原子力発電所の事故当時に、放射性物質が鼻の粘膜に付着することで、鼻血がでることは考えられますか?
長崎大学
放射線被ばくで鼻血は出るのか
福島民報
放射線 放射性物質 Q&A 鼻血は被ばくが原因か
SMC
鼻血がでる原因から、考えられる放射線の影響による鼻血のメカニズムまで
日本耳鼻咽喉科学会 専門医講習会
岡野 光博, プレナリーセッション: 放射線被曝を学ぶ, 日本耳鼻咽喉科学会会報, 2013, 116 巻, 10 号, p. 1159-1162
宇部市医師会耳鼻科医会
鼻血について
|
|
|
消化管モデルは計算できるようになったので吸入も計算しようと思うのですが、Te-132とI-131の肺から血液への吸収率はどうすればいいでしょうか?日本保健物理学会「ICRP pub.66 新呼吸気道モデル」P.47の解説とP.53表6-2によると、Initial dissolution, Transformation,Final dissolutionに分かれているのですが、どのように区別するのかがわかりません。時間は決まっているのでしょうか? |
|
日本保健物理学会のICRP Publication 66 新呼吸気道モデル概要と解説では、表6-2(P.53)(同様のもの(変換率はこちらにあります)が表8-9(P.85)にも掲載)に粒子状物質のデフォルト吸収パラメータが掲載されています。コンパートメントモデルは図10-1(P.99)に示されています |
沈着量分配割合
ICRP Publ.30での子孫核種の扱い
|
|
|
ご紹介ありがとうございます。DCALのマニュアルに子孫核種の扱いについて詳しい説明がのっていました.....がよくわかりません。コンパー トメントごとに崩壊系列の全核種の壊変数をカウントしているようですが、P.58 9.1に、ICRP30では「Iodine as a daughter of tellurium was assumed to be translocated instantaneously to the transfer compartment in inorganic form and then to follow the same kinetics as iodine introduced into blood as a parent radionuclide」とあります。これは肺や小腸で生じたI-132はすぐ血中に移行すると想定しているといことでしょうか? |
|
テルルから、壊変したヨウ素は有機形ではない化学形でヨウ素と同じ挙動(あたかも、親核種としてのヨウ素のように)で血中に移行すると記述されています。線量推計は多くのパーツから構成されていて、呼吸器モデルを論じているICRP Publ.66では、子孫核種の扱いは取り上げられていません |
|
ICRP Publ.30での扱いです |
ガスの場合の吸収
線源臓器と標的臓器
まとめ
ここでの疑問点
- 人体モデルが「すかすか」で対象臓器が十分に設定されておらず、対象臓器ではないにもかかわらず本当は重要な臓器へのエネルギー付与が無視されているのではないか。
その疑問点をもたらしたと思われるもの
- MIRD型ファントムが「すかすか」なのは、そのとおりでしょう。
- 当時のルールで実効線量を算出するために必要な臓器さえあればよい、というスタンスで開発されたと考えられます。
心臓の扱いは?
- 基本勧告が作成された時点の知見が反映されているため、1990年勧告時点で心臓が含まれていなかったのは、当時の判断だったと考えられます。
心臓を対象臓器しないことによる実効線量評価への影響は?
- 心臓を含めたとして、実効線量については、単純に心臓の線量が加算されるわけではなく、その分、他の臓器の線量の割当て
(wT)が減ります。
- このため、心臓を対象臓器しないために実効線量自体を不当に過小評価していたことにはならないと考えられます。
心臓の線量は評価できる?
- 1990年勧告の線量係数の評価に実際に使用された計算コードDCALで、心臓の吸収線量が計算できます。
- このため、心臓を対象臓器としない場合の比較の検証は可能です。
心臓の等価線量を評価しないのは何故?
|
|
|
少なくとも、ICRPの2007年勧告では心臓も残りの組織に追加されています。 |
|
ICRP Publ.30でも心臓は標的臓器とされているのだから、等価線量も求めるべきではないでしょうか |
Body_TisやOtherが標的臓器として考慮されていないのではないかとの疑念
|
|
|
この表からはBody_TisやOtherが標的臓器として考慮されていないことは明らかだと思います |
冠動脈も線源臓器になるのでは
|
|
|
Heart_wallも冠動脈も、計算すらされていません。 |
|
Heart_wallもターゲットとされています |
|
SAFは計算されていても現在の係数には反映されていないと思います。冠動脈は線源になっていません。 |
|
Heart_wallも線源臓器とした場合としない場合で比較できます |
|
標的臓器の設定が不適切で線量を過小評価しているのではないかという疑問は、こちらにまとめています。 |
クリアランス特性が核種にも依存するのではないかとの疑念
|
|
|
上皮と、速い移行成分、遅い移行成分の速度定数はどの核種も同じということでしょうか。そもそも上皮と、速い移行成分、遅い移行成分はどういう基 準でどのように分けているのでしょうか?水溶性の粒子と難溶性の粒子とでは速度が異なりそうですが.. |
|
デフォルトがどうなっているかは確認することができます |
type Fのクリアランス
type Sのクリアランス
type Fの血管への吸収
type Sのクリアランス
組織加重係数が正しくないのではないかとの疑念
|
|
|
組織加重係数を変えて線量を推計できますか? |
|
できます |
組織加重係数の任意設定
デトリメントが正しくないのではないかとの疑念
|
|
|
デトリメントを変えて線量を推計できますか? |
|
できます |
組織加重係数の任意設定
同じ平均吸収線量でも臓器の質量が異なるとリスクが異なるのではないかとの疑念
|
|
|
臓器の質量が異なると同じ平均組織吸収線量でも臓器内のイベント発生数が異なると思います。臓器の質量は変化させることができますか? |
|
できます |
線源臓器の質量の任意設定
やはりどうしても気になる通過コンパートメントでの壊変
|
|
|
