用語
え/E
ATDMの扱いへの疑念例 Example where doubts have been raised regarding the use of results obtained from ATDM
ATDM(Atmospheric Transportation, Dispersion and Deposition Model: 大気移流拡散沈着モデル)の扱いへの疑念例
課題認識に関する疑念
第211回国会 衆議院 環境委員会 第3号 令和5年4月4日
質問
環境省は、UNSCEARの報告書の推定の仕方及び基のデータと、実際に存在しているモニタリングポストのデータ、その二つをきちんと確認していないのではないかと疑われているということもあるそうでありますが、そのことを御存じでしょうか。
回答
環境省では、UNSCEAR報告書に対する個別具体的な指摘の全てを把握してはおりません。UNSCEAR報告書は政治的に中立の立場で取りまとめられたものであり、その評価につきましては、学会等の場における国内外の専門家の幅広い議論に委ねたいというふうに考えております。
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学術的な議論なので学会等での議論が必要ですね |
質問
さて、時間もありますので、ここで指摘をしたいと思うんですが、UNSCEARの推定は、寺田論文で示されたモデル、ATDMを用いて、福島のヨウ素131とセシウム137の土壌沈着量から大気中濃度を逆算して行われています。一方で、実際に存在しているデータ、先ほど二つのデータがあるという話をしましたが、実際に存在しているデータとは福島県のモニタリングポストのデータでありまして、三月十五日から十六日にかけて紅葉山を襲った最大のプルームが、放射能の雲でありますが、通り過ぎたときの大気中の濃度であります。
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土壌沈着量などのモニタリングデータから事故を起こした原子力発電所から放出されるソースタームの推定の質を上げて、拡散計算して、それとモニタリングデータと比較していますね |
質問
二つを比べると、UNSCEARの報告書の推計した大気中の濃度と地表への沈着量は実際の紅葉山の大気中の濃度データの百分の一にすぎないと指摘されているのであります。つまり、百分の一にすぎない大気中濃度から推計した被曝の推計値は過小評価だという指摘なんですね。
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過小評価なところもあれば過大評価なところもあるのではないかしら |
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評価メッシュの関係からも水平方向での不確かさが示されています |
It means that the gradient of the calculated horizontal distribution may indicate the uncertainty of the calculation because the large gradient around the monitoring point causes a large discrepancy between calculation and measurement, if the calculated distribution deviates from the actual condition.
Terada H, Nagai H, Tsuduki K, Furuno A, Kadowaki M, Kakefuda T. Refinement of source term and atmospheric dispersion simulations of radionuclides during the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident. J Environ Radioact. 2020 Mar;213:106104. doi: 10.1016/j.jenvrad.2019.106104. Epub 2019 Dec 16. PMID: 31983441.
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計算と実測との沈着での比較でも桁で違うこともありますね |

質問
ただ、そういう中で、甲状腺がんの多発の原因はスクリーニング効果だとおっしゃっているわけでありますし、UNSCEARの被曝の推計の基となる大気中の実データが使われていない、つまり百倍も違うわけでありますが、このことをやはり懸念する必要があるんだと思うんです。実データが使われていない、このことに対する問題点を政府としてはしっかりと、環境省としては確認する必要があるかと思いますが、いかがでありましょうか。
第211回国会 衆議院 環境委員会 第3号 令和5年4月4日
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SPM濾紙のデータもソースタームの推計に活用され、その結果が大気中濃度推定に反映されています |
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限界もある中での推計ですが、このような人々の疑問に向き合うことも必要だと思う |
ATDMの限界である過小評価への対応を考える
UNSCEAR 2020/2021報告で示された推計結果
事故直後1年間 事故直後1年間の住民(非避難住民など)の平均被ばく線量
図 XVI. 避難対象地域を除いた福島県の各自治体に居住する幼児の事故直後1年間における自治体平均の推定甲状腺吸収線量
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事故直後1年間における避難者の平均被ばく線量
表 9. 事故直後1年間における避難者グループの平均実効線量および平均甲状腺吸収線量の推定範囲
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飲料水の経口摂取
そのため、水道水中の 131I の経口摂取による線量推定には、主にモデルが用いられ、入手できる場合は測定値によって補完された。
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事故当時の水道普及割合


イベントの名称
アウトリーチだったのが、日本からの市民の意見を反映させてパブリックミーティングに名称が変更されていました。
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