体内に取り込まれたTe-132から生成されるI-132は、半減期0.25日の通過コンパートメント内でほとんどが崩壊するはずです |
|
I-132の物理学的半減期は2.3hなので、通過コンパートメントの実効半減期は1.8h程度となりそうです。ここでの「ほとんど」は何%程度ですか? |
|
私は割り算しかできないので、半減期3回、血管内で6時間循環してから膀胱に移行するとすれば、血中で崩壊するのは10,000のうち8,750 です |
|
かけ算と引き算を繰り返すと計算できるはずです |
|
総壊変数だと血中で崩壊するものの割合は72%程度になりそうです |
|
血管から移行の半減期を0.25日とするとI-132の物理的半減期が2.295時間なので、壊変定数の比では、28:72になることからの推測ですね |
半減期
I-132の物理的半減期は2.3時間であり、血中での生物学的半減期を6時間だとすると実効半減期は1.7時間程度となります。
総壊変数
- I-
123132の総壊変数は最初に存在していた放射能量の大きさに比べて2万71万2千倍となる数
- このうち血中での総壊変数は最初に存在していた放射能量の大きさに比べて
1万48千6百倍となる数
通過コンパートメントで壊変しないもののうち、甲状腺に移行して壊変するもの
|
|
|
「総壊変数だと血中で崩壊するものの割合は72%程度になりそうです」だと残りの28%は甲状腺に行くことになるでしょうか? |
|
血中で崩壊しないもののうち、7割は尿中排泄で3割が甲状腺なので、甲状腺に移行したものが甲状腺に留まり続ける として、8.4%が甲状腺で崩壊するのではないかしら |
|
I-131の通過コンパートメントからの移行先の3割が甲状腺で、Te/I-132のうち体内に取り込まれたものの、甲状腺内での壊変が8.4%だとすると、I-131とTe/I-132の総崩壊数2500:1000の時に甲状腺崩壊分は750:84となり、I-131が8.9倍になると 思います。甲状腺への線量換算係数はI-131で1.0micro meterの粒子でTypeM、f1=1.0の場合に2.00E-08[Sv/Bq]でTe-132が1.0micro meterで TypeM、f1=0.1の場合に4.30E-09[Sv/Bq]で、I-131ではI-132に比べると4.7倍となりますが、I-132の方がI-131に比べて、γ線6倍、β線2倍のエネルギーの差は考慮されているのでしょうか? |
|
通過コンパートメントでの生物学的な半減期を6時間とするとI-131の実効半減期は5.8時間で血管内での壊変割合は3%で、血管内で壊変しないもののうち甲状腺に移行する分の壊変数は29%で、甲状腺での生物学的半減期を80日とすると、このうち91%が甲状腺内で壊変すると考えられることから、体内に取り込まれたI-131とTe/I-132のモル数が2500:1000の場合には、I-131が7.9倍になりそうです |
|
甲状腺内での1壊変あたりに甲状腺内で与えられるガンマ線のエネルギーは、I-132の方が4倍程度高くなりそうですので、体内に摂取した放射能あたりで 考えると、甲状腺内での総壊変数あたりに甲状腺内で与えられるガンマ線のエネルギーはTe-132だとI-131の半分程度になりそうです |
|
ベータ線は一壊変あたりの放出エネルギーはI-132ではI-131の倍程度ですが、体内に摂取された単位放射能あたりの甲状腺内の総壊変数がI-132ではI-131に比べて1/8倍なので、体内に摂取された単位放射能あたりのI-132での甲状腺への付与エネルギーはI-131のそれと比べると1/4程度になります。I-131では甲状腺へのエネルギー付与では、ベータ線の寄与が0.9程度になりそうです |
|
甲状腺での崩壊数はI-131がI-132に比べると7.9倍、エネルギーは1/4で、合わせると約2倍になりますが、TypeMの係数を比較す ると4.7倍なので、I-131の寄与がこの推計に比べると若干高め、ということになりそうです。2倍の差はどこからきているのでしょう。肺で崩壊しているのでしょうか? |
|
肺で崩壊するか、肺以外で通過コンパートコメントに移行せずにクリアランスされて崩壊していることが考えられるのではないでしょうか |
甲状腺で壊変したI-131からの光子の飛跡
甲状腺で壊変したI-131からの電子の飛跡
通過コンパートメントでの壊変部位とリンパ節へのエネルギー付与
|
|
|
平均的成人日本人男性ファントムを用いた光子及び電子比吸収割合の評価のTable C-4に、血管の位置別に血液中の線源の発生確率が載っていました。 |
|
この研究では、リンパ節の比吸収割合も計算されていますね |
|
body tissueも線源になっているのですが、全身→標的臓器への線量をどうやって計算しているのでしょう? 位置の決まっている臓器→臓器なら計算できると 思いますが… |
|
Table C-4 Source probability of blood source of JM-103の次がTable C-5 Source probability of total body tissues source of JM-103となっていて、本文中にも説明があります(10ページ) |
|
heart content の線源発生確率が 2.985E-07、lung leftが3.199E-08、lung rightが3.076E-08であることから、血液中の崩壊数を比較すると、心臓の内容物での崩壊数は肺の細胞外液での崩壊数の4.8倍になると思いま す(2.985-07 ÷ 6.275-08=4.75なので)。臓器(body tissue)の重量は、heart wall 388g、lung left 584g、lung right 630g なので、心臓の重量は肺の1/3となり、相対的に4.8倍の放射線が質量1/3の臓器を通過し、ベータ線は臓器内で全てエネルギーを失うと考えると心臓のほうが14倍影響を受けるということはないでしょうか? |
|
その計算だと心臓の内容物にエネルギーを与える分、心臓への線量が過大評価になるのでは… |
|
心臓を半径6cmの球として、筋肉を比重1.2g/cm3で厚みを1cmとし、肺を半径7cmの球とし、その比重を0.5g/cm3として、心臓腔内での壊変数を片方の肺の2.4倍とすると、放射性核種としてI-131を想定した場合、心臓の筋肉の吸収線量は、肺の吸収線量に比べて、光子によるものが3.3倍、電子によるものが2.3倍となりました。 |
|
心臓腔内での一壊変あたりだと心臓の筋肉に与えられるエネルギーは、肺での壊変による肺へのエネルギー付与の場合と比較して、光子では7.2倍、電子では 0.5倍となりそうです。 |
|
「一壊変あたりだと心臓の筋肉に与えられるエネルギーは、肺の場合と比較して、光子では7.2倍、電子では0.5倍」なのに、壊変数2.4倍だと 「心臓の筋肉の吸収線量は、肺の吸収線量に比べて、光子によるものが3.3倍、電子によるものが2.3倍」となるのはなぜでしょうか。 |
|
線量はそこに与えられたエネルギーだけではなく関心領域の質量にも依存します |
コンパートメントの種類と骨髄
|
|
|
セシウムの体内動態を考えた場合に骨髄はBody Tissue AなのかBなのかどちらなのでしょうか? |
|
臓器別に分けておらず、それぞれの臓器で早く移動する成分と長く残る成分を分けているのではないかしら |
出典:原子炉事故時放射線影響解析で用いるための内部被曝線量係数」 日本原子力研究所
放射線の挙動
|
|
|
線量を考える場合に、空気のほうが抵抗が少ないことも考慮した方がよいと思う |
|
抵抗というより、相互作用確率だと思う |
|
線量計算する際に、肺の空気を考慮したほうがいい、という議論をどこかで読みました |
|
線量計算する際に、それを考慮すべきなのに、肺の空気を考慮していないということでしょうか? |
|
ICRP110の組織53はAir inside bodyですが、それ以前はなかったのだと思います |
|
LungのTissue Densityはどうなっていますか? |
|
0.382 [g/cm3]ですね。スポンジのような?密度の薄い組織と、内部が空洞になっている場合とでは違うような気もしますが… |
|
何が違いそうかしら? |
|
空気を含んだ組織の場合と、内部が空洞の組織の場合に、放射線の飛び方がどう違うのかわかりません |
|
違うものは何かしら? |
|
エネルギーの吸収率は電子密度が問題だそうですので、内部が空洞の場合と組織自体が空気を含む場合とでは、密度が違うのではないでしょうか |
|
空気を含んだ組織の場合(密度が0.384 [g/cm3]の空気を含む水とし、幅を5cmとした)と、内部が空洞の組織の場合(1cmの間隔内に 0.384mmの水の層を含む(残りは空気))で放射線を飛ばしてみました |
空気を含んだ一様な組織の場合
吸収線量分布
エネルギー付与の分布
電子を介したエネルギー付与の分布
内部が空洞の組織の場合
吸収線量分布
エネルギー付与の分布
電子を介したエネルギー付与の分布
アニメーション
光子の飛跡(12nsecまで:No.200が12nsec)
心臓腔内で壊変したI-131からの電子の飛跡
心臓腔内で壊変したI-131からの光子の飛跡
それぞれ赤が電子で黒が光子。
疑念を振り返る
血液の量が少なく移行コンパートメントでの壊変が正しく扱われず、臓器への影響が過小評価されているのではないかとの疑念
まとめ
ここでの疑問点
- 血液量の設定が少なすぎるのではないか。
- Excelで計算したら血液全体の質量は、3.41kgでした。 足りないのは静脈ではないかと。血液量は全身の8%くらいのようですので、5kg はあるはずです。
静脈の血液量はCT画像データから算出しているために少なく評価され、全体は合わないことが現行モデルの限界となると考えられます。
各IDのパーツでの質量で血液の質量がどう扱われているか疑問を持たれておられるようです。
その疑問点をもたらしたと思われるもの
血液量の設定
Table B-1 List of source regions selected for calculation of specific absorbed fractions of JM-103 and their organ
ID numbers
Blood: 63-65, plus blood fraction of 2, 4, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 18-23,
25-28, 30, 32-36, 38, 40, 42-46, 48, 50, 52,
54, 56, 58, 60-62, 66, 72, 74, 76, 78, 80, 82, 88, 90, 94-96, 98, 100, 102,
104, 106, 120-126, 130-136,
140-146, 150-156, 160-166, 170-176, 180-186, 190-196, 200-206, 210-216,
220-226, 230-236, 240-246,
250-256, 260-266, 270-276, 280-286, 290-296, 300-306, 310-316.
- 63(大静脈内容物)、64(心臓内容物)、65(大動脈内容物)と、リストアップされている臓器内の血液が、標的臓器としての血液とされている。
- それ以外の血管内の血液が、血液の線源臓器には含まれていないことになる。
- 大静脈内容物への配分が1%にとどまりICRP Pub 89のTable 2.13(large veinの blood contentが18%でsmall veinsが41%)とも乖離がある。
JM-103・JF-103ではvena cavaとaortaの扱いは?
- JM-103・JF-103ではvena cavaとaortaをモデル化していますが、質量を合わせるところまでは調整していません(CTデータからの変換で細かいところまで作り込んでいない)。
- 何故なら、線量評価上影響がないからです。
JM-103・JF-103でのvena cavaとaorta以外の血管の扱いは?
- ボクセルファントムでは、ボクセルサイズの限界もあり、血管自体はほとんどモデル化されていません。
- JM-103、JF-103では、大動脈と大静脈のみで、この2つについては、血管とその内容物(血液)がモデル化されています。
- その他の血液は、組織・臓器毎に設定された血液含有率でもって体中に分布させ、SAFを計算しています。
各組織・臓器への血液の配分は?
- 日本人に対する、ICRP89のTable 2.13のようなデータはないので、日本人ファントムの血液の考え方は、ICRP110の組織ごとの血液含有量データ(添付CD-ROM中の「AM_blood.dat」)を用いています。
- 肝臓なら、質量の31.1%は血液とするように、全身の各組織・臓器に血液を配分させています。
血液中の核種の壊変場所の正確さを欠くのではないか?
- 血液中の核種の壊変場所の正確さを欠きますが、線量評価上は大きな問題をもたらさないと考えられます。
- 全身での血液の質量も線量評価に大きな影響を与えません。
血液から各臓器への線量を考えると…
血液から各臓器への線量を考えた場合、その臓器の線量は、その臓器に含まれる血液からの寄与が大部分を占めます。
したがって、血液に存在する放射性核種による各臓器への線量は、血液が全身の各臓器にどのように配分されているかが重要です。
また、血液コンパートメントにおける壊変数は血液の量の影響を受けませんので、血液の量自体は線量評価に影響を与えません。
Table C-4の計算
(4) 血液線源
血液は、心臓、大動脈及び大静脈の各内容物だけでなく、全身の各組織・臓器にある割合で含まれ る。しかし、成人日本人に対する組織・臓器毎の血液含有率を網羅的に示したデータは存在しない。 そこで、心臓、大動脈及び大静脈の各内容物は wi を 1 とし、全身の各組織・臓器については RCP-AM の組織別血液質量分率データ 9)を基に wi を与え、式(2-1)から式(2-3)により線源発生確率を計算し、線源を設定した。
より線量推計の質を上げるには?
- 単に血管内の内容量だけではなく、流速も考えて循環量を考慮する。
|
|
|
疑問は尽きないと思いますが、改めて何が懸念されるか整理してみませんか? |
|
血液の配分が臓器重量/全身重量となっているため、臓器への影響が過小評価されているのではないか、ということが疑問点です |
|
その疑問は、どのような論理ですか? |
|
ICRP89のデータでは、血液量は心臓、肺、肝臓、動静脈の血液だけで全体の53.5%ですが、4臓器合わせても重量は全身重量の5%未満です。血液を臓器の重量/全身重量で評価すると、大幅な過小評価になるのではないでしょうか? |
ICRP89の主な臓器の重量と血液量の割合を比較された結果
|
|
|
心臓には血液が多いはずなのに、臓器の重量/全身重量だと少なくなるので、心臓への線量が小さく評価されているのではないかとの懸念ですね |
|
血液をICRP30のように全身均等配分する場合と、ICRP89のデータに基づく配分ではどのくらいの差がでるかを計算してみるとよさそう… |
|
心臓の内容物はどう捉えていますか? |
|
|
大人と子供
Geomety条件の重要性
|
|
|
大人と子供のupper thoracic lymph nodesとesophagusの距離の違いで15倍も差が出るとは驚きました。線源と標的の距離が重要ですね |
|
線源と標的の距離により、ベータ線とガンマ線の寄与割合が大きく変わる領域があります |
|
ICRPのAdult phantomを使って、I-131のS値を計算した論文では、甲状腺と脳はS値がかなり変わっているようです。この表にのっている線源を足すと、I-131 の甲状腺の係数は大きくなりませんか? |
ICRPのAdult phantomでのI-131に対するS値の計算結果
光子での吸収割合の距離依存性
|
|
|
光子の吸収割合は1cmで1000倍近く変わるようですが、外部被曝は皮下1cmまででほとんどが吸収されるということになりませんか? |
|
光子か電子かだけではなくエネルギーの大きさにも着目して考える必要があるのではないでしょうか |
|
エネルギー別に見るとどのような特徴がありそうかしら? |
|
0.1~1Mevでも、吸収割合は1cm以内で100倍違います |
|
幾何学的な違いも考えてみるのはいかがでしょう |
点線源とペンシルビーム
|
|
|
0.1MeVの光子を点線源(SPH)とペンシルビーム(RPP)を模擬して水に入射させた場合の距離別の水吸収線量(相対値)です |
|
ペンシルビームというのは初めて聞きましたが、「整列・拡張場」と同じようなものでしょうか? |
|
ペンシルビームという用語が使われている例です |
|
整列・拡張場との違いはビームのサイズではないかしら。細いビームだとビルドアップがなくなりそうです |
やや細めのビームのビルドアップ
662 keVの光子を入射させた場合を示します。表面付近で線量が高くなっているのがビルドアップです。放射線治療では、軟膏やタオルの使用が皮膚の基底細胞への線量を増加させることが知られています。
線量分布
飛跡
肺胞からリンパ節への移行など
|
|
|
話を元に戻すと、そもそも肺胞→リンパ節にどのくらい移行するのかがわかりません |
|
とりあえずICRPが提示しているモデルを使うのはいかがでしょうか。 |
|
ありがとうございます。胸郭内と胸郭外の移行係数はのっていますが、結局のところ血液にはどこからどう移行するのでしょうか?ガス状ヨウ素はすぐ 取り込まれるはずですが… |
|
この解説や上の図はいかがでしょうか? |
|
血液への移行はET1を除く全ての領域で時間に依存した速度で同じようにおこると仮定されているのですね |
|
時間に依存した速度は、(1)粒子が溶けることと(2)溶けたものが取り込まれることの2段階を考えています |
|
要は以下の各コンパートメントでの連立微分方程式を解けば各コンパートメントでの存在量の時間変化を観測できると思う |
各コンパートメントでの連立微分方程式
ICRP Publication 66 新呼吸気道モデル 概要と解説に示された図
粒子の溶解モデル
Fig. 3.5. Alternative compartment models representing time-dependent absorption into blood (dissolution and uptake).
粒子の溶解速度
解けた粒子の吸収速度
|
|
|
では、ここまでに示されたデータで表計算ソフトを使って計算してみようと思います。まずはtype Sで計算してみます。Te-132とI-132を100Bqづつ呼吸気道内に入れて、その後の挙動を一分間毎に追ってみました |
|
初期の粒子から性状が変化する速度定数を100 [/d]、初期の粒子から血中への移行の速度定数を0.1[/d]、性状が変化した粒子から血中への移行の速度定数を0.0001 [/d]としています |
|
ヨウ素では血液から甲状腺への移行の速度定数を0.83 [/d]、血液から膀胱への移行の速度定数を1.94[/d]としています |
|
テルルでは、血液からの移行は、甲状腺:0.00173 [/d]、皮質骨:0.1083[/d]、trabecular bone:0.1083[/d]、腎臓:0.019928[/d]、その他:0.19495[/d]、膀胱:0.347[/d]、ULI content:0.086643[/d]とし他の移行は考慮していません(図を修正しました(2016年1月15日)) |
|
「連立常微分方程式を解かなくてはいけませんが、さほどに難しいものではございません。ぜひご自分で代謝式をお求めになってください。」との回答がありましたが、実際にご自分で確認されていました… |
|
|
|
Te-132がなかった場合です(図を修正しました(2016年1月15日) |
|
|
|
I-132ではなくI-131であった場合です |
Te-132から壊変したI-132の血液への移行は?
|
|
|
ORNLの資料には、Te-132から壊変したI-132の血液への移行定数が1000[d-1]と記述されています。まさに瞬間移動ではないでしょうか。やはり肺のみならず、胃腸管でTe-132壊変してできたI-132は、ほぼすべて血液コンパートメントでノーカウントになっているのではないでしょうか |
|
吸入された放射性ヨウ素が粒子状であった場合などの血液への移行定数とはどの程度、異なりそうですか? |
|
|
血液の扱いは?
まだまだ続く疑問
血液が全身の各組織・臓器に含まれる割合は?
|
|
|
血液が全身の各組織・臓器に含まれる割合はどうなっていますか? |
|
Supplementary dataを見てみるのはいかがでしょうか |
|
supplementary dataがあるのには気づいたのですが、DATファイルというのがどうやっても開けません… |
|
適当なエディタで開いてみるとよいと思う |
|
内容確認できました。140のorganを53のtissueに分類しているようですね。blood ratioは blood vesselが1、teethが0、liverが0.3ですが、含まれる血液の割合でしょうか?全部足すと12くらいになるのですが... |
|
README.txtを読んでみるのがよいと思う…(140の臓器に53のパターンの元素組成を持つ組織をそれぞれ割り当てています) |
|
全身の血液量が各臓器にどのように分布しているかは、ICRP Publication 89の 7.7.2. Reference blood volumes and blood flow rates for organs and tissues of adultsにも記述されています |
|
|
|
これだと全部足すと100%になるのでは |
|
read me読んでもよくわからないのですが…。ICRP89のように100%に近くなるよう配分するべきではないでしょうか |
|
README.txtには「The mass ratios of blood in various body tissues」とあります |
|
組織の重量のうちの血液の割合でしょうか?ICRP89では肝臓は1800gX0.3=540g。肝臓の血液の割合は10%なので、5Lとすると 500ccくらいなので、妥当だと思います |
骨に含まれる血液中の線源による骨髄への線量
|
|
|
骨の構造上、骨の中に存在する血液は骨髄近くにより多くあると考えられるにも関わらず、それを考慮していないモデルのために骨髄の線量を過小評価しているのではないでしょうか |
|
骨の自己吸収SAFが骨のどの部分で起きているかにほぼ帰着すると思わうけど、骨の解剖学的な構造に由来した自己吸収SAFの骨の部分依存性を考慮していないとすると、骨の中の血液成分を線源とする骨髄の線量は過小評価されるはずです |
|
関心対象の線量の過大評価と過小評価の要因をそれぞれ分析して考えてはいかがでしょうか |
|
少なくともICRP2007年勧告に従った評価をして欲しい… |
骨に含まれる血液中の線源による骨髄への線量
|
|
|
放射性ヨウ素の場合、骨髄への線量が過小評価になるのではないかとの疑問を解きほぐしていきたいと思います |
|
ICRP Pub 30 part 1では、「有機ヨウ素は甲状腺以外の人体のすべての器官および組織に均等に分布」するとされていますが(日本語版157ページ)、骨髄へのエネルギー付与の評価がアンフェアだと思う |
|
ICRP Pub 30 part 1の7章の骨の評価では、赤色骨髄は線源としていないことが骨髄への線量を過小評価しているのではないかという疑問ですね |
|
短半減期で骨表面にあると仮定されるベータ放射体では、赤色骨髄は線源としてないものの、実際には、短半減期のベータ放射体も血管内で壊変し、血管内での壊変が赤色骨髄で行った場合は、赤色骨髄は線源となりますが、そのことは線量評価にどの程度の影響を及ぼしそうですか? |
|
|
検討例
Zankl M, Eakins J, Gómez Ros J-M, Huet C. The ICRP recommended methods of red bone marrow dosimetry. Radiat Meas. 2021;146:106611.
Noriko KOBAYASHI, Evaluation of Doses Absorbed to a Bone Marrow Stem Cell Layer from Short-lived Radionuclides in the Blood Vessels and from Long-lived Radionuclides in the Cortical Bone, Japanese Journal of Health Physics, 2019, Volume 54, Issue 1, Pages 55-65, Released on J-STAGE September 03, 2019, Online ISSN 1884-7560, Print ISSN 0367-6110
Ferrone KL, Willis CE, Guan F, Ma J, Peterson LE, Kry SF. Evaluating bone marrow dosimetry with the addition of bone marrow structures to the medical internal radiation dose phantom. Precis Radiat Oncol. 2023;7:27–35.
外部被ばく
Ferrone, K. L., Willis, C. E., Guan, F., Ma, J., Peterson, L. E., & Kry, S. F. (2023). Evaluating bone marrow dosimetry with the addition of bone marrow structures to the medical internal radiation dose phantom. Precision Radiation Oncology, 7(1), 27-35.
吸入摂取した放射性核種の経口摂取への疑念
rapid dissolution
(106) "... In the model shown in Fig. 3.5(a), a fraction fr of the deposit is initially assigned to the compartment labelled ‘rapid dissolution’, and the rest of the deposit (1 – fr) is initially assigned to the compartment labelled ‘slow dissolution’. ..."
fA is fractional absorption in the alimentary tract for relatively soluble forms of the element
"(123) For material cleared from the respiratory tract to the alimentary tract, the default assumption made is that fractional absorption in the alimentary tract is the product of fr and fA, where fA is fractional absorption in the alimentary tract for relatively soluble forms of the element (Section 3.3.3). This approach was based on the consideration that fr represents the soluble fraction of the material which is available for absorption in the alimentary tract, and fA represents alimentary tract absorption of the soluble fraction. In taking this approach, it was recognised that it is important not to overestimate absorption in the alimentary tract greatly, because this could lead to overestimation of predicted urinary excretion, and hence corresponding underestimation of intakes from urine bioassay measurements."
|
|
|
吸入摂取した核種のうちいくらかは飲み込まれて消化管から血液に移行すると思いますが、その量の計算が合いません。線量が過小評価されているのではないでしょうか? |
|
比較は適切にできていますか? |
Te-132を含む溶ける粒子を吸入し、それが食道に移行した場合
|
|
|
Ingested materialがすべて0.3なら、Type Mは過小評価だと思います。 |
|
Ingested materialsとして、fAは、元の粒子がどのようなAbsorption typeによるかに関わらず0.3とし、それが用いられています。TypeMでは溶ける成分が2割なので、 Ingested materialsのfAが0.3であることから、吸入後に消化管に移行したもののうち、溶ける成分(0.2)と消化管に入ったものでの吸収割合である0.3をかけた0.06が血液に移行するという想定になっているようです |
|
溶けないものでも消化管から吸収されるのではないかという疑念は持っていないようですね |
|
口から食道に入ったTeの吸収割合は30%で、前鼻道を経由すると6%になるというのはやはり論理的でないと思います... |
|
吸入するものと経口摂取するものでの化学形の違いに帰着するでしょう |
fAとf1
f1は小腸から体液へ吸収される割合(経口摂取したうち体液に吸収される割合)。
fAは、経口摂取した物質が血液に吸収される割合。消化管から血液への吸収割合(従来はf1)。
それぞれの消化管(i)の各臓器での血液に吸収される割合(fi)の総和。
参考資料等
Cristyモデル
SPECIFIC ABSORBED FRACTIONS OF ENERGY AT VARIOUS AGES FROM INTERNAL PHOTON SOURCES.
解説資料
ICRP 新勧告による内部被ばく線量評価
被験者の協力をいただき代謝を確認した例
2014年度日本放射線安全管理学会
福田 直子,奥野 浩二,工藤 崇,松田 尚樹.緊急時被ばく線量評価におけるホールボディカウンター全身スキャンによる甲状腺線量測定の妥当性の検討
経口摂取を想定し、I-123のカプセルを15名のボランティアに投与し、ヒト Hot ADME試験を実施しWBC検査などで評価しています。
この研究を行った際の研究倫理審査では、日本核医学会の提言「生物医学研究志願者の放射線防護に関する提言」が利用されたとのことです。
内部被ばく線量計算コードの歴史
体内被ばく線量評価コード開発の現状
放射線の輸送コード
EGS5
I-133の評価?
注意深い観察でNaI検出器による測定でもI-133の寄与を調べている例
福島第一原子力発電所事故前後の環境γ線ダイナミックスペクトル
Sr-90
子孫核種の考慮に関して検討が必要と考えられるモニタリングデータ例
<参考>前回公表までの最高値(護岸地下水)
迅速モニタリング法の提唱例
水中90Sr放射能濃度の90Yβ線測定による迅速簡便測定法
体内動態の解析
放射性物質の体内残留量グラフ
放射性核種の体内動態解析のためのデータと関数の使い方
谷 幸太郎.放射性核種の摂取に対する体内動態解析とその内部被曝評価への応用
放射性核種の体内除去による内部被ばく線量の低減効果について
Koji Uchiyama,Masami Miyashita, Yoshinobu Tanishima, Shigenobu Maeda, Hitoshi Sato, Jun Yoshikawa, Shuji Watanabe, Masamichi Shibata, Shuji Ohhira and Gen Kobashi. Use of Iodine-131 to Tellurium-132 Ratios for Assessing the Relationships between Human Inhaled Radioactivity and Environmental Monitoring after the Accident in Fukushima Int. J. Environ. Res. Public Health 2018, 15(3), 483;doi:10.3390/ijerph15030483
核種組成の検討
福島第一原子力発電所構内における土壌中の放射能測定データを用いた検討
Te-129m/Te-129
原子炉で生成される放射能と核爆発で生成される放射能の違いについて
in growthの考慮が不十分であったのが修正された例
東京電力株式会社
当社福島第一原子力発電所における核種分析結果の厳重注意に対する対応について(平成23年4月4日)
当社福島第一原子力発電所における核種分析結果の厳重注意に対する対応について(続報1)(平成23年4月20日)
当社福島第一原子力発電所における核種分析結果の厳重注意に対する対応について(続報2)(平成23年5月8日)
福島第一原子力発電所における核種分析結果の確報版の一部訂正について(平成23年8月30日)
修正されていないと思われる例
東京電力株式会社
発電所敷地内における空気中放射性物質の核種分析結果について(平成23年3月25日)
その後修正されている例
東京電力株式会社
【確報版】発電所敷地内における空気中放射性物質の核種分析結果
データ
高崎に設置されたCTBT放射性核種探知観測所における放射性核種探知状況 (2012 年 4 月 15 日時点)
|
|
|
I-129の土壌中濃度は、福島市の表層土壌で14 mBq/kg(dry)とありました。I-129の半減期はTe-129の1.2E+11倍ですので、Te-129は1.7E+09 Bq/kgあったのではないでしょうか |
|
降下した原子の数が、I-129とTe-129で同じであれば、放射能は、その関係になると思うけど、前提は正しいのかな? |
|
I-129とTe-129の関係は、(1)元々土壌にあった量、(2)原子力発電所事故により土壌に降下した量、(3)土壌中でTe-129から生成された量、(4)その他、となりそうです |
|
元々あった量やTe-129から生成された量を吟味した例です |
検討例
Appendix 4.1:ヨウ素129の分析を通じた土壌中のヨウ素131の放射能濃度の推定 に関する検討
課題名6: ヨウ素129の放射能濃度測定によるヨウ素131の土壌濃度マップの精緻化
ヨウ素131の土壌濃度マップ
I-129の測定例
Determination of 129I and 127I Concentration in Soil Samples from the Chernobyl 30-km Zone by AMS and ICP-MS
A new approach for reconstructing the 131I-spreading due to the 2011 Fukushima nuclear accident by means of measuring 129I in airborne particulate matter
半減期が短い核種が時間がたっても検出されていたのは何故?
|
|
|
すみません。I-129はTe-129mから直接β壊変で生成されるものもあるので、そのままTe-129のBqには換算できないですね。そもそもなぜ半減期1時間のTe-129が3/20-21にCTBTで検出されているのか、不思議に思って調べたら、1964年の文書にTe-129mとTe-129が放射平衡にあるようなことが書いてありました |
|
Te-129mは壊変時に63%の確率でβ壊変ではなく核異性体転移がおこりTe-129になりますが、Te-129mの半減期が33.6日であるのに対し、Te-129の半減期が69.6分なので放射平衡になりますね |
Te-129mやTe-129は、どうやってできたのか?
|
|
|
(1)Sb-129→Te-129m→I-129, (2)Sb-129→Te-129m→Te-129→I-129, (3)Sb-129→Te-129→I-129の3パターンがあるのでしょうか? |
|
アンチモン129からの壊変はこうなっているようです |
|
このデータからSb-129→Te-129mやSb-129→Te-129がどのようにおこっているかを考えられますが、これ以外の経路は考えられませんか? |
|
ほとんどのI-129がU-235の核分裂で生成されたのかしら? |
核分裂収率が知りたい?
Cumulative Fission Yields
About “Independent” and “Cumulative” fission yields
Graph of Fission Product Yields
それぞれの核種の時間変化
235U の全核分裂生成物の 放射能の時間変化
本論文で行ったような計算は専門家により既に行われてきたことである。しかし、少数の専門家が過去において計算プログラムを作り、その後の人間はユーザーとしてそのプログラムを使っていればよい、という研究態勢で十分であると考えるならそれは危険な考え方である。そういう態勢では、今回の事故の様に状況が従来とは違ったときに、従来どおりの正確さで計算結果が出せているのかどうかを判断できない恐れがある。このような重要な計算については、それを独立して行いうる多数の研究グループが並存し、各グループが常時、自ら計算式を導出して計算の原理を理解しなおし、プログラムを自作して数値計算上の困難な箇所を把握し、入力データのどれに結果が敏感に依存するかを認識しているような知識を生きた状態で維持している状態にあるべきだと思われる。
“Independent” と “Cumulative”なfission yieldsの違いを知りたい?
About “Independent” and “Cumulative” fission yields
関連記事
減衰補正が正しくない?(親核種から供給される子孫核種)
放射性テルルによる線量評価例
藤原 慶子, 高橋 知之, 高橋 千太郎, 福島第一原子力発電所事故により放射性テルルで汚染された白米の経口摂取による預託実効線量, 保健物理, 2016, 51 巻, 1 号, p. 19-26,
放射性テルルの放出の解析例
Estimation of the Release Time of Radio-Tellurium During the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident and Its Relationship to Individual Plant Events
Uncertainties
NCRP
Report No. 164 - Uncertainties in Internal Radiation Dose Assessment (2009)
Sr-90の実効線量係数でのY-90の寄与の考慮
ICRP
ICRP 30での記述例
I-129はがすべてTe-129由来だと考えていたけれども、合計が合わない…
I-129の生成過程
|
|
|
生成過程はどこを見ればよいのでしょうか? |
|
Prod. mode:ではないかしら |
|
すみません、I-129とTe-129のcumulative fission yield の差が開いていると思ったのですが、見直したらI-129は ground:Yield = 5.388270e-03、Te-129は ground:Yield = 4.856230e-03で、それほど変わりませんでした |
β線スペクトル
β線スペクトルが知りたい?
計算ができない?
|
|
|
エネルギーと割合を入力してcalculation start を押すと、「動作を停止しました」になってしまいます... |
|
どのような入力だったのでしょうか? |
|
すみません、エネルギーの入力単位が間違っていました |
2 MeV以上のエネルギーの情報がない?
|
|
|
と思ったら、プログラムを改良して対応して頂きました |
その他の例
β線によるエネルギー付与
|
|
|
阻止能とは何ですか? |
|
放射線の荷電粒子がエネルギーを失っていくことを単位飛程あたりに示したものですね |
200 keVの電子ビームを水に入射させた場合
|
|
|
半径1cmの200 keVの電子ビームを水に入射させ、半径1cmの範囲で深さ方向の吸収線量率を計算してみました。電子を毎秒1個入射させています |
|
|
|
面積100cm2の範囲で均一な線源から200 keVの電子を当方的に放出させて線源の周囲の水の吸収線量率を計算してみました。電子を毎秒100個発生させています |
|
線源が水の中にあるという想定ですね |
|
意味がわかりません。違いは入射が 空気→水 か 水→水 かだけでしょうか? |
|
その通りです |
甲状腺のサイズの線量への影響
|
|
|
同じBq数でも臓器重量によって線量は変わりますが、年齢による甲状腺の大きさは考慮されているのでしょうか? |
|
考慮しているかどうかは、「考慮している」の定義によるのだろうと思います。こちらの資料は参考になりますか? |
|
すみません。甲状腺の大きさは係数のほうで考慮されていますね |
PHITSのバグ?
|
|
|
Cs-137壊変後のBa-137mの転移時のガンマ線を計算しようとしたのですが、私のPCではどうして計算できません。他の環境だと計算できるそうですが、いつもの嫌がらせなのでしょうか? |
|
PHITS ver.3.02では、一部の計算環境においてmetastableのRI線源が定義できない不具合が生じているそうですが、まもなく更新パッチがでるそうです |
PHITSの実行が許可されていない?
|
|
|
PHITS ver.3.10に更新して実行しようとしたらPermission deniedと言われました。いつもの嫌がらせなのでしょうか? |
|
実行ファイルであるphits310_mac.exeに実行権限が付加されていないのではないでしょうか |
|
前と同じ現象であることを思い出しました。chmod +xコマンドで解決ですね |
PHITSのバージョンなどで扱いが異なる?
|
|
|
infl:コマンドを使って、Macで連続実行しようとしたら、挿入しようとしたインプットファイルが取り込まれませんでした。いつもの嫌がらせなのでしょうか? |
|
『1行目に「file=インプットファイル名」と書いておく必要があります。』とあるけど… |
|
『 なお、PHITS ver. 3.00以降では、file=は必要ありません。』とあります。使っているのは、PHITS ver. 3.00以降です |
|
現在のPHITSでは、スクリプトを組む場合でもphits.batやphits.shを使って実行することを奨励しているので、混乱しないように、あえて言及してないようです |
|
『PHITS 講習会 基礎実習(III): 計算条件の設定』では、その説明がなされていますね |
粒子状物質の溶解による血液への吸収
血液への吸収によるクリアランスに係るモデルは、血液への速い吸収と遅い吸収を完全に分離した単純なモデルと、初期状態(Initial state)から血液への吸収と変換された状態(Transformed state)への移行とが競合し、変換された状態から血液へ異なる移行係数で吸収される複雑なモデルの 2 種類が示された
独立行政法人 日本原子力研究開発機構「平成 25 年度原子力利用安全対策等業務委託費 (ICRP(国際放射線防護委員会)技術的 基準等の整備)事業」委託業務成果報告書)平成26年3月31日)
内部線量評価システムの開発
国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構平成 29 年度放射線安全規制研究戦略的推進事業費 (内部被ばく線量評価コードの開発に関する研究)事業 成果報告書(平成 30 年 3 月 30 日)
波戸 真治; 本間 俊充.原子炉事故時放射線影響解析で用いるための内部被曝線量係数
石榑信人.内部被ばくにおける防護量とその評価方法
石榑信人.2. 新呼吸気道モデル
環境省
微小粒子状物質健康影響評価検討会
学会の解説資料
aerosolpedia エアロゾルペディア
歴史的な経緯
鈴木間左支. 「人間の呼吸器道の内部被曝線量のための沈着及び滞留モデル」の紹介 (1) -ICRPの肺動力学に関する作業班の報告書-. 保健物理 1967; 2: 179–85.
鈴木間左支. 「人間の呼吸器道の内部被曝線量のための沈着および滞留モデル」の紹介. 保健物理 1968; 3: 236–44.
事後的な評価
平山 英夫, 松村 宏, 波戸 芳仁, 佐波 俊哉, 福島県モニタリングポストのNaI(Tl)検出器波高分布データを用いたプルーム中Xe-135, I-131, I-132, I-133およびTe-132放射能濃度の推定, 日本原子力学会和文論文誌, 2017, 16 巻, 1 号, p. 1-14, 公開日 2017/02/15, [早期公開] 公開日 2016/12/21, Online ISSN 2186-2931, Print ISSN 1347-2879
検討結果例
Kobayashi, N. Evaluation of doses absorbed to a bone marrow stem cell layer from short-lived radionuclides in the blood vessels and from long-lived radionuclides in the cortical bone. Japanese J. Heal. Phys. 54, 55–65 (2019).
time integrated concentration
|
|
|
3/21 9:00から3/22 9:00のI-131のtime integrated air concentrationは下3段の合計で60 Bq d/m3 ではないでしょうか? |
|
どう計算して60が出てきたのかしら… |
|
時間かけて空気を採取していますが、サンプリングした空気の容量を考えて、その中に含まれている放射性核種の量を計測しています |
|
サンプリング中に濃度が変化しそうですが、それは考慮せずある時刻の濃度を仮想的に求めていることになりそうですね |
|
各単位吸引時間あたりの吸引した空気中の平均存在数量を仮装していることになるのではないかしら |
|
では、この濃度をサンプリング時間中の平均濃度と考えて、サンプリング時間で積分するとtime integrated concentrationが求まりそうです |
C-9 ATDM simulation by prefectures [.xls]
|
|
|
UNSCEAR 2013 REPORT Vol. IのScientific Annex A: Levels and effects of radiation exposure due to the nuclear accident after the 2011 great east-Japan earthquake and tsunamiのAttachments of data and methodologies used for the assessmentのC-9 ATDM simulation by prefecturesでのtime integrated air concentration は modelling period 12 March-1 April 2011 の1日あたりの平均ではないのでしょうか? |
|
12 March-1 April 2011の濃度を時間で積分したものなので、12 March-1 April 2011の期間の平均存在数量に基づく濃度×この期間の長さとなります |
日本電気協会
第10回放射線管理分科会
今回の福島の事故で、親核種、娘核種との関係やコバルト 56 のサブピークからのピックアップにおいて放出放射能量の把握を間違えたということがあった
血液中の細胞の放射線曝露
Harald Paganetti. IS THE DOSE TO CIRCULATING BLOOD IN CONFORMAL RADIOTHERAPY OF CONCERN?
